ステキな聴衆を持ってるロンドンはステキ   

xenakis: tracees, anastenaria, sea nymphs, mists, troorkh, antikhthon
christian lindberg (tb), martyn brabbins / bbc symphony chorus, bbcso /
rolf hind (pf) / stephen betteridge / bbc singers @barbican hall


BBCの3回にわたる現代作曲家特集の最終日はクセナキスです。現代音楽好きの女の子って(わたしは女の子ではないけど)かわいげがないって敬遠されそうだけど、わたしはわりと今の音楽が好きです。機会があればなるべく聴きに行きたい。クセナキスの音楽を生で聴くのは初めて。CDでは聴いたことがあって、そのものすごい高密度の音楽に圧倒されるのですが、それを生で聴くとさらに圧倒されるのです。その上、BBCシンフォニーって音の大きなオーケストラなものですからよりいっそう。始まりはオーケストラによるトレシーズ。もう強力に圧倒的にたくさんの音が追う密度で詰まってる。耳をつんざくばかりの大音響。そしてグリッサンドしまくり。宇宙的というか宇宙に放り出されたらこんな感じがするんだろうか。クセナキスの音楽を最大パワーでヘッドフォンで聴かされたらこれに勝る拷問はないぞってジョークとばかりは言えないね。でもやっぱり凄いな。こういう音楽ってまさに人類にとって記念碑的な遺産だよね。合唱付きのアナステナリア3部作はちゃんと歌われる音楽。現代音楽って歌がちゃんと歌われないっていうわたしには不満があるんだけど、この曲はちゃんと歌われてました。もちろん口ずさめるメロディがある訳じゃないんですけど。それにしてもこの3部作、3部作といってもそれぞれでずいぶんと作風が違うなぁ。ここまではオーケストラのすぐ脇の席で聴いたんだけど、かなり音圧があるので、休憩のあとは2階席に移りました。
第2部は合唱とピアノの独奏。合唱曲は休符のあとの歌い出す前にそれぞれに音叉で音を取っててこんな方法もありかって思いました。感覚的に音が取れる音楽ではないので。わたしは晩年の人魚という曲の方が好きでした。でも、音叉を叩く仕方が頭で叩いたり足に打ったり、手で叩いたりそれぞれ違うのでそれが見ていて面白かったです。
もう1回の休憩のあとはリンドバーグさんのトロンボーンでトゥルーク(と読むんでしょうか?)。プログラムに書かれていたリンドバーグさんの文章に、リンドバーグさんがクセナキスに会いに行って曲を書いてもらうように頼んだ話(断られたけど、結局書いてくれた)があったんですけど、この曲ができあがって、クセナキスは気に入ったら演奏してくれてもうれしいし、気に入らなかったらゴミ箱に捨ててもらっても同様にうれしいと言われたそうです。ものすごく難しい曲で、彼は2年にわたって練習してようやく演奏できるようにしたそう。こんな話を読むとプロの音楽家ってものすごいんだなって思います。確かにとんでもない曲でした。あっわたしはリンドバーグさん好きなんですよん。相変わらず細いパンツと道化みたいなシャツでコールのときは舞台袖とステージを駈けて往復してました。ほんと楽しい人。最後にもう一つオーケストラの曲が奏されて、そうそう今日の指揮者はブラビンスさん。もうこのブログには2回登場してます。中庸で個性がないなどとけなしたりしてましたが、どうしてどうして、クセナキスの音楽をこんなにちゃんとまとめられるなんて凄いです。何でも振りこなせるとてもユースフルな指揮者さんです。万能で個性がないと欠点をあげることもできるかもしれないけど(わたしがそうでした)、実は才能豊かな音楽の世界にはとても大事な逸材だと改めて思いました。それにしても、クセナキスはかなり聴きづらい音楽だと思うけど、こうしてホールに集まるお客さん(若い尖った人や音楽を学んでる人も混じってるけど多くはいつもの音楽会に来る感じの人たち)がきちんと評価し拍手を送っているのを見ると、ロンドンってステキな聴衆がいるステキな町だと思いました。
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by zerbinetta | 2009-03-07 08:28 | BBCシンフォニー | Comments(0)

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