ANA国内線【PR】

音楽会早退 ヘルムヒェン、ユロフスキ、ロンドン・フィル チェコのマスター・ピース(前半)  

02.05.2012 @royal festival hall

janáček: suite, the cunning little vixen
dvořák: piano concerto
(suk: symphonic poem, ripening)

martin helmchen (pf)
vladimir jurowski / lpc, lpo


風邪ひきました。一昨日の朝起きたとき妙に喉が痛くて、空気乾いてるせいかなって高を括ってたらどんどんひどくなって、今日はなんだか熱っぽくもあります。何とか会場に着いたものの、絶不調。とても音楽を聴ける状態ではありませんでした。咳を止めるのにも一苦労。というわけで、ちゃんとした感想は書けませぬ。ユロフスキさんとロンドン・フィル、今シーズン最後というのにもったいない。

ヤナーチェクの「利口な女狐」の組曲は、ターリッヒが組んだものを一昨年なくなられた指揮者、マッケラスさんが改訂したもの。マッケラスさん、ヤナーチェクの音楽の普及に尽力を傾けていた方ですからね。チェコのオーケストラに招かれたとき、チェコ語も勉強したそう。彼の追悼音楽会でも、「利口な女狐」の最終シーン(めちゃくちゃ良い曲)が演奏されました。
このオペラは本当にステキなんです。子供向けの振りをして立派な大人向け、というか大人こそ感動する。なので、ぜひオペラを観たいのだけど、歌のない組曲版は、ほとんどオペラの筋とは関係ないようなので、この曲を聴いてオペラを想像するのは無理かな。それに、2楽章に分かれているのだけどどちらもアンダンテで、同じような雰囲気なのがちょっと退屈でもったいない。女狐のアジテーションのシーンとかスパイスになる音楽、オペラにはあるのだけど、歌がないとやっぱりダメなのかな。演奏自体は良かったので、ユロフスキさんにはぜひ、オペラを振ってもらいたいのだけど。ユロフスキさん、オペラ指揮者なのに彼のオペラ、まだ聴いたことないのが残念。ロイヤル・オペラでもイングリッシュ・ナショナル・オペラでも彼を呼ぶべき。(ユロフスキさんのイギリスでのオペラの活動場所はロンドン・フィルがレジデント・オーケストラのグラインドボーンです。って今ウェブ・サイトを見たら、なんとユロフスキさん「利口な女狐」振るじゃない。でも、高いんですよね。むちゃくちゃ。しかもきちんとした格好をしなきゃいけないんです)

ドヴォルジャークのピアノ協奏曲は初めて聴く曲。ドヴォルジャークの協奏曲は、チェロ協奏曲があまりにも有名で、ヴァイオリン協奏曲が土臭い隠れた名曲、そしてピアノ協奏曲が滅多に演奏されない、マニアックな曲ではないでしょうか。聴いた感じでは、ところどころドヴォルジャークらしい親しみやすさ、美しさが聞こえるけれども全体としては散漫として、マイナーにとどまるのもさもありなんな感じ。演奏のせいではないと思います。ヘルムヒェンさんは前に見たとき(2、3年前)よりずいぶん大人になった感じだけど、柔らかなタッチできれいな音でピアノを弾いていたし、ユロフスキさんのオーケストラも上手かったです。ピアノの蓋のおもてにカヴァーがかかっていたのは初めて見るけど、音色や音量の調節でしょうか?

で、ここまで聴いたところで、限界。ごほごほ咳をしながら、フェスティヴァル・ホールをあとにしました。


# by zerbinetta | 2012-05-02 08:31 | ロンドン・フィルハーモニック | Trackback(1) | Comments(0)

音楽への逃避 ユジャ・ワン リサイタル  

01.05.2012 @queen elisabeth hall

rachmaninov: étude-tableau, op. 39 nos 6; 4
rachmaninov: élégie, op. 3 no. 1
rachmaninov: étude-tableau, op. 39 no. 5
beethoven: sonata, op. 27 no. 1
scriabin: sonata no. 5
prokofiev: sonata no. 6

yuja wang (pf)


