重戦車   

haydn: cello concerto in D
Mahler: symphony no.5
jean-guihen queyras (vc), jiei belohlavek / bbcso @barbican hall


BBCシンフォニーの今シーズン最後の演奏会。ハイドンのチェロ協奏曲と初めて聴くマーラーの交響曲第5番。チェリストはケラスさん。いや、ケラスさん、眉毛で語るっぽい雰囲気(眉毛が濃いとかつながってるとかいうんじゃなくてわたしの友達がそうだったから)がわたしの友達(日本人)に似ていてちょっぴりどきどき。ケラスさんをかぶり付きで見上げるような席に座ったので、友達にするように面白い顔をして笑わかせてみようかしらなどといたずらっぽい考えを抱いてしまいました。演奏はお姿通りとっても端正、とっても自然。付け足しも不足もなく純粋な音楽のみが聞こえてくる。ハイドンのこの曲ってまさにそんな曲よね。こんな演奏をさらりとやってしまうなんてものすごい実力者。
マーラーの交響曲第5番は始まりのトランペットから重い音色。BBCシンフォニーの金管って密度の高い重い音色が特徴なんですね。それはビエロフラーヴェクさんの創りたい音楽の方向性とも一致するものでした。遅めのテンポで引き摺るような重い足取りで音楽が進む葬送行進曲。第2楽章も重い表現(リズムがもたついてるというわけではありません)。どんよりとした暗い感じが結構ツボ。この曲ってずいぶんとごちゃごちゃと対旋律が出てきてすっきりしない感じがするのですが、それをすっきりしないまま聴かせる方がわたしは好きなんです。スマートに見通しが良すぎるとなんだかこの音楽の本質を失う感じがしちゃって。マーラーってわりと古風な人なんだと思うんですよ。少なくともこの曲では。だってブルックナーもやってるじゃない、だもん。次のスケルツォもずいぶんと素朴でしょ。なんか気持ちに直接訴えかけてくる時代遅れの流行歌みたいなメロディも裸でおおっぴらにチェロやホルンで歌われるし。でも、それがいいんだと思うんですよ。ビエロフラーヴェクさんの演奏はある意味、前時代的な音楽をきちんと表現したかったんじゃないかなぁ。例えそれが流行遅れでも。でも、細かい音符はマルカート気味にはっきりと、長い音符はテヌート気味にと対比をつける工夫をしたり、音楽の隅々にまで目を配って、とっても丁寧な演奏だったの。そして、重戦車で突き進むような重いエネルギーを持った音楽は、かえってこの曲の弱点かもしれないフィナーレへ至るドラマ性の弱さを感じさせませんでした。突進するフィナーレの開放感、とってつけたような古くさいコラールも壮大に演奏したもの勝ちよね。演奏後のオーケストラの人たちの満足げな様子(チェロの主席の人はパートの人たちに小さくグッドジョブのハンドサインを出していました)も音楽がとても良く鳴っていたことの証しのひとつかもしれません。
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by zerbinetta | 2009-05-23 07:56 | BBCシンフォニー | Comments(1)

Commented at 2009-10-14 21:48 x
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