イギリスって音楽的に空洞地帯だった?   

mozart symphony no.36
bruckner symphony no.4
mariss jansons / bavarian radio so @royal festival hall


またもブルックナーの交響曲第4番です。前回は音楽の弱さを見せつけられてしまった感じだったので、全然期待してません。でも、ヤンソンスさんとバイエルン放送交響楽団は聴いてみたかったの。お仕事が長引いたので、サウスバンクセンターに着いたのはぎりぎり。駆け込みで席に着きました。最初の曲はモーツァルトの交響曲、リンツ。明るくてチャーミングで実は大好きな曲です。実演で聴くのは初めて。古典派以前の音楽が古楽器で演奏されるのが市民権を得て、スペシャリストの人たちが演奏するようになって、従来のオーケストラの演奏はねっとりとしてカロリー高すぎって思うようになると、現代のオーケストラで聴くのが不安になるのよね。もちろん、現代のオーケストラ側の演奏も古楽器の奏法を取り入れるなんかしてずいぶんとすっきり演奏するようにもなってるし、その分、両方の良いところをうまく引き出す演奏をする人も増えて来てるから不安ばかりが先行するのも変だけど。それにモーツァルトの後期の交響曲は現代楽器の方がふくよかで柔らかい表現ができるし、ロマンティックに聞こえるのもステキだし。だけど、わたしとしてはモーツァルトは演奏者を選ぶと思ってるので、やっぱり不安。ヤンソンスさんとモーツァルトってイメジ重ならないので。と、前置きばかりが長くなっちゃったけど、でもこのモーツァルトの爽やかなアレグロはステキ。石田衣良さんだっけ、小説の中でこのアレグロの疾走感について言及したのは。ヤンソンスさんの演奏は心配の霧が晴れるくらいちゃんとモーツァルトしてましたよ。しっとりしすぎなく乾きすぎることもなく中庸でステキなモーツァルトでした。安心して聞けるという感じかな。
そして因縁のブルックナー。これが前回のドホナーニさんのブルックナーと全然違うの。見えてる風景が違うというか。まずオーケストラの音色からして違う。大陸とイギリスとでは風景が全然違うように、バイエルンって牧歌的な明るい山並みだものね、ブルックナーの見ていた景色ってバイエルンの景色に近いものがあるから、そこからして親和度が違うんでしょうか。わたしもこの間まで住んでいた大陸の景色が懐かしくなりました。そしてその風景の中で奏でられるブルックナーの音楽は、自然の豊かさに包まれたものでした。前に思ったブルックナーって自然が嫌い、だなんて大間違い。むしろ自然と共にいるような。そして前に感じた音楽の弱さも全然感じない。音が自然に流れてすすんでいくの。ヤンソンスさんは、オーケストラにゆだねるようにオーケストラをさりげなくコントロールしながら音楽を創っていきます。わたしはこの曲はあまり作り込まない方が好きって思ってるので、ヤンソンスさんの演奏はぴったりはまります。ドホナーニさんの場合は音楽の欠点をのぞくべく作為的にしすぎてかえって欠点をさらけ出してしまったっていう感じなのかな。ただ、それにしてもオーケストラにある空気はいかんともしがたいものがあるのかもしれません。大陸の持つ大陸の空気がこんなに大事だなんて思ってもみなかった。残念ながらイギリスは、独自の音楽を発展させてこなかった。もちろんパーセルとか近代ではエルガーとかヴォーンウィリアムスとか偉大な作曲家はいるにはいるんだけど、むしろ音楽においては大陸からの輸入国でしかなかった。ヘンデルを呼んだりハイドンを呼んだり。フランスもバロック時代はイタリアやドイツから音楽家を呼び寄せてフランス音楽を発展させているんだけど、それをきっかけに独自の音楽を創ってきた。イギリスは残念ながら音楽においてはそれをしなかったのね。科学においてはずうっと世界をリードしてるから、イギリス人の短所と言うより気質よね。国土の狭い島国だから、外からいろんなものを輸入する方が豊かになるのは確かなんだけど、それがちょっと残念。これって、わたしたちの日本にも通じるところがあるよね。日本の状況も音楽は常に輸入だし。独自に発展させてるのは電化製品とマンガ。特にマンガはすごいよ〜。閑話休題。イギリスのオーケストラはどんな音楽にも対応できる柔軟さを持ってるけど、独自の空気がないのがちょっと寂しい。といいつつ、わたしも独自の空気を持たないから生きていけるのだけど。。。
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by zerbinetta | 2008-11-29 19:56 | 海外オーケストラ | Comments(0)

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