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thomas adès: powder her face
philip hensher (libretto)
carlos wagner (director)
joan rodgers (duchess), rebecca bottone (maid etc.),
alan ewing (hotel manager etc.), iain paton (electrician etc.)
timothy redmond / royal opera house @linbury studio theatre


最近バレエづいてるので、オペラはもういいかななんて思ってたんだけど、久しぶりにオペラを観るとあっさり、オペラもいいなって寝返り。そして小さなオペラ・スタジオのオペラがとってもステキなんです。今日はロイヤル・オペラ・ハウスのリンバリー・スタジオ、500席くらいの小さな会場、で、室内オペラ。現代物です。作曲家のトーマス・アデスさんは現代の若手(来年40歳、あれっ?もう中堅?)の中でひときわ群を抜いている方ではないでしょうか。指揮者としても活躍していて、今度ロンドン・シンフォニーで自作とバルトークを演る予定になっています。ベンジャミン・ブリテンの再来とかとも言われていたそうで、今日初めて彼のオペラ、彼が24歳の作品、を観て確かに凄い才能だと思いました。今日のオペラは「パウダー・ハー・フェイス」。日本語に訳すと「彼女の顔に白粉を塗れ」かな。センスないけど。
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階段状の舞台には、大きな化粧品のチューブや瓶が置いてあって、左側には大きな丸いコンパクトがあります。このコンパクトはふたが帆立貝のように開くようになっていて、主人公の公爵夫人はほとんどここで横になったり、座ったり、フェラチオしながら歌います。このオペラはどぎついセックス・シーンの描写で評判になったそうです。オペラの題材は実在したアーガイル公爵夫人、マーガレットの醜聞を題材にしています。大人のオペラ。

音楽はピアソラ風のタンゴの音楽、ただしかなり現代的な音使いです、で始まりました。晩年、侯爵と離婚してホテルに住む公爵夫人のコートを売っちゃおうかという相談をする、メイドと電気工事師の会話のシーンで始まるのですが、高いソプラノとテナーのこのお二人は、その後、いろんな役に扮して活躍です。ソプラノのレベッカ・ボットーネさん、どこかで聞いたお名前だと思ったら、去年グラン・マカブルで歌ってた人ですね。彼女のキンキン声はわたしの好みではないけれども、演技も上手くとても良かったです。このふたりの企みは、ホタテが開いて現れた公爵夫人に見つかっておじゃん。ここから過去にさかのぼって、公爵夫人の物語が始まります。

オーケストラは16人。弦5部は6人でコントラバスがなにげに2本です。木管楽器はクラリネットとサックスの持ち替えが3人。金管楽器が1人ずつで、これにハープ(結構面白い音型を弾いていました)とピアノ、打楽器とアコーディオンが入ります。この編成、そしてクラリネットと金管、ピアノ、アコーディオンの音色はシュトラウスの「ナクソス島のアリアドネ」を彷彿させるものでした。そして、第1幕ではアリアドネのツェルビネッタのシーンが多く引用されていたように思えます。公爵夫人に銀のバラが手渡されるシーンでは「バラの騎士」のバラのモチーフさえ引用されていました。作曲家がさりげなく隠した仕掛けをゲームのように見つけるのが実はとっても大好きです。じっくり探せば、この曲、ベリオの「シンフォニア」とか現代曲もいろいろ隠されていそうなので面白そうです。
件のフェラチオのシーンは、婦人が顔を埋めている男の股間から、裸の男の人が出てきてびっくり。この演出はインパクトありました。一糸纏わぬ姿でしたし。ただ残念なのはわたし、目が悪くてよく見えなかったこと。眼鏡を新調しなければ。ってあれっ?

第2幕はコミカルな要素も多かった第1幕から一転、破滅への階段を転げていきます。音楽も重厚な響きが多く聴かれるようになって、最後のシーンはなんだかとっても心に来るものがありました。彼女の人生はわたしの人生とは全く違うけれども、人生の黄昏ってなんだろうと考えさせられました。まあわたしのささやかな人生なんて、スキャンダルには疎いし、何かをなしてやろうとかそんなふうには考えてもなく、のんきに楽しく過ごせればいいや派なので、たいしたことないんだけれども、最後は上手に終わりたいな、なんて、ね。

4人の歌手陣はどの方も良かったです。オーケストラも上手くとっても楽しめました。何よりも、今の時代でもまだオペラは書けるんだって思ったのは、グラン・マカブルに次いで2回目です。2008年に同じここ、リンバリー・スタジオで上演されたあと、すぐ再演を決めた(今回の上演です)というのも頷けます。今日も立ち見を含めて満席でした(1幕で帰った人も若干いましたが)。
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by zerbinetta | 2010-05-05 01:02 | オペラ | Comments(0)

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