ユジャ(羽佳)は、3年前に聴いて以来、大好きなピアニストです。テクニシャンで、しなやかでスポーティーな演奏をする人です。最近は、ミニスカートや高いヒールで演奏するので、オールド・ファッションのクラシック音楽ファンの物議を醸し出してますね。そんなヘンなところで話題になったり(ユジャは意識的にそういうファッションをしているみたいですが)、テクニシャンゆえに音楽が浅いと批判されたり(本来テクニックと音楽性は相関しないというかテクニックがないと音楽性云々以前の問題なんですが、テクニック重視は音楽重視と相容れないようです)、何かと出る杭は打たれるようです。ということで、わたしもちょっと心配。どうなるでしょう。人気はあるのですが。

ユジャは残念ながら(?)、ミニスカートではありませんでした。でもサイドに深くスリットの入ったロングスカートで、ときに太もも露わ。セクシー路線ですかね。うっかり健康的な太ももに目が吸い寄せられちゃいます。
ラフマニノフの「音の絵」3曲と「エレジー」はあまり印象に残っていません。太ももが気になって音楽が。。。ではなかった、なんだかユジャが不安定な感じがして気になって。音楽が、じゃないんです。彼女自身が。

さっと深いお辞儀をしてささっとピアノに向かうのはいつもの彼女の姿のかもしれないけど(わたしはユジャをリサイタルで聴くのは初めてです)、なんだか、お客さんから自分を守ろうと逃げているような気がして。彼女、とっても繊細でシャイなのかもしれないって思った。それは、わたしが感じたことで、ちっともそんなことないのかもしれないんだけれども、さっさと音楽に入ってしまう始まりの落ち着きのなさはそういう風に感じさせたことも事実です。ピアノを弾き始めれば自分の世界に逃げられる。音楽に没入できる。でもそれまでの間の心の持って生き方に泊まりがないように思えるのです。かのアルゲリッチさんも演奏前は、ちゃんと弾けるのだろうかととっても不安になるといいます。そんな気持ちがユジャにもあるんじゃないかって感じました(本人に確かめたわけでもないし、本人はあっけらかんとしているかもしれないんだけど)。
そういうことを感じて、どうしてもユジャを「のだめカンタービレ」に出てくるソン・ルイと重ね合わせてしまいます。ユジャが長期の演奏停止をするかどうかは分からないけど、例えば、ショパン・コンクールに優勝したあとのポリーニさんのように演奏を休んで音楽と対峙することも大切じゃないかと勝手に思うのです。最近の若い演奏家はなんだか、CDセールスとかで忙しすぎると思うのです。ここで将来を潰してしまうのはもったいない。売れるうちに売るのではなくてきちんと音楽家を育てるマネジメントをして欲しいと心から願います。

とっても安心できたのは意外なことにベートーヴェン。曲がユジャに合ってるのかなって疑問に思ったけど、ユジャはこの曲を本当に愛しむように弾きました。テクニックのいらない音楽にこそ、真に音楽をするためのテクニックが必要だと思います。わたしは、この曲を聴くのが初めてなので、ユジャの演奏が、どうなのかは確かなことは言えません。でも小さな声で歌いながら、愛おしげに音楽を奏でるユジャを見て、彼女は本当に音楽が好きなんだなって思って嬉しくなりました。あの歌はかわいらしかったなぁ。心温まるベートーヴェン。この音楽があれば大丈夫。ルイをパリのアパルトマンまで訪ねてきて、彼女の弾くモーツァルトを聴いて、帰って行ったお母さんと同じ心境です。

休憩前の最後のスクリャービンのソナタ第5番と、後半(衣装を赤のワンピースのドレスに替えました)のプロコフィエフのソナタ第6番は、いつものユジャらしい演奏でとっても良かったです。スクリャービンの方は恍惚としたエクスタシーも感じられ、メカニカルだけど妖艶な音楽。一方のプロコフィエフは、戦争ソナタなんだけど、なんだか軽くて楽しげでさえある音楽。やっぱりユジャはプロコフィエフとか、ロシアのメカニカルなヴィルトゥオーゾ系の音楽が得意そうですね。テクニカルな難しさをもろともにせず、音楽的に実りある演奏を聴かせてくれました。

アンコールは、ホロヴィッツの「カルメン変奏曲」。ピアノのヴィルトゥオーゾを生かしたアンコールピースですね。これはもう楽しかった。
最後のほっとした感じの笑顔がステキでした。
サイン会もあってわたしも持って行ったCDにちゃっかりサインしてもらいました。漢字でサインしてもらえば良かったなと、ちょっと後悔。今度機会があったら頼んでみよう。

