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200年前のソープ・オペラ   

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mozart: cosi fan tutte
sally matthews (fiordiligi), nino surguladze (dorabella),
charles castronovo (ferrando), troy cook (guglielmo)
helene schneiderman (despina), william shimell (don alfonso),
jonathan miller (dir)
julia jones / roh @covent garden


モーツァルトのコジ・ファン・トゥッティ。お話的に不道徳だとか、くだらないとか昔からいろいろ批判があるけれども、音楽はやっぱりステキだし、面白いし、楽しんだもの勝ちっ。結構好きです。ジョナサン・ミラーさんのオリジナル演出(今回の再演はダニエル・ドゥーナー(daniel dooner)さんが監督してます)のです。ダ・ポンテのお話を見事に現代に置き換えて、ソープオペラに仕立てています。コジは過去に何回かオーソドックスな演出で観たことがあるんですけど、今回のが圧倒的に面白かったし分かりやすかったです。歌詞に対しても音楽に対しても違和感がないのも凄いです。200年以上も前に書かれたお話が、今に生き生きとよみがえってきます。男性陣の最初はスーツ、次に軍服、そしてロックンローラーのコスプレ、もちろん、デスピーナのコスプレ、女性陣がロックンローラーと結婚することになって感化された服装、などコスプレ・ファンにはたまりません(ちがう?)。携帯電話などの小道具も使い方も上手い。キー・アイテムはステージの奥に置かれた姿見ですね。内と外、本音と建て前を見事に象徴しています。演出家の勝利ですね。
歌手陣は残念ながら最上とは言えませんでした。でもそれがなんでしょう。このオペラは6人のそれぞれの配役をほぼ同等に扱っているので、突出した歌手はいらないと思います。むしろアンサンブル重視の方がいい感じ。なのでわたしはほとんど不満はありませんでした。とにかくこういうオペラはつべこべ言わずに笑って楽しむ。これに限りますね。
指揮者のジュリア・ジョーンズさんはまだ珍しい女性指揮者。なんて早く死語にならないかしら。全く引け目を感じさせることなく良い演奏でした。さやさやと音を抑えて演奏していたのが、会話で劇が進行する(アリアでさえも真っ直ぐ劇の進行に役立ってますしね)このオペラにはぴったりだったんではないでしょうか。コンティニュオがピアノフォルテだったのもちょっぴり現代的な響きで良かった。
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by zerbinetta | 2010-01-29 06:43 | オペラ

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