交響曲第189番!   

sibelius: symphony no.7
sibelius: violin concerto
leif segerstam: symphony no.189
sibelius: finlandia
elina vahala (vn), leif segerstam / london schools symphony orchestra @barbican hall


今までで一番交響曲をたくさん書いた人、誰だか知ってる? ハ〜イドン。ブーーーっ。ええっ、じゃあミヤコフスキーだったけ?ホヴァネス?ブーーブーー。答えはセーゲルスタムさんなのです。指揮者として有名な。2001年の時点では63曲だったのに、この数年の間に100曲以上も書いてしまって、2008年の時点で205曲だそうです。うひょ〜〜。さて、その彼の今日は交響曲第189番。初演です。わたしの聴いた交響曲の中で最大の番号。ものすご〜〜く楽しみにしてました。だって189番ですよ。こんな大きな番号自慢できるじゃないですか。
音楽会はなんとシベリウスの交響曲第7番から始まりました。シベリウスの最後の交響曲にして清楚な精神性の高い音楽。演奏時間は短いけどプログラムの最後に持ってきても動じない崇高な音楽。休憩後(メイン曲)に奏されるセーゲルスタムさんの交響曲と釣り合うのかって心配になっちゃいます。LSSOはその名の通り学生のオーケストラ。高校生から大学生くらいの若者(多分全員ではないかもしれないけど多くは音楽家を目指していると思われます)の集まりです。若いエキスをたっぷり吸っちゃおうじゃないの。最近の若い人は技術的にはしっかりしているから破綻はないと思うけど、音楽の高さについて行けるのかなと思ったりもしましたが杞憂でした。セーゲルスタムさんの薫陶を受けたオーケストラはまさしく(多分すでに独自の音色を持ってるプロのオーケストラよりも)シベリウスの音を出していました。セーゲルスタムさんはゆっくりとした偉大なテンポで本物のシベリウスの音楽を鳴らしていたし、それに必死について行くオーケストラの姿勢には感動しました。セーゲルスタムさんは決してオーケストラに無理をさせず、若いオーケストラの良いところだけを上手に引き出していたと思います。その姿と相まってまさにフィンランドの森から降りてきた巨人。というか大きな魔法使い。お互いの共感はどんな演奏にも負けない奇跡的な音楽を生み出していました。それに演奏を聴いている会場の熱さ(家族や友達、身内関係が多かった)も音楽会にステキに作用してました。協奏曲のヴァイオリンを弾いたヴァハラさん(? なんて読むんでしょう。全部のaの上にアクサンあり)は、パンフレットの写真では10代かなぁって思ってましたが、20代半ばくらいのステキな女の人でした。何カ所か無意識に鳴ってしまった音があったけど、技術的にはお上手でこの難しい協奏曲を見事に弾ききりました。音もわたしのシベリウス好みの澄み切った凛とした音色で音楽にぴったり。ヴァイオリニストも指揮者もオーケストラも同じものを見つめてる。これほどまでに気持ちが直接伝わる演奏は若さゆえの特権だと思うし、この音楽会の経験は確実に彼らの礎のひとつになるんじゃないかしら。
そして休憩のあとはいよいよ交響曲第189番。音合わせのあと会場がざわざわしているうちに、オーケストラの後ろの方で音が。れれれ、指揮者なしで始まったのです。セッションごと、パートごとに音楽が奏でられる。フルートの人が立って合図をしたりして。200曲以上も交響曲を書く人だから、手抜きかななんて思っていたけど(たくさん作品を書く人は1作品あたりにかける時間が必然的に短くなるでしょ。どうしても作品を熟す時間が十分じゃないって思ってしまう。200曲の交響曲というのはそれほど莫大な数なんです)、どうしてどうしてきっちりと手の込んだ作品でした。現代音楽の常でメロディはないんだけど随所にきれいな透き通った響きが鳴って、紋切り型の言葉を使えば、フィンランドの森の透明な響きみたいな。ただ欲を言えば、限定的な偶然性によっていても作品全体を見通すひとつの構造が欲しかったかな。20分程度の作品だけど、音の美しい移ろいは感じられたけど、構成的な必然性が感じられなくて凡長に聞こえてしまった。と小言を言いつつ、初演という特別な機会を与えられた若いオーケストラにとっては得難い経験になるでしょう。最後のフィンランディアはセーゲルスタムさんらしい巨大なエネルギーの固まりのような演奏。セーゲルスタムさんがこの曲を演ると短いこの曲が壮大な大交響詩に聞こえるので不思議。今回の音楽会は熱い感動という意味では今シーズン一番の沸点の高いものになるでしょう。青春っていいね。わたしも音楽に打ち込むような熱い青春を送ってみたかったな。うらやましよ〜。
[PR]

by zerbinetta | 2009-01-07 21:10 | イギリスのオーケストラ | Comments(2)

Commented by 藤井 at 2009-03-15 12:05 x
zerbinettaさん、お久しぶりです。

「シベリウスの最後の交響曲にして清楚な精神性の高い音楽。演奏時間は短いけどプログラムの最後に持ってきても動じない崇高な音楽。」
この作品が大好きな私にとって、zerbinettaさんのこのコメントは最高!素敵です。
セーゲルスタムって、結構ロンドンの楽団に登場するんですね。
セーゲルスタム指揮の第七番、ヘルシンキフィルとの演奏をCDで聞きました。
写真で見る彼の風貌そのままの演奏といった感じでした。

優秀な学生オケの演奏って、ナイーブで野心的・意欲的で、のだめのライジングスターオケみたいなもんなのでしょうね。面白そう。
ロンドンは有名なオケが集まっており、多彩な指揮者達が素晴らしい演奏を聴かせてくれているようですね。これからもzerbinettaさんのコメントが楽しみです。
Commented by zerbinetta @m'z at 2009-03-17 08:59 x
藤井さん、こんにちは。
初コメント!ありがとうございます。
わたしはシベリウスは実は第6番を愛しているのですが、最近は無駄をそぎ落として結晶のごとくに純粋な第7番も大好きです。セーゲルスタムさんの演奏はどっしりと巨大な揺るぎのないものでした。本当に風貌と音楽がマッチしてます。ただちょっと心配なのは巨体を支える足がお悪いらしくステージに上がる階段がしんどそうでした。セーゲルスタムさん、来シーズンはフィルハーモニアに登場されます。残念ながらシベリウスはやらないのですけどマーラーの第5番です。

ところで藤井さんの口からのだめなんて言葉が出てきてびっくりです。マンガ読まれるのですか?わたしも大好きで、マンガもTVのも持ってます。最近はこの人のだめに出てくる誰々に似てるとか思って密かににやけてます。

また藤井さんと音楽のお話ができることをうんとうれしく思っています。よろしくお願いします、ね。

<< 産めよ増やせよ ティンパニ協奏曲? >>