結局、まだまだユジャが好きです。今は、まだ成長期というか、大きく変わることもあるかもしれないので目が離せません。追っかけはできないけど(世界中駆け回らなきゃ)、彼女の音楽会はできるだけ聴いていこうと思います。




# by zerbinetta | 2012-05-01 16:31 | 室内楽・リサイタル | Trackback | Comments(1)

エロスとエクスタシー テツラフ、エトヴィシュ、ロンドン交響楽団  

29.04.2012 @barbican hall

debussy: three nocturnes
szymanowski: violin concerto no. 1
scriabin: the poem of ecstasy

christian tetzlaff (vn)
peter eötvös / ladies of lsc, lso


シマノフスキが好きなんです(キッパリ)。でも、シマノフスキって演奏される機会が少ないので、貴重な機会を逃さざるべく、とっても楽しみにしてチケットを暖めていました。そして、今日はブーレーズさんが振る予定だったんですけど、残念ながらキャンセル。どうやら目がお悪いらしくもう目が見えないんだそうです。これから指揮者としてステージに立つことがあるのか、心配です。現代音楽の戦士のイメジがある彼ももう高齢ですからね。お体大事になさって、つつがなく余生を送って欲しいです。

で、ブーレーズさんの代役は、アンサンブル・インテル・コンテンポランの指揮者もしてらした作曲家でもあるエトヴィシュさん。前にロンドン・シンフォニーを振るのを聴いて、全体的な構築はともかく、局所的に微に入り細を穿ち点描的に音楽を作る人だなって感想を持ちました。それが今日の演奏にどう生かされるのか、殺しちゃうのか、シマノフスキなら多分大丈夫かなと、半分不安、半分期待。

それがね〜〜半分不安の予想に反して、意外や意外、良かったの。エトヴィシュさん、指揮者としても才能ありそう。女声合唱がちょこっと入る「ノクチュルヌ」は、試し聴きみたいな感覚で聴いてたんだけど、これはちゃんと聴かないとって引き込まれました。ロンドン・シンフォニーの暖かみのある柔らかな音も地中海側のドビュッシーという感じでとても気持ちよかったです。そうそう、今日はリーダーにニコリッチさん。もしかしてこの人が弾くのは初めて見たかも。ロンドン・シンフォニーの正式のリーダーのひとりなんですけどね(ロンドン・シンフォニーにリーダーはふたり)。でも、さすがヴェテランのリーダー。なんだかオーケストラが締まります。

いよいよシマノフスキ。テツラフさんのヴァイオリンで、協奏曲第1番。この曲を聴くのは2回目。大好きな音楽です。テツラフさんは昨日聴いたアリーナの師匠。アリーナは活動の拠点を半分ベルリンに移してテツラフさんに習ってるんですね。彼のヴァイオリンを聴いているとアリーナが師事するの分かります。指向性が似てるんですもの。テツラフさんは風貌が学者タイプで(今日はメガネをかけていなかったけど)、繊細な神経質な演奏をするかと思いきや結構漢。繊細な中に熱い感情を持った演奏をする人です。
なので、暖かみのある音色のロンドン・シンフォニーと漢のテツラフさんのシマノフスキは、結構情熱的。わたしが今まで聴いてきた演奏は、冷たく鋭利なエッジの演奏だったので、ちょっと印象変わりました。でも、テツラフさんのフラジオレットの高音は研ぎ澄まされたガラスのようにきれいなので、シマノフスキらしさもしっかりあって、でも、情熱的な音楽にはエロスも感じて、冷たい月の光の夜、激しく愛を貪り合う感じ。ふたつの生命が混じり合いひとつになろうとするひとつの細胞の時代から途絶えることなく行われてきた命の荘厳な営み。
テツラフさんのアンコールは、バルトークの無伴奏ソナタから。これもまた素晴らしい演奏でした。それにしてもテツラフさん、今脂がのりにのってますね。どこかで聴いたことのあるような気もするも、覚えていなかったわたし。隣の人たちがひそっとバルトークのソナタって言ってたので分かったのです。あとで調べたら、わたし、アリーナの演奏で聴いていたんですね、この曲。どおりで聴いたことがあると思ったわけだ。すっかり忘れてたけど。


