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サウスバンク・センター聴き納め   

beethoven: piano concerto no.5
brahms: symphony no.1
radu lupu (pf), jukka-pekka saraste / lpo @royal festival hall


今年のサウスバンク・センターでの音楽会の聴き納めです。クリスマス休暇は日本で過ごすので。クリスマス・シーズンは音楽会も減るのですよ。また来年からは(音楽会で)忙しくなるので一時休憩、鋭気を養ってきます。
今日はこの間聴いて感激した哲人ラドゥ・ルプーさんのピアノでベートーヴェンの皇帝。どんな音楽になるのかドキドキ。で、始まってみて???びっくり。全く別の世界の皇帝に連れて行かれてしまったの。わたしの皇帝は、きらきら輝いていて祝祭的な音楽。なのにルプーさんの弾き出したピアノは対極の地味〜なもの。枯れた皇帝。晩年権力の座を放置して盆栽だの文化などにうつつを抜かしてる、でもしっかり人望は厚い象徴的な皇帝。って書いたら日本の天皇の人みたいかも。それにしてもここまで地味に滋味に満ちた演奏をしちゃうのもすごいっ。こんな演奏したら普通は怒られますよ。曲が違うって。でも、わたしにとっては違う皇帝でも、聴いていて面白いんですね。ピアノの音色めちゃきれいだし、表現も変わってるけど引き込まれるし。予想通り特に良かったのは第2楽章。この部分はルプーさんとベートーヴェンとの間の齟齬が少なかったと思います。第3楽章はまた違う音楽。全くルプーさんの独壇場で、オーケストラも指揮者を差し置いてルプーさんに合わせさせられてる感じ。ピアノから表情を指示出ししてたり。ルプーさんは協奏曲じゃなく、もっと自由にできる、シューベルトやシューマンの独奏曲で聴いてみたいと思いました。とにかく、指揮のサラステさんかわいそうだった。

その鬱憤を晴らしたのが休憩後のブラームスの交響曲第1番。指揮台に立つなり拍手が鳴り終わりきらないうちに怒濤のごとく始まった。最初っから気合い全開。勢いのある快速テンポ。これならブラームス舐めてるんじゃないデスヨなんて言われません。とにかくこのブラームスは凄く良かった。音も内声の隅々まで聞こえるようで、第4楽章の展開部の盛り上がりの内声のフガートのような細かな音符が手に取るよう。ここまでしっかり演れば憂さも完璧に晴れたでしょうね。わたしも元気をもらってすっきり。

by zerbinetta | 2009-12-11 08:58 | ロンドン・フィルハーモニック

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