幻想曲   

tippett: fantasia concertante on a theme of corelli
schumann: piano concerto
martinů: fantaisies symphoniques (symphony no. 6)
elisabeth leonskaja (pf), jiří bělohlávek / bbcso @barbican hall


いよいよビエロフラーヴェクさんとBBCシンフォニーによるマルティヌー交響曲全曲演奏シリーズも最終回。今シーズンのBBCシンフォニーの定期音楽会としても最終回です。それなのに。ああそれなのに。チューブで寝過ごしてしまいました。気がついたときには次の駅。ぼんやりしてる間にドアは閉まって。結局2つ先の駅で降りたんですけど、この線は山手線並みに電車が来るので大丈夫と高をくくっていたら、電車来ないじゃないですか。結局10分くらい待って、ああこれでは会場に着いたときには始まってる、まっしょうがないや、どうせ最初は何かの序曲でしょうなんて無理に笑顔を作ったり。で、バービカンに遅れて着いたときには、あっ!まだドアが開いてる。ドア係の人に切符を見せようとしたら早く入ってって言われて、音合わせも終わって指揮者を待つばかりのときに着席。なんとラッキーなんでしょう。そして始まりの曲も何かの序曲じゃなくてティペットの「コレルリの主題による協奏的幻想曲」でした。ふふっ、ほんとに間に合って良かった。だってティペットだったら是非聴いておきたいもん。聴いたことないから。

そのティペット、バロック時代のコレルリの主題を元にした音楽ですが、これってラフマニノフがピアノのために書いた変奏曲と同じ主題でしょうか?旋律をすぐに思い出せなかったので分かりませんでした。バロックの合奏協奏曲をもしているのでしょうか、ヴァイオリン2挺とチェロのソロと弦楽オーケストラという編成です。リーダーのハヴェロンさんもチェロの主席のモンクスさんも降り番だったので、ソロは第2プリンシパルの方たち。1953年の作曲(初演したのはBBCシンフォニー!)なので現代の音楽だけど、バロックの主題を元にしてあまり崩さずに書いてるので(ってかティペットさんってもともと保守的な音楽書く人よね)、とっても聴きやすい。なにげに心安まるいい曲です。弦楽合奏の曲って好きかも。ってか好きっ。

2曲目はシューマンのピアノ協奏曲。今年はシューマン・イヤーなのでこの曲何回聴いたでしょう。ピアノ協奏曲はガシガシ弾く系が好きなので、実はそれほど好きではなかったのですが。レオンスカヤさんの演奏は凄いことになってました。第1楽章の第1主題のような力強い主題のときは、わりと普通の演奏なんですが、抒情的な部分ではものすごくテンポを落として、時間を忘れるかのような夢見る音楽。音楽の形式とかそんなのは脇に置いて、シューマンの書いた幻想的な夢の世界に誘っていく。レオンスカヤさんのピアノの音色とかタッチとか、わたしの好みではないところもあるのだけど、音楽には打ちのめされました。なんかわたしの中の音楽とぴったり重なるように、とってもしっくりきたんです。わたしも実はロマンティストだった??それにしてもよくここまで大胆に時間を伸縮させるのでしょう。音楽を構造というたがで留めて、この曲をベートーヴェンの力強さで表現したペライヤさんとは全く対照的(そんなペライヤさんの演奏がちょっぴり苦手だったわたしです)。シューマンはこう、白昼夢の中にいるようなのがいいんですよ。
レオンスカヤさんはアンコールにショパンのノクターンの第2番を弾いてくれました。こちらはシューマンのようには崩さず、わりと一定のテンポ感。左手がワルツのように3拍子で刻んでるので、伴奏の鼓動が心地良い。これもステキな演奏でした。
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休憩後はいよいよマルティヌーの交響曲第6番(交響的幻想曲)。マルティヌー最後の交響曲にして、ビエロフラーヴェクさんとBBCシンフォニーによるマルティヌー交響曲シリーズの最後を締めくくる大トリ。それに違わないとても充実した音楽でした。全6曲の交響曲を通して聴いてきて、一番の傑作はこの第6番だなって素直に思える感じ、もうひとつは先日の第3番。
音楽は森の奥に横たわる澄んだ大きな湖の底から蕩々と水がわき起こるような神秘的な響きで始まりました。マルティヌーの交響曲の中では最も現代的な書法で書かれているので、とても取っつきにくいのですが、一度耳にしただけども力強さの伝わる音楽です。短い旋律が断片的に立ち現れるのはシベリウスに似た感じだけど、銀色の冷たさはむしろエストニアのトゥビンの音楽に似た雰囲気を感じました。第2楽章も同じ感じ。あれっ?第1楽章をまた繰り返すの?って一瞬思いました。終わりの方で小太鼓のドラム・ロールに導かれてスター・ウォーズの悪の軍団が行進してきそうなオーケストラ強奏があったり。全体的には暗い、苦悩に満ちたトーンで音楽が進みます。第3楽章も同じようなトーンですが、途中急に晴れ間が出たり、かと思うとまた暗いトーンに戻ったり、でも、最後は賛美歌のような平安に満ちたコラールで音楽が閉じられます。何かこれ、ひとりの苦悩に満ちた人間の生涯かなって感じた。波瀾万丈の人生も最後は、最後の最後だけは平和に満ちて終わるの。否、終われたらいいな。
ビエロフラーヴェクさんはこの曲を暗譜で振っていました。とっても思い入れがあるのでしょう。本当に素晴らしい演奏でした。BBCシンフォニーもビエロフラーヴェクさんの下で安定した力を出してるように思えます。指揮者とオーケストラがとっても上手くいってるのを感じることができました。
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by zerbinetta | 2010-05-08 08:32 | BBCシンフォニー | Comments(5)