最後のスクリャービンの交響曲はずばりエクスタシー。エトヴィシュさんの演奏は、オーケストラをとても良く鳴らすし、オーケストラもそれに応えてとてもいい音で弾いてるんですけど、エクスタシーにしてはちょっとあっさりしてるかな。ちょっと健康的。多分ブーレーズさんが振っても同じようになるような気もするけど。本当のところは曲が短すぎて(20分ほど)、エクスタシーに達するにはちょっとせっかちかな。もっとじっくり焦らしつつ(例えばトリスタンのように)、導いて欲しいです。むしろ、シマノフスキの協奏曲の方にエクスタシーを感じました。

今日の音楽会、ロンドンの音楽会ブログ仲間が大挙集ったみたいですね。ロンドンは音楽会が多くて、普段分散するのに、珍しいです。わたしは皆さんにお目にかかったことないんですが、音楽談義に花を咲かせていたのではないかしら。

今日、この音楽会の前に、ギルドホール音楽演劇学校の学生さんによるハープを中心にした室内楽の演奏がありました。ドビュッシーの「神聖な舞曲と世俗な舞曲」が聴きたくて聴いていたんですけど、プロの卵とはいえアマチュア。評論は控えますね。でも、プロへの道は険しいって感じました。それだけ、プロの音楽家って素晴らしいんですね。


# by zerbinetta | 2012-04-29 19:16 | ロンドン交響楽団 | Trackback(2) | Comments(2)

森ガールと思ったらもののけ姫 フラング、フルシャ、フィルハーモニア  

29.04.2012 @royal festival hall

wagner: prelude, act I, die meistersinger von nürnberg
bruch: violin concerto no. 1
dvořák: symphony no. 9

vilde frang (vn)
jakub hrůša / po


わたしは森ガールです。あっウソ。正確にはジャングル・ガール。あっそれもウソ。ジャングルおばさん。さすがにガールと自己申告は偽りありとジャロに訴えられそうですからね。もちろん、森ガールみたいなおしゃれなのじゃなくて、湿度100%のジャングルで、まったりと過ごすのが大好きなんです。命が溢れてるから、気持ちが生き返るような気がして。と、わたしの話なんてしてもしょうがない。今日のヴァイオリニストのヴィルデ・フラングさんって、森ガールなんですって。イメジとしてそんなファッションが似合いそう。らしいです。

今日の音楽会、でもシーズンのパンフレットにクレジットされていたソリストは確か、別な人。指揮者もヤクブ・フルシャさんじゃなくてネルソンスさんの予定でした。そして曲目もドヴォルジャークの交響曲は「新世界から」ではなくて第6番。あとで買ったプログラムには、すでに曲目が「新世界から」と印刷されていたし、ソリストもフラングさんになっていたので、これらは計画的な変更でしょう。指揮者は、急な変更です。
フルシャさんを聴くのは2度目。以前にBBCシンフォニーを振ったのを聴いたことがあります。若くて才能豊かなフレッシュな人。現在30歳くらいなんですね。
彼のステキさは、最初の「マイスタージンガー前奏曲」から全開でした。流麗に雄大にオーケストラを鳴らします。ティンパニがいつもの音じゃなかったのでおや?と思って、わたしの席からは見えなかったので、あとでメンバー表を見たらやっぱりスミスさんではありませんでした。ううむ、音で分かるようになってきたら、かなりフェチ度上がったな。ま、スミスさんはかなり特徴があるのですが。今日聴いた席のせいもあるけど、チェロがとっても雄弁に聞こえて、そして、雄大だけど重厚すぎてくどくならないのがいいです。ひとつひとつの声部がとっても良く聞こえてきて複雑に絡まり合ってるのが手に取るように分かります。もう、つかみは完全にOK。

ブルッフのヴァイオリン協奏曲を弾いたフラングさんは、ノルウェー出身の26歳(25歳?)。アリーナのひとつ年下です。森ガールと思って期待してたら、確かに森ガールっぽい感じ。だけれども長身。そして音楽は思いもよらず骨太。儚げな森ガールというより、森の中を縦横無尽に駆けめぐるもののけ姫みたいな本格の森ガール、森の主、女神。この音楽が本当に素晴らしい。音色が豊かでふくよかで、昨日のアリーナとは違ったタイプのステキ。音楽の歌わせ方もとっても大らかで、フルシャさんのドライヴするオーケストラと一緒になって大きな大きな音楽を作っていく。第2楽章のアルプス・シンフォニーはまさにアルプスの偉容を感じさせました。この曲がこんなに内容の豊かな音楽だと初めて知りました。文句なしに名演でした。フラングさんも要注目だな。聴く機会があったらもれなく聴くようにしなくっちゃ。

