若いブラームス   

bartok: music for strings, percussion and celesta
augusta read thomas: helios choros II
brahms: piano concerto no.1
lars vogt (pf), daniel harding / lso @barbican hall


ダニエル・ハーディングさんは10年くらい前、ベートーヴェンの序曲集を指揮した確かデビューCDが溌剌としていてとっても良くて、二十歳そこそこの若者が自分の思うままにオーケストラを鳴らして凄いなぁと思って以来、聴きたいと思っていたんだけどついにそれが実現しました。10年近くたったとは言えまだ30そこそこなのね。指揮者の世界ではまだ若造。どんな音楽になるのでしょう。まず、バルトーク。わたしの苦手なバルトークの中では一番好きな弦チェレ。ヴィブラートを抑えた弦のゆっくりしたメロディから彼の世界に引き込まれました。厚みのある音楽です。あれっ?LSOってこんなに上手だったっけ?って思いました(今まで聴いた感じではLSOってグラモフォンの世界のトップオーケストラ10にイギリスのオーケストラとしてひとつだけ入っていたんだけど、本当かしらって思ってたから)。2番目のトーマスさん(女性です)のヘリオス・ショロスIIは賑やかだカラフルでやや忙しない感じでしたがなかなかステキ。どこかで聞いたことのあるお名前だと思ったら、ずうっと以前にUSでオーケストラのための協奏曲という作品を聴いたことがあったのね。小さなフラグメントはそれぞれ和声的だったり調性的だったりするんだけど、それらが集まるときらきら光る万華鏡みたい。音は混ざってもそれぞれに聞こえるのでカラフルになるのね。
メインはブラームスのピアノ協奏曲第1番。大好き。LSOは今シーズンの柱が3つあってそのうちのひとつが love brahmsと題したブラームス・シリーズなのね。ばーんとアグレッシヴなオーケストラの強奏。ハイテンポで、あっ若いブラームスだ。ブラームスはワグナーのロマンティシズムの対極にいるせいか渋いとか枯れてるとかそんなイメジだけど、若いときから枯れてたわけでもなくって(当たり前だけど)、恋もすれば(実らせなかったけど)けんかもする(これは歳をとってもしてたけど)。そんな溌剌な音楽。モノトーンではあるけれども(そう書かれてる)エネルギッシュな音楽をハーディングさんは全身で表現してました。ハーディングさんって指揮棒使わないんですね。ハーディングさんの音楽は力強い第1主題を速めのテンポ、叙情的な部分をゆっくり目のテンポでメリハリをつける感じです。テンポの動かし方が自然で上手い。そしてピアノのヴォグトさんはそんな音楽にはまってました。ただちょっと残念なのはフォルテが単純に大きな音で表現されてたことです(かなりピアノを叩いてましたよ)。大きさだけじゃない豊かさというかフォルテの奥にあるものまで表現して欲しかったです。でも音楽の勢いはものすごくて、第1楽章が終わった後思わず拍手したいと思ったくらい。クラシックのコンサートでは拍手は全曲が終わってからとか音が鳴り終わってちょっと間を置いてからとか無粋な習慣が浸透しちゃってるけど、この音楽には1楽章の終わりで拍手がある方が自然だなって思います。多分ブラームスの音楽は当時の習慣も考えるとそう書かれてると思うんだもん。拍手によって間もとれるし。この間のシューマンの交響曲第4番は、楽章の終わりの音と次の楽章の始まりの音を一緒にしてびっくりさせるけど、そういうのも当時の習慣に合わせた方が驚きも強くて効果があると思うのよ。(すべての交響曲や協奏曲の楽章間で拍手をすべしなんて言ってるのではないことは言わずもがなですよ)
ハーディングさんってイギリス人だったのね。ちゃっかりドイツ人だと思ってた。ラトルさんやアバドさんの下でアシスタントをしてたらしい。そのうちベルリンフィルの指揮者になるのかしら。今はスウェーデン放送響のシェフのようです。
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by zerbinetta | 2008-12-14 20:58 | ロンドン交響楽団 | Comments(0)

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