Commented by gezkaz at 2010-05-11 16:40 x
つるびねったさん、おはようございますー。
先程は、拙ブログにコメントをいただき、どうもありがとうございました。

サークルラインの罠に足をすくわれたのですね。実はこの日の朝、バービカンからメールが来て、この線とこの線は止まってますから、注意して来てくださいね、って、交通状況を教えてくれたんですよ。感動しました。

私たちの座った席は、見切り席だったので、見えなかったのですが、ビエローフラーヴェクさん、最後のマルティヌーは暗譜だったのですね。この日にコンサートに行く前に、ザザザーっとウィキペディアで調べたにわか情報によると、ビエローフラーヴェクさん、マルティヌーには思い入れがあるらしいです。

つるびねったさんのブログ、ご迷惑でなかったら、ぜひ私のブログにリンクさせていただきたいのですが、いかがでしょうか~。もしもそういうのはちょっと……ということでも、ぜんぜん大丈夫ですので、ただちょくちょく遊びに寄らせてくださいませ。

ではでは、今後ともよろしくお願いします!
Commented by dokichi at 2010-05-11 18:43 x
こんにちは。BBC交響楽団とビエロフラーヴェクさんのコンビネーションはホント、大好きです
名誉指揮者のサー・アンドルーと同じくらいね。
コンビネーションが評価されるのはうれしいです

Commented at 2010-05-11 18:45 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by zerbinetta at 2010-05-12 08:05
gezkazさん、こんにちは。
こちらにもコメントどうもありがとう。

ふふふ、サークルラインではないんですよ。北線なんです。山手線並みではなくて京浜東北線並みでしたね。バービカンはメイルで交通のお知らせとかくれるので、ほんと親切ですよね。

リンクのこと、もちろんいいですよ。というか大喜びです。どうもありがとう。仲良くしてくださいね。わたしもちょくちょく読みに行きますね。

ロンドンは格安でたくさんの音楽会が聴けるのでブログのネタには困りません。お財布はいつも軽くなっちゃうんですけど。あっバレエもオペラも安い席あるんですよ。でも、なかなか取れないので、来シーズンはフレンズ会員になって確実にゲットする予定です。また散財。。。
Commented by zerbinetta at 2010-05-12 08:11
dokichiさん、
ビエロフラーヴェクさんとBBCシンフォニーは、聴いててほんとしっくりいってるなぁって感じるんです。是非この関係が長く続いて欲しいです。アンドリュー・デイヴィスさんもステキですよね。にこやかで。彼もオーケストラからずいぶん慕われてる感じです。
ビエロフラーヴェクさんとBBCシンフォニーのマルティヌー振り返ってみるとどの曲もとっても良い演奏でした。曲がマニアックなだけに心から思い入れのある指揮者じゃないとできない演奏でしょうね。

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