超興奮   

lutosławski: piano concerto
messiean: turangalila symphony
sergei babayan (pf), joanna macgregor (pf), cynthia millar (om),
valery gergiev / lso @barbican hall


2夜連続のゲルギー、ロンドン・シンフォニーの音楽会です。しかも20世紀もの。このプログラムで満員は無理でしょう。ホールの入りは6、7割くらいかな。おかげでいつもの必殺技、勝手移動で、後半は一番良い席で聴けました。
大大大好きなトゥランガリーラの圧倒的な光りの陰で、ルトフワウスキーのピアノ協奏曲はおまけのような存在ですが(音楽会自体トゥランガリーラだけで成り立つものね)、実はわたし、ルトフワウスキーも大好きなのでした。なにしろ、わたしの初お給料でうきうきと買ってきたものが、ルトスワフスキの交響曲第3番のスコア。だってぇ〜楽譜屋さんで見つけてて、お給料出たらこれ買うって、売れちゃうことを心配しつつドキドキわくわくしながら待ってたんだもん。今日のはピアノ協奏曲だけど、この曲も好き。ちゃんとCD持ってる。ルトスワフスキの音楽ってきれいで分かりやすいのよね。現代音楽の中では。
今日のピアニストは、セルゲイ・ババヤンさん。全く知らない人でした。正直、失礼なことに大丈夫かしらなんて思ってたりもして。ところが聴いてびっくり。めちゃ上手い。音も鋭くてきれいだし、テクニックもすごいんだけど、暗譜で演奏したルトスワフスキさんの音楽を本当によく知ってらっしゃって一点の迷いも曇りもなく、音楽の良いところを引き出していたように思えました。表現がとってもはまっていて全てにきちんと理由づけがされてると思ったんです。そして何より音楽がかっこいい。ゲルギーとロンドン・シンフォニーも各ソロがとっても上手くて、先鋭的にアクセントを付けて音楽につっこんでいく様が刺激的。ピアノとオーケストラが一体となって同じ方向の音楽を創っていました。おふたりは数年前サンクトペテルスブルグでの白夜音楽会でこの曲で共演してるんですね。ゲルギーって現代曲のイメジがなかったんだけど(確か本人もインタヴゥーでメロディがある音楽が好きって言ってたような)、こういうソフト系(一応楽器は普通の音の出し方をして、五線譜の楽譜に書かれたくらい)の現代音楽なら、全然大丈夫じゃんって偉そうに思っちゃった。それにしてもトゥランガリーラを含む音楽会、2夜あるんだけど、この曲が今日だけというのは(もう1回はディティーユのメタボールです)なんとももったいない。ババヤンさん、家に帰って慌てて調べてみたら、昔浜松のコンクールで優勝しているのね。現在は教師として後進の指導を主にされてるみたいです。もっと演奏活動をすればいいのに。もったいない。
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c0055376_8543160.jpgそして、メシアンのトゥランガリーラ交響曲。聴く機会があれば必ず聴いているので、確か日本で2回、それからあとは5回聴いてるはずです(そのうち3回は同じ演奏者による3夜の音楽会ですけど)。ゲルギーがメシアンってびっくりしたけど果たしてどういう風になるのでしょう。そしてもうひとりの注目はピアノを弾くジョアンナ・マクグレガーさん。なぜって、この人、バービカン・ホールのシーズン案内の写真ではどう見てもクラシックの音楽家に見えなかったんですもの(左の写真)。ね、ジャズとかポピュラー・ミュージック系のいでたちよね。ほんとにこんな人がメシアンのピアノを弾くのかなって思っちゃった。
でもステージに出てきたのはとってもステキな女の人。もちろん写真の人本人なんだけど、今日はドレッドヘアではありませんでした。でもやっぱり少しクラシック離れした空気はありました。でも、彼女のピアノとっても良かったの〜。何よりも自由で、音を変えてるわけではないけど、ニュアンスの付け方とかリズムの取り方がものすごく即興的。めちゃかっこいいです。胸きゅん。ほれぼれ〜。華奢な身体なので音量的にもちょっと欲しいところもあったけど、って言うよりオーケストラ音出し過ぎ、ほんとステキだったぁ。彼女、ジャズとかも弾く人らしいけど、クラシックもバッハやモーツァルトから現代物まで弾くんですね。さらにプロデューサーや指揮までこなす、とってもすごい人だったのでした。それにしてもこんな人がいたとはちっとも知りませんでした。ちょっとこれから注目したい人です。音楽会があったら聴きに行かなきゃ。
オンド・マルトノはシンシア・ミラーさん。どこかで見たことがあると思ったら、以前ナショナル・シンフォニーでトゥランガリーラを演ったとき、やっぱりオンド・マルトノを弾いた方でした。今日のオンドは音量控え目。オーケストラにとけ込む感じのバランスでした。わたしとしては低音でももうちょっと浮き出てもいいかなって思いました。それにしてもオンド・マルトノって宇宙ですよね〜。きゅいーーんって昇ったり下りたりするグリッサンド、かっこいいです。
ゲルギーのトゥランガリーラは実はちょっとよく分かりませんでした。先鋭的なリズムを引き出すというより音楽の大きな流れ、うねりを作る感じです。指揮棒を使ってなかったし、リズムがゆるいなって感じるところもありました。それが上手くいってるかどうかは別として、今まで聴いたことのないトゥランガリーラ像を引き出そうとしていたのかも知れません。オーケストラの大音量は快感です。でも不思議と陶酔感はなかったんですが。一番面白いなって感じたのは、終曲の前のトゥランガリーラ3。ものすごくゆっくりのテンポで不思議な世界を創っていました。こういう演奏を聴くとこの曲ももう前世紀の音楽なんだなって思います。20世紀はもう現代ではなく過去になったんだなって。
それでもわたし、この曲大好きなので、もう聴いてるそばから涙目、というか泣いてました。頭を小さく振り振り、泣きながらメシアンを聴いてるのはやっぱりヘンな人に見えるでしょうか。
トゥランガリーラはもう1度あるのでまた感激しに行ってきます。

ミラーさんとマクグレガーさん
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by zerbinetta | 2010-05-13 08:49 | ロンドン交響楽団 | Comments(4)

Commented by かんとく at 2010-05-17 03:29 x
あれっ、日にち間違えたか?と一瞬あせりました。2回やるんですね。今週の木曜日に行ってきます。楽しみです。
Commented by Miklos at 2010-05-17 06:57 x
写真の角度からすると、近くにいらしたのかな?私は曲に馴染みがなかったので、正直よくわからんかったのですが、打楽器大音響の快感は十二分にありました。あと、オンド・マルトノの心地よい響きに感動しました。かぶり付きで聴きたかったです。
Commented by zerbinetta at 2010-05-17 08:08
ふふふ、かんとくさん、もう1回あるんですよ。
ぜひぜひ、大音量の音の饗宴を楽しんでくださいね。かんとくさんの感想を楽しみにしてます。
Commented by zerbinetta at 2010-05-17 08:14
Miklosさん、
お近くだったのですか?もしかしたらすれ違っていたのかも知れませんね。オーケストラ盛大に鳴らしてましたね。なんかすごかったです。オンド・マルトノは控え目かな。オンド・マルトノのスピーカーの前で聴くと場合によっては大変なことになるのでほどほどのかぶり付きでね。

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