頑張れ日本人 (ついでにわたし)   

elgar: in the south
mendelssohn: violin concerto
ian mcqueen: earthly paradise (world premiere)
akiko suwanai (vn), sir andrew davis / bbc so @barbican hall


今日のはチケット取るとき悩んだんですよ(もう半年も前の話ですけどね)。裏番組が応援してる指揮者、ネゼ=セガンさんとリサだったので。でも、ジェニファー・パイク(jennifer pike)さんは、よくお名前を見かける売り出し中の若いヴァイオリニストなのにまだ聴いたことがなかったので、こちらを聴いてみたいと思ったのでした。ところがプログラムを見るとスワナイさんのお名前が。あれれ? パイクさんキャンセルになって代わりに諏訪内晶子さんが弾くことになったのです。諏訪内さんを聴くのは2度目です。10年ほど前にワシントンDCでバルトークの協奏曲を聴きました。今日はどんな演奏をするのでしょう。

音楽会は我が作曲家エルガーの「南国にて」で始まりました。タイトル通り、活発な弾けるような明るさに溢れた始まり。中間部ではチェロ協奏曲を思い起こさせるような重厚なちょっとメランコリックな音楽。映画の音楽みたいでちょっとかっこいい。最後はまた活発な音楽に戻って、ひねくれてないリヒャルト・シュトラウスを思い起こさせるような音楽を閉じるのでした。それにしても今はエルガーの気持ち分かるな。ロンドンって暗いものね〜。わたしだって南国に行きたいっ。指揮者のアンドリュー・デイヴィスさんってほんっとにこやかで幸せそう。こんなに楽しそうな顔をしてる人って滅多にいないよ。

諏訪内さんが弾くのはメンデルスゾーンの協奏曲。去年はメンデルスゾーン・イヤーなのもあって結構演奏されてました。わたしもここで聴くの3回目くらい。諏訪内さんって日本人には人気だと思うんだけど(前にフィルハーモニアで弾いたときはチケット、ソールドアウトでした)、今日は突然の変更だったためか日本人少なめ。空席もありました。シルバーのドレスで現れた諏訪内さんは第一印象、細っこ〜い。わりと薄化粧で、前に感じた少女のような表情は消えて大人になったなぁって思った。わたしと同世代。考えてみたらもうアラフォーとかいう年頃なのよね(ごめんなさいごめんなさいわたしの方が2つばかり年上です)。でも相変わらずの楚々とした美人。そして音楽も楚々としたとても真面目な感じ。音が大きくてとってもきれい。テクニックも正確だし欠点と言えるような欠点は見あたらない。んだけど、何かちょっとだけ物足りないのよね。とっても丁寧に上手に弾いているのに、自己主張が弱い感じ。もちろん、必要なところではわざと濁った音を出したり、大きな音で朗々と歌ったりするんだけど、折り目正しくて、崩したところがない、というのか隙がなさ過ぎるような気がするの。予定調和的でドキリとする不確定な瞬間に出逢わないのね。もちろんここまで折り目正しく演奏できるなんてうんと凄いことなんだけど、彼女にはもう一歩踏み出して欲しい。真面目すぎるのかな。それともシャイなのかしら。これって実は外国でやっていく日本人に共通の欠点じゃないかと思う。ついついまわりに合わせて一歩下がっちゃうと言うか。わたしも日本じゃ規格外れだけどこっちじゃまだまだ自分が弱いもの。日本人のソリストが実力がある人たくさんいるのに海外で活躍できてないのもこのせいじゃないかしら。あっもちろん外国に住んでいない(地の利がない)っていうのもあるかもしれないけど。今まで日本人のソリストで聴いたことのある人って、もちろんわたしの聴いているのは一部でしかないけれども、諏訪内さんの他にはピアノの内田光子さんとヴァイオリンのミドリ、オンドマルトノの原田節さんだけ。庄司紗矢香さんは聴く予定になってるけど。オーケストラの中で活躍している日本人や指揮者は多くなってるけど、ソリストで活躍してる人って少ないでしょ(日本にいると外国で録音されたCDも出てるので気づきづらいけど)。わたしも日本人の端くれとして、日本の人たちにはもっと外に出てきて頑張って欲しい。脱線しちゃったけど、諏訪内さんにもとっても期待しています。彼女がもうひとつ自分の殻を破ったとき、ものすごい演奏家になると信じているから。とかいいつつ、頭の中をずうっとメンデルスゾーンのメロディが駈け回ってるのは、やっぱり演奏がステキだったせいなのかも。頭では斜に構えて結構批判してるくせに体は正直に演奏を楽しんでたんだわ。

最後は、ロンドン出身の作曲家、イアン・マックィーンさんの「地上の楽園」という曲です。BBCからの委嘱で、今日が初演。実はわたしはこういう音楽を聴くとどうしていいのか分からなくなってしまうのです。音楽は分かりやすい。耳障りが良くって、良くできてる。映画の音楽みたいなところもあるけど、楽しめる。のだけど、果たしてこれは今の時代に書かれなければいけない音楽なのか、って。素直になれないわたしがいるんですね。それにしても今ってなんだろう。どんな時代なんだろう。退行的、何でもあり、軽薄短小、理解するのに努力のいるものはもう価値がないのかな。全ての人が遍く理解できるものこそ良しとしたベートーヴェンの頃の理想が実現した?本当に前衛的なものは人々を離れて自己満足の世界に自足した?皮肉にも地上の楽園というタイトルの音楽にはふさわしいのかもしれないけどね。まぁ1回聴いただけで判断できることじゃないし、ラジオ3で放送があるから聴き直してみようっと。
デイヴィスさんは最後も満面の笑みでした。作曲者に来い来いって手招きして指揮台の上に立たせたり、とっても嬉しげ。あの笑顔を見てるとこっちまで嬉しくなっちゃいます。スマイル大賞を差し上げたいわ。賞金は、、スマイル0円。
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by zerbinetta | 2010-04-10 16:49 | BBCシンフォニー | Comments(2)

Commented by かんとく at 2010-04-13 05:59 x
こんばんは。諏訪内さんは私は去年のPromsで初めて聴きました。すごく綺麗で舞台映えするのは印象的だったのですが、演奏の方はあまり印象に残らなかったのが残念でした。是非、今後、大きく花開いて欲しいですね。
庄司さんは日本でも何回か聴いていて、とっても好きな奏者なので、ロンドンでの演奏をとっても期待しています。
Commented by zerbinetta at 2010-04-13 06:52
春ですね〜。
そうなんです。諏訪内さんってとおっても上手いのになぜか印象が薄いんですね。一皮むければ絶対凄い音楽家になると思うのです。是非そうなって欲しいと願ってます。
庄司さんはステキなんですね。わたしはまだ聴いたことないけど、楽しみ〜です。

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