最後のドヴォルジャークの交響曲第9番。超有名曲です。正々堂々と正面から、奇をてらわない演奏をするのは自信の表れですね。さすがお国もの。若者らしくさくさくしたテンポ感で、でも歌わせるところはとっても丁寧に歌わせて、アクセントの付け方が巧妙。第1楽章のリピートがなかったのも、新鮮。このリピート音楽的にはヘンですよね。でも音楽がステキだったのでもう1度聴きたかったのも事実ですが。フィルハーモニアの弱点、トライアングルも今日はオーケストラの中でちゃんと鳴っていました。
それにしても、弱冠30歳にしてここまでオーケストラを統率して、自分の音で鳴らせるのは破格の才能。それに音楽の素晴らしさ。もう将来が楽しみでたまりません。日本でも東京都響の主席客演指揮者なんですね。日本でもおなじみの指揮者として世界で活躍して欲しいです。

森ガール?もののけ姫?フラングさん




# by zerbinetta | 2012-04-29 08:48 | フィルハーモニア | Trackback(1) | Comments(0)

アリーナ見納め? どっぷり浸かってアルヴォ・ペルト、BBCSO  

28.04.2012 @barbican hall

pärt: symphony no.1 'polyphonic'; no. 3; silhouette;
berlinar messe; tabula rasa

alina ibragimova, barnabás kelemen (vn)
tǒnu kaljuste / bbcsc, bbcso

正直言ってアルヴォ・ペルトがこんなに人気のある作曲家だと知らなかったんです。チケットを取った時点で、おや!意外と売れてるんだなと思ったんですが、一日中ひとりの作曲家に浸るトータル・イマージョン・シリーズのアルヴォ・ペルト、なんと売り切れです! わたしは最後のBBCシンフォニーの音楽会だけ取ったんですが、びっくり! もちろんわたしの取った目的は何たってアリーナ。ロンドンを離れる予定のわたしにとって、多分、これがアリーナ見納めになります。むちゃ悲しい。

もちろん、ペルトさんというと、ティンティナバリ(鈴)様式。静謐な音楽なのだけど、最初の交響曲第1番と第3番はその様式を獲得する前の作品。第1番の方はオーケストラをがんがん鳴らすカラマノフ(実は好き)系音楽。第3番は、グレゴリオ聖歌への傾倒が聴かれて、後期の音楽への橋渡し的な音楽にもなっています。というのが聴いた感想。確かに力強い音楽だけど、この曲だけならペルトさん、人気は出なかっただろうし傍系の音楽家。でも、化けるべくして化けたのよね。

プログラムの後半からはいよいよ、ティンティナバリ様式の音楽。切り詰めた無駄のないシンプルな音、でもミニマリズムにならないのがいいの(ミニマム音楽苦手なわたし)。
2009年作曲の「シルエット」は、副題に「エッフェル塔へのオマージュ」。パリ管弦楽団とパーヴォ・ヤルヴィさんのために書かれた音楽です。短いけれどとても充実した音楽で、作曲家が今でも深化していることを伺わせます。無駄を極限までそぎ落とすとどこまで行くのだろう?

ベルリン・ミサは、ペルトさんらしい宗教曲。弦楽オーケストラと合唱のための作品。合唱団にターバンを巻いた男の人がいてちょっと可笑しかった。ターバンって衣服の一部なんですね。帽子はダメだけどターバンはいいのかな。この曲、わたしには歓喜の音楽とは感じられませんでした。どうしてかいつも不安がつきまとう。演奏のせいかわたしのせいか、曲そのものなのかはよく分からないんですけど、もちろん、ペルトさんは喜びが爆発するような音楽は書かないし、静かに静かに音楽は流れるのでそのせいもあるのかもしれませんが、でもやっぱりわたしにはもっと根源的な不安が横たわっているように感じました。

