ロンドンの音楽会のふしぎな習慣?   

debussy: prélude à l'après-midi d'un faune
stravinsky: symphony in c
macmillan: violin concerto
stravinsky: symphony of psalms
vadim repin (vn), valery gergiev / lso @barbican hall


ちょっとした間違い、と言うかあわてんぼうで手に入れてしまったチケット。真ん中の協奏曲だけ違ってる今日とほぼ同じプログラムの音楽会を他日聴く予定になっているので、しかもプログラムには苦手なストラヴィンスキーの中期以降の作品、なのでなんだか損をしたというか。でも、チケットがあって、具合も悪くないので、行きました。というゆるゆる感というかやる気のなさ。
そんな雰囲気にぴったり、日本語でアンニュイって言うの?、なドビュッシーの「牧神の午後」。ゲルギー今シーズンは20世紀のフランスものに力を入れていて、ロンドン・シンフォニーのゲルギーのプログラムはほとんどフランスものなんです。とか言ってて今気がついた。ストラヴィンスキーってフランス人じゃないじゃん。フランスで活躍していた頃の音楽が好きなのですっかりフランス人だと思っていたわ。閑話休題。ゲルギーの牧神の午後は、とて〜もゆったりとした演奏。ちょっとゆっくりすぎかなぁなんて思ったけど、終始微睡んだ牧神ならまっいいか。全ては夢の世界です。わたし的には中間部のヴィーナスとの夢のような交接をするシーンではもっと官能的に盛り上がってくれるのが好きなんだけど、アンティーク・シンバルが鋭い透明な音で切るように鳴ったのはゲルギーのこだわりかしら。控え目に鳴らす演奏が多いので。

ストラヴィンスキーのハ長調の交響曲はタイトルの通り、新古典時代の作品。どうして交響曲(を書くの)? の答えは音楽を聴けば分かります(かな?)。古典派なら交響曲は抑えておきたいもん。とは言え、ストラヴィンスキーの音楽はかなり複雑なんですけど。ただ、ストラヴィンスキーの音楽って時計仕掛けで(スイスの時計職人と言われたのはラヴェルでしたっけ?)、感情が入り込む余地がないのはまさに古典派的なんだけど、そこがまさにわたしが苦手なところ。でも、第2楽章のちょっとしっとりとした感じや、最後のふしぎな終わり方にはちょっとときめきました。演奏も良かったしね。

今日は盛りだくさんで、休憩前の最後はジェームズ・マクミランさんの新作、ヴァイオリン協奏曲です。今日が初演。独奏はワディム・レーピンさん。彼の世代のヴァイオリニスト、ジョシュア・ベルさん、ギル・シャハムさん等々なぜか男性が多いんですけど、の中で一番好きな人です。どんな曲、どんな演奏になるんでしょう、わくわく。マクミランさんはわりと親しみやすい音楽を書いたり、ちょっと難し系の音楽を書いたりする人ですが、ヴァイオリン協奏曲は難し系の音楽でした。第1楽章は、いきなりムチ(拍子木?)の音がぱーんと響いて、ラヴェルのピアノ協奏曲みたい。今日の音楽会の対になる音楽会はそのラヴェルの協奏曲(のだめが気に入った曲)がヴァイオリン協奏曲の替わりに演奏されるので、それを見越して書いた?なんて勘ぐったりもしちゃったけど、実際には、作曲が依頼された時点で音楽会のプログラムなんて決まってないだろうし、たとえ決まってたとしてもそれを伝えるとは思えないので(同時に演奏される曲に関連づけて依頼されるのなら別)、それは穿ちすぎですよね。ダンスと題された第1楽章はヴァイオリンに終始細かい音符を弾かせて、尖った感じの取っつきにくい音楽。シンコペーションというか打点をずらしたリズミックな短いモチーフから組み立てられています。第2楽章はソング。ゆっくりとした音楽で、でもそれほどメロディアスではないのでやはり難し系なんだけど、マクミランさんのマクミランさんたる所以は彼がスコットランド人であること。スコットランドという国はハギスも食べるけど歌に満ちた国ですよね。蛍の光や故郷の空なんかは日本でも有名だし。そのスコットランドの民謡風の音楽がヴァイオリンソロのフラジオレットで静かに挿入されるんです。オーケストラは相変わらず難しい音楽を弾いてて、その感じはリゲティのヴァイオリン協奏曲にも似てるんですけど、これがなかなか良い感じ。その歌の方は徐々に力を増していくんですけど。第3楽章はソングとダンス。第1楽章と第2楽章をミックスした感じ。音が鳴ったとたんびっくりしました。なぜって声が入ったから。オーケストラの人たちが歌っている、と言うか短い言葉を語っているんです。こんな声の使い方あるんですね。目から鱗、耳から鰭。もうここでは歌は秘かに奏でられません。しっかり前面で歌われます。わたしこの曲はとてもいいと思いました。歌が出てくるところがとっても印象的でステキです。この曲が多くのヴァイオリニストに採り上げられるといいなって思います。特に同郷のニキに弾いて欲しいなぁ。

もう字数がなくなってしまいました(なんて書いてみたかった)。本当は疲れたので、「詩篇交響曲」のことはまた今度。これがとっても良かったんですけどね。そうそう、合唱が入ったのはこの曲だけ。でもなぜか合唱団の人は休憩前にも舞台に出て座っていました。実はロンドンでは、休憩前が合唱が入らない曲ばかりでも舞台に合唱団が出てくるんですね。他のオーケストラの音楽会でも目撃しています。こういう光景はロンドン以外では見たことがなかったので、最初何が何だか分かりませんでした。今でもどうしてこんな風にするのか分からないんですけど。不思議な習慣ですね。どなたか、どうしてロンドンでは合唱が入らない曲でもわざわざ合唱団を舞台に上げるのか、理由を知っている方がいらしたら是非教えてくださいね。
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by zerbinetta | 2010-05-12 08:57 | Comments(0)

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