神が降りてきた   

mahler: symphony no.9
daniele gatti / rpo @royal festival hall


ダニエル・ガッティさんとロイヤルフィル。実はガッティさんって独特の間の区切り方をするのでちょびっと苦手だったりもします。ハイドンの交響曲第104番もアナウンスされていたので長い音楽会になるんだな〜って思っていたら、マーラーの第9番だけになっていました。わたしの中で番号最大交響曲ブームだったのでちょっと残念、ちょっとほっ。ただ、いきなりマーラーの交響曲だったので、早めに会場に着いて気持ちの準備はしていたつもりだったのに、第1楽章はなんだか分からないうちに進んでいきました。席がオーケストラの後ろだったので(ここで聴くのが好きなんです)、絶大に鳴らされた金管に隠れて弦楽器が聞こえづらかったのかもしれない。複雑に絡み合う音楽なので何が何だか分からなくなってたのかもしれない。ガッティさんの演奏はメロディ重視ではなく、スコアに書かれた音を対等に扱うタイプの演奏だというのも一因かもしれない。もしくはオーケストラに荒さがちょっとあって細かなことが気になってしまったからかもしれない。でも一番はあまりにも久しぶりにこの曲を耳にするわたしの準備不足でしょう。このままずるずる行っちゃうのかな、と思った矢先、第2楽章を始める前に見せたガッティさんの笑顔ですべてが変わった。あっこれは愉しい音楽かな、と思ったとおり、ガッティさんは第2楽章をとても愉しそうに奏でました。音楽がとても生き生きとして、さっきまでのもやもやが嘘のように晴れて、もしかしたらこの交響曲の白眉は第2楽章じゃないかなと思うぐらいにステキに。複雑な音の絡み合い、お互いに刺激しあって細かな対位法を作っていく。なんという豊かな音楽、演奏なんでしょう。わたしはこの音楽だけで十分幸せな気持ちにさせられました。客席の空気も音楽に吸い込まれていくのがよく分かる。会場がひとつのものになる。一度ついた勢いは止まるものではありません。次の第3楽章もオーケストラを見事に鳴らして、オーケストラをきっちりコントロールしながら複雑な音楽が明快に展開していく。ガッティさんの指揮は細かな表現まできっちり指示したり、途中で指揮を止めてオーケストラに自主性と緊張を誘起したりとそれは見事。そしてそれはフィナーレの大きな流れになって結実するのです。大河のようにゆっくりと自然に流れる音楽。中間の弦楽器で蕩々と盛り上がるところは一段とテンポを落としてクライマックスに向かっていく。そして最後は本当に消え入るように。。。これは音楽会ではない。何か宗教的な儀式のよう。わたしには最後に彼岸の扉が開いたのが確かに見えました。生と死は連続してつながっている。ゆっくりとした歩みの中いつの間にか神に手を取られるのが死なのかな。心が透明な何かに満たされた充実した清廉な死。もしくは終わり。しばらく放心して席から立ち上がることができませんでした。
[PR]

by zerbinetta | 2009-01-14 21:12 | ロイヤル・フィルハーモニック | Comments(0)

<< 真っ赤に染めた髪 産めよ増やせよ >>