いよいよ、最後に「タブラ・ラサ」。ふたりのヴァイオリン・ソロ、プリペアード・ピアノ、弦楽合奏のための音楽です。実はわたし、この曲と「フラトレス」を勘違いしていて、音楽が始まったとたんびっくり。ありゃりゃ、違う曲だって。
もちろんわたしは、アリーナ目当てだったのでアリーナのヴァイオリンに聞き耳を立てましたよ。ほんと、彼女の音は透明できれい、そして精確。静謐なのにアグレッシヴ。もう素晴らしすぎ。アリーナの音が聴きたかったのでもうひとりのヴァイオリンはいらないって思っちゃいましたよ。もうひとりのソリスト、ケレメンさんは、わたしにとっては当て馬だったんだけど、音色にもう少し繊細さが欲しかったかな。ちょっと荒っぽかった。
プリペアード・ピアノが鐘のような音色で、前半部分ではヴァイオリンの動的な動きを沈静する大きな役割を担っていて、これが後半の静的な音楽につなげる複線になるのね。演奏は前半はかなりアグレッシヴ。プリペアード・ピアノの分散和音で始まる後半は風のない曇天の湖の湖面のように静か。ときどき、底からあぶくが湧くようなピアノの分散和音。そういえば、前半はピアノはクラスターの和音を弾いてたのに、後半はひとつずつバラバラに弾くのね。

もうわたしはアリーナの魅力に胸きゅん。ロンドンではもう聴くことが多分できないけど、世界を股にかけて活躍していくアリーナ。どこかでまた聴くことができるのを願っています。アリーナの発見が同じ、BBCシンフォニーの音楽会で、リゲティの協奏曲だったので、最後もまた現代曲で締めるというのは巡り合わせでしょうか。

アリーナとケレメンさん

so cute!!!


# by zerbinetta | 2012-04-28 23:59 | BBCシンフォニー | Trackback | Comments(1)

ドキドキしてほっ モレラ、セルヴェラ「リーズの結婚」  

28.04.2012 @royal opera house

frederick ashton (choreography)
ferdinand hérold (music)
barry wordsworth / oroh

laura morera (lise), ricardo cervera (colas),
alastair marriott (simone), liam scarlett (alain),
christopher saunders (thomas), etc.


さあ、この間、リハーサルで観たモレラさんとセルヴェラさんの「リーズの結婚」です。始まる前からドキドキ。あのリフトが成功するか失敗するか、もうわたしの方が緊張しちゃって。なので結論から先に書くと、上手くいきました〜〜〜!今日はモレラさんがさらっとスカートをまくってやりやすくしていました。もう嬉しくて涙ぼろぼろ。やっぱりどこかに思い入れがあると、感激もひとしお。実はちっちゃな声でやた!って叫んじゃった。

モレラさんとセルヴェラさんの踊りはとってもリズミカル。音楽も少し速めのテンポでした。このおふたりはなんだか音楽に乗ってさくさくと切れる感じですね。観ていてとっても気持ちが良かったです。
モレラさんはもうヴェテランだし、こわ〜い妖精のお局とかやり手の娼婦の役が多かったので、少女役はっていう思いはありましたが、でも、しっかり少女。踊りはとっても丁寧で上手いので、わたし的には問題なし。というか観て良かったと心から思いました。実は先の心配があったので観に行こうか悩んでいたのです。セルヴェラさんもいつもは名脇役で、とってもステキな踊りを見せてくれるので、主役を観てみたかったし。無垢に明るい役の彼もとっても魅力的でしたよ。

リアム・スカーレットさんのアランもとっても良かったです。何よりも満面の笑顔が全てを幸せに還元してしまいます。わたしに恋人がいなかったらアランと結婚してもいいなって素直に思いました。気持ちが純真なんです。振り付け家としての活躍が華々しい彼ですが、ステキな踊りもたくさん見せて欲しいです。

モレラさんと、今日ステキな音楽を作ってくれたワーズワースさん

いたずらっ子っぽい表情のスカーレットさん

モレラさんと真面目そうなあんちゃんのセルヴェラさん



# by zerbinetta | 2012-04-28 05:41 | バレエ | Trackback | Comments(0)

溶け合う音 イッサーリス、レヴィン ベートーヴェン ピアノとチェロの作品集  

27.04.2012 @queen elizabeth hall

beethoven: 12 variations on handel's 'see the conqu'ring hero comes';
cello sonata no. 1; 12 variations on 'ein mädchen oder weibchen';
horn sonata transc. for cello; cello sonata no. 3

steven isserlis (vc)
robert levin (fp)


