お腹いっぱい   

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shchedrin: carmen suite, piano concerto no. 5
mussorgsky / ravel: pictures at an exhibition
denis matsuev (pf), valery gergiev / lso @barbican hall


ロンドン・シンフォニーのオープニングは主席指揮者ゲルギーの指揮で今シーズンのテーマ、シチェドリンさんの音楽と、ムソルグスキーの展覧会の絵です。そういえばロンドンのオーケストラってオープニング・ガラ・コンサートやらないんですね。それぞれのプログラムの音楽会が1回ずつなので特別に1回切りの音楽会はしないんでしょうか。でも、今日はヘヴィー・プログラム。前半に30分を超える曲が2曲並んでます。ゲルギー、サーヴィス満点。
オープニングとあって客席はほぼ満席でした。シーズン最初の音楽会は、まずプログラムのメンバー表に目を通します。団員が変わってないか気になるからです。ロンドン・シンフォニーの場合は、クラリネットの主席の人がとっても上手いので最初に確認しました。昨シーズンの途中からリーダーに就任したシモヴィックさんももちろんいらっしゃいます。それにしてもロンドン・シンフォニーは贅沢ですね。首席奏者が各パート2人以上いたりします。

シチェドリンさんのカルメン組曲は、最近バレエで観た曲。純粋に音楽会で聴くと音楽の細かいところまで聞こえるので(バレエのときは舞台に注目してるから。音楽の聴き方が違って当たり前)、これはこれで楽しいのです。もともと大好きな曲でCDで聴いていたし。シチェドリンさんは存命中の作曲家とは言え、この曲はビゼーのカルメンを元にしているのでとっても分かりやすいんです。シチェドリンさんのパートナーが有名なバレリーナ(プリセツカヤさん)で、彼女のために書かれたもの。3時間のオペラのドラマを上手に40分のバレエにまとめていて、オーケストラも打楽器と弦楽合奏だけというのも面白いんです。ゲルギーはもちろん、バレエの伴奏ではなくて純音楽的に演奏してるのですが、それでもドラマが目に見えるようです。重めの音だけれども切れと推進力のある打楽器、くっきりとした輪郭の弦楽器の音色。ゲルギーも蚊なり気合いが入ってていつもより唸ったり声を出したり、ドラマチックな音楽作りでステキでした。最後の方のカルメンが殺されるシーンのコントラバスのソロ(アリーナのお父さんが弾きました)は、心に刺さりました。なんかこれだけで充実した音楽会でした。

同じ作曲家によるピアノ協奏曲第5番は初めて聴く曲。ピアニストはデニス・マツエフさんです。シチェドリンさんって好き好きと言いながら実は、カルメン組曲とオーケストラ協奏曲第1番、第2番しか聴いたことなかったのでした。まあアレですよ。わたしの中ではシチェドリンさんとシュニトケがごっちゃになってるんですよ(言い訳)。音楽はタコのようなプロコフィエフのようなわりと聴きやすい音楽だと思いました。そういえば、オーケストラ協奏曲もそんな感じだし。でも、後退してるとか媚びているとかそんな感じはなくて力強い音楽です。何回も聴きたくなる音楽です。抒情的だけど乾いていて、多分、長い歌うような旋律の抒情ではなくて、点と点を結ぶような短い音の組み立てが抒情的なんですね。ピアノの扱いはわりとオーケストラ寄りで派手にソロを弾く感じではありません。こういう曲ってゲルギー、得意そう。迷いなくオーケストラを見事にコントロールしてました。ピアノのマツエフさんもこういう曲が得意なんじゃないかと思います。あとリストとか。打鍵が強くて、しっかり音が鳴って、横への意識よりも縦への意識で弾いているのがいいのかな。強い音でも和音が濁らないし、テクニックも体力もある人なので最後の方のすざましいカデンツァも見事に弾きこなしてました。最後はばしっと立ち上がって弾ききるように音楽が終了。かっこよかった。間髪入れずにブラヴォーでもかかればもっといいのだけど、ロンドンのお客さんは礼儀正しいので、音が完全に消えてから拍手。この曲も充実してたのでお腹いっぱい。でも音楽会は続きます。

トリは展覧会の絵。ゲルギーお得意の曲ですよね。譜面なしです。もうこれは文句なしでしょう。オーケストラの音も輝いてたし(特に金管楽器)、色彩感も抜群。シモヴィックさんも相変わらず、動いてました。やっぱりロンドン・シンフォニーって上手いって思う。わたしは、勢いのあるロンドン・フィルの応援団だけど、あっ最近はBBCシンフォニーも充実してきてると思う、ロンドン・シンフォニーはまだ格が上だなって悔しいけど思った。っていうか、昨シーズンもロンドン・シンフォニーを聴いてて、もっとたくさん聴きたいなって思ったんだった。
ゲルギーって最近、昔の凄さがなくなったとか、音楽がルーチンになってるとか、いろいろ言われてるみたいだけど、やっぱり凄い指揮者です。明日のマーラーも楽しみだな。ってこれはチケット売ってしまったんだった。
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by zerbinetta | 2010-09-25 09:24 | ロンドン交響楽団 | Comments(4)

Commented by Miklos at 2010-09-26 10:09 x
素早いですね。私も聴いていました。LSOのオープニングとなると、やはり欠かせないでしょう。こちらもおいおい書きますが、まさに同感、お腹いっぱいのこってりコンサートでしたね。今日はマツエフさんかぶりつきの席でしたが、あまりの打鍵の強さと振動に、ピアノが落ちて来ないかと心配でした(笑)。明日はもういらっしゃらないんですか?
Commented by かんとく at 2010-09-26 15:37 x
つるびねったさん、早速のコメントとTBありがとうございました。同じよういお腹いっぱいだったので、ウンウンとうなずいてしまいました。メンバーですけど、コンサートマスターの人がなんか私には初めての人だったような気がしたのですが、ご存知でしたか?昨日は5列目だったので、音は凄かった(凄過ぎた)のですが、管の人たちが殆ど見え無かったので少しざんねんでした。
Commented by zerbinetta at 2010-09-26 19:40
Miklosさん、
がんばって早く書きました。LSOのオープニングは今回初めてです。Miklosさんも同じような感じでしたか。かんとくさんもヘビーすぎて満腹感いっぱいっておっしゃっているので皆さん、同じように感じられたのですね。っていうか、あれを物足りないって言う人がいたら理由を聞いてみたい。
わたしは遠くから見ていたので、ピアノが揺れているのは分からなかったんですが、マツエフさん、本領発揮というかガシガシ叩いていましたね〜。
今日は、ふふふ。
Commented by zerbinetta at 2010-09-26 19:50
かんとくさん、
かんとくさんの書かれていたことまさにその通り、わたし書くことないやって思いましたよ。冷静な演奏をするゲルギーも好きですが、やっぱり熱い演奏のゲルギーが好きです。でも、ゲルギーって爆演のように見えて実はかなりきちんと音楽を作っていると思います。
リーダーの方は昨シーズンお試しでゲストで来て、昨シーズンの終わりから新しくリーダーに加わった方です。ソリストのように動きが大きいのが特徴です。へへっ。

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