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ふわふわ髪の毛の世代   

sibelius: king kristian II suite
grieg: piano concerto
lindberg: chorale
sibelius: symphony no. 7
simon trpčeski (pf), robin ticciati / lso @barbican hall


どうしてこの音楽会のチケットを買っていたのかすうっかり忘れていたのですが、多分、トルプチェスキさんが弾くのと、シベリウスの交響曲第7番が演奏されるからではないかしら。そして今日はふふふちょっぴり特別な日でもあったのです。とかいって決してたいしたことないのだけど、誕生日だったんですね。お誕生日プレゼント。

指揮者は全く知らない人。名前から想像するに外国人さんだと思っていたらロンドン生まれ。イタリア系なんですけどね。そしてなんと若い!!1983年生まれの27歳(?)。わたしより一回り以上若い。わたしも歳をとったものよのう。この人からどんな音楽が生まれるのでしょう。って思いつつ耳を澄ませたら、それはそれはステキな音楽が。「クリスチャン王2世」は初めて聴く音楽だけど、シベリウスらしい清楚で美しい音楽。そして初期の作品の特徴でもあるチャイコフスキーばりの叙情性も。ロビン・ティチアーティさん音がふんわりと切れるところの無音の音楽性がものすごくステキで、特にゆっくりと抒情的な最初のふたつの楽章はとっても良かったです。ロンドン・シンフォニーもステキな音色で弾いていたし。ただちょこっと心残りだったのは速い楽章での盛り上げ方がちょっと足りないというかまだ完全にはコントロールできてないかなって思いました。でもでも、これは大発掘ですよ。この若さなら、毎日毎日どんどん変化していくでしょう。これからがとおっても期待できます。そういえば、わたしはまだ聴いたことないけど、巷で評判のドゥダメルさん、このふたりはふわふわ頭が共通ね。指揮界の若手はふわふわがトレンド。ヴィオラだけではありません。

トルプチェスキさんのピアノはグリーグの協奏曲。トルプチェスキさんはなぜか最初に聴いたときから相性がいいのです。言葉で上手く説明できないんだけど、この人の音楽とやたらとウマがあって、恋人じゃないんだけど、ひとりでにずうっと一緒にいてしまうみたいな、そんな惹かれ方。この人のピアノにはわたしを惹き付ける何かがあるんでしょう。今日のグリーグはゆっくり目のテンポでこれでもかというほど抒情的。音楽を豊かに歌わせます。オーケストラも魅力的にそれをサポート。ティチアーティさんもやはりただ者ではありません。それにしてもトルプチェスキさんって貫禄あるというか、なんか堂々としてるというか、これでまだ30代になったばかりっていうのが信じられません。素で観るとやっぱり若いって分かるんだけどね。カーテンコールのときはひとりまたひとりとふたりの女性が花束を手渡していました。挨拶のキス。今日は彼と同郷のマケドニアの人が多かったみたいです。音楽会のあとのサイン会でもたくさんの人がキスの挨拶を交わしていました。キス不足のわたしはうらやましかった。あ〜キスしたいよ〜〜。
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休憩の後はマグヌス・リンドベルイのコラール。この曲を聴くのは2回目なのでどんな曲なのか覚えているんだけど、今日の演奏はちょっとアンサンブルにしまりがないなって思いました。どうしてかみんなおどおどしてる感じ。リハーサル不足かなぁ。
お終いのシベリウスはステキでした。ただわたしはこの曲のうんとステキな演奏を何回か聴いているので評価は厳しくなってしまいます。確かにきちんとまとまってるし、よくこなれた演奏をしていると思うのだけど、もうひとつそこから踏み込んだ何かが欲しい。心を動かすものが欲しい。この音楽は無駄を一切削り取って極限までシンプルで清廉な美しさを称えてるけれども、美しく演奏しただけでは足りないんだと思います。ただ、削り取る作業って20代の若者には荷が重すぎるんだと思うんです。彼らの年代はわたしもそうだったけど、何もかも詰め込みたい、ありとあらゆることを表現したいと思い込む季節だと思うんです。それは正しい。でもそれではシベリウスの最後の交響曲は表現しきれないと思うんですね。もちろんそれは時と経験によってしか解決できないでしょう。そして、ティチアーティさんはそれができる人だと思います。それを楽しみに待ちたい。と、偉そうにまた無駄に歳をとってしまったわたしからのメッセージでした。
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by zerbinetta | 2010-03-25 09:31 | ロンドン交響楽団

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