新しくされるベートーヴェン   

john adams: slonimsky's earbox
barber: violin concerto
beethoven symphony no.3
joshua bell (vn), osmo vanska / minnesota o. @barbican hall


うきゃっ。わたしは美しいものが好き。美しい人が好き。イケメン好きではないと思うんだけど、姿の美しいひとにはキュンときちゃう。その中のひとりが誰であろう、ヴァイオリニストのジョシュア・ベルさん。彼の柔らかな笑顔やヴァイオリンを弾くときの美しいお姿はわたしを幸せの中にとろけさせる。彼の名前を音楽会のリストに見つけたとき、すぐに丸をつけましたよ。今日はその音楽会。ヴァンスカさんとミネソタ・オーケストラ。USのオーケストラはシカゴやボストンなんかの有名なオーケストラより、地方都市のオーケストラの方が若々しく勢いがあって好き。勢いのある若い指揮者とオーケストラが一体となって伸びていく感じがとってもステキなの。ヴァンスカさんを得たミネソタのオーケストラもそんな感じ。アンサンブルがとっても良くて、弦楽器が予想外に上手かったの。ヴァンスカさんの指揮は、指揮台で伸び上がったりしゃがんだり大きな身振りでオーケストラを煽ったり引っ張ったり。オーケストラと一体となって音楽に参加してました。そんなヴァンスカさんの表現は振幅の幅を大きくとって、バーバーの秋のそよ風が、木々を強く揺らす疾風のよう。でもそれが不思議といいんです。静かなトランクイロの音楽だと思っていたのに結構熱いんだな、でもこれもいいな。ベルさんの方は、相変わらずお姿がうっとり美しく目をハート型にして見てるの、じゃなかった結構端正に弾いているのがオーケストラと上手くバランスが取れてて、とってもステキなのね。そして曲が終わった後、アンコールを弾いてくれたのだけど、これがとっても楽しかった。アメリカのフォークソング(アルプス一万尺)の主題によるヴィルトゥオーゾ風の小品。よく知ってるメロディがまことしやかに偉そぶって変奏されるんだけど、こんなジョークはとっても楽しい。それにヴィルトゥオーゾなのでとっても難しそうで、速いパッセージでピツィカートと弓で同時に弾くところなんか、舌を巻きそう。ベルさんがこんなに上手だとは思わなかった。って言うと失礼に聞こえるかな。でも、ベルさんってヴィルトゥオーゾ風な演奏をする人ではなくて、音楽的な表現を大事にする演奏をするタイプだから、技術のことを考えたことがないのね。でも、世界的なソリストのひとりなんだから技術があるのは当たり前なんだけど。
ベートーヴェンは実は全然期待してなかったんです。ヴァンスカさんで聴きたいって言ったらやっぱりシベリウスとかだし、ベートーヴェンはミネソタのオーケストラよりヨーロッパの大陸のオーケストラで聴きたい。ってね。ところが。このベートーヴェン、ものすごく良かったんです。快速テンポではあるのだけど、ピリオド的な演奏の受け売りなんかではなく、細かいところに至るまでひとつひとつの表現に意味があるんです。ヴァンスカさんはやっぱり大きな身振りで音楽をドライブしていくのですが、ディナーミクの付け方がとってもユニークでステキ。音符のひとつひとつにクレシェンドとデクレシェンドを付ける表現はベートーヴェンの時代にはなかったかもしれないけれども、これもぴったりはまるのです。とにかく、考え抜かれた音楽。ベートーヴェンの演奏解釈はもうあらゆるものが出尽くして新しい表現はもう出てこないだろうと思っていたのですが、まだまだ可能性があったのですね。ベートーヴェンの音楽の偉大さ、ヴァンスカさんの音楽家としての確かな目。ヴァンスカさんは音符のひとつひとつの意味やその表現について夜を徹して嬉々として明確に語ってくれるでしょう。いえ、ヴァンスカさんが直接語らなくても音楽が雄弁に語ってくれます。そして、そのヴァンスカさんの意図を的確に音にして表現するオーケストラの上手さ。否、それ以上にヴァンスカさんとの信頼関係に結ばれていてひとつの音楽を表現していく姿勢に惹かれました。まだ気が早いけど、今シーズンのベストの音楽会のひとつになる予感がしました。
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by zerbinetta | 2009-02-24 09:05 | 海外オーケストラ | Comments(0)

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