バレエの合間に1日、あいてる日があったので、友達が行けなくなったサウスバンク・センターのチケットがあったので、それで今日の公演のチケットを買って聴いた来ました(なんかフクザツ?友達にはちゃんと換金された分のチケット代払いましたよ)。
イッサーリスさんのチェロ、聴きたかったんです。今度OAEと共演するのでそのときトリプル・コンチェルト聴く予定なんですけどね。レヴィンさんとのベートーヴェン、チェロ・ソナタ全曲演奏シリーズは、2回、今日はその1回目、ソナタは第1番と第3番、それに変奏曲とかホルン・ソナタをチェロのために編曲したものが演奏されます。

イッサーリスさんはふあふわ頭。後ろから見たらラトルさんと区別つかなかったり。一方のレヴィンさんは、大学の先生タイプ。実はもちょっと歳をとったお方かなって思っていたんですが、意外と若そうでびっくり。イッサーリスさんは結構大きな振りでチェロを弾きます。全身を使って音楽を表現しています。
今日の音楽会でびっくりしたのは、フォルテピアノとチェロの組み合わせは初めて聴くのですが、ふたつの音がなんて美しく溶け合うことか。特にフォルテピアノの低音とチェロの低弦の音の親和性が高くって、一瞬ピアノの音なのかチェロの音なのか分からなくなるほど。小さなホールでちょうど良い音量だったし、しっかり情熱的な演奏で素晴らしかった。日程の都合で今日の音楽会しか聴けなかったけど、もうひとつの音楽会も聴いてみたかったと強く思ってしまいました。チェロって歌う楽器ですよね。イッサーリスさんのチェロには古楽にありがちな乾いたところがなくてとってもステキでした。

曲については全ての曲が初めての曲なので、気の利いたことは言えません。
最初の曲は、表彰式のときよくかかる有名なヘンデルの曲を元にした変奏曲だけど、曲としてはちょっと平凡かなぁ。主題が偉大すぎて、やっぱこのメロディは大らかにたっぷり歌って欲しいから変奏しちゃうと面白くない。でも主題が回帰するところはさすが歌う楽器だなって思いました。

「魔笛」の有名なパパゲーノのアリアの旋律による変奏曲は、この軽快でかわいらしいメロディが大好きなので楽しめました。とっても楽しい音楽。わたしもパパゲーノのような生き方をしたいの〜〜。

ホルンのためのソナタをチェロのために編曲したのは、ホルンでは演奏機会が少ないからだそう。だって、ホルンのパートめちゃくちゃ難しそうで、よっぽど上手なホルン奏者を必要とするし、チェロだと簡単ってことじゃないでしょうけど、少なくとも音階は苦もなく弾けるからね〜(当時のホルンはヴァルヴがなくて自然倍音以外の音を出すのに苦労したそう)。なので最初のチェロパートは狩りのホルンをイメジさせるかっこよさ。それにしてもベートーヴェンはホルンにこんなにメロディアスな音を吹かせるとは。ホルンでもぜひ聴いてみたいけど、チェロでも違和感なく楽しめました。

そして今日の2曲のチェロ・ソナタは間違いなく素晴らしい音楽。第1番は最初の作品だけど、もうすでにピアノとチェロが対等で、とっても充実してる。そして第3番は、間違いなくベートーヴェンの書いた最良の音楽のひとつ。作品の力強さはさすがだし、解説によると充実した中期作品群のひとつだそうだけど、まさにその通りとわたしも思いました。
イッサーリスさんとレヴィンさんの演奏も、そんなベートーヴェンの音楽にしっかり応える素晴らしい演奏で、ピリオド楽器だとお互いの音が溶け合って一体の音楽として響くのがステキです。現代の楽器だと、ともすれば自己主張が強くてそれぞれが独立して聞こえるきらいがあるのでわたしは、このピリオドでの演奏が好きです。もちろんもう少し激しい音が欲しいときに、特にピアノですが、弱さを感じることがあったので一長一短かも知れませんが、わたしの好みはピリオド楽器での演奏だなぁ。イッサーリスさんとレヴィンさんの演奏だからっていうこともあるのかも知れませんが。

充実した音楽会で、次の回を聴けないのが残念。今週末は、いろいろ予定があって、コジョカルさんの「リーズ」や大好きなキングス・プレイスであるタコの弦楽4重奏の全曲演奏会も聴けなくて残念。ロンドン、音楽会多すぎ!


# by zerbinetta | 2012-04-27 07:35 | 室内楽・リサイタル | Trackback | Comments(0)

< 前のページ 次のページ >