風   

siberius: finlandia
beethoven: piano concerto no. 5
siberius: lemminkaäinen
hélène grimaud (pf), esa-pekka salonen / po @royal festival hall



サロネンさん指揮のフィルハーモニアの音楽会。お国もののシベリウスの2曲を挟んで真ん中にベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」。ピアニストはグリモーさんです。実は、最初はブラームスの協奏曲第1番が予定されていたのです。サロネンさんのブラームスは去年聴いて、おやっなかなかいいと思ったので、大好きな曲だし期待していたのですが、ベートーヴェンに変更になってしまいました。でも、グリモーさんのブラームスは前に聴いているし、ベートーヴェンはCDは持ってるけど、生ではあまり聴いたことがないのでこれはこれで嬉しい。でも、ちょっと心配なのは、曲目変更の理由が病後回復のため。今年前半、ご病気で音楽会をずっとキャンセルしていて、夏に復帰したのだけど、ブラームスを弾く準備はまだできていないということかしら。さてそのベートーヴェン、CDでは我らがユロフスキさんとロンドンではないけれど録音が出ています。わたしも持っているのだけど、ユロフスキさんは古楽的なアプローチをしているので、今日サロネンさんがどういうアプローチをしてくるのか興味津々でした。
サロネンさんとフィルハーモニアの演奏はピアニストに寄り添うものだったと思います。ただ、フィルハーモニアって音色に色がなくって淡泊というか、特徴がないように聞こえるときがあって、美しく音が鳴ってるのに心の奥まで届かない感じがすることがあるのです。このベートーヴェンはそんな感じ。グリモーさんのピアノは、わたしがおっかなびっくり聴いてるせいもあるのか、とっても安全運転な感じがして、音楽をさらっているように聞こえました。ところどころ、とってもドキリとするステキな表現もあったんですけど、いつもの漢らしさがあまり聴かれなかったのが残念です。お休みのときは状態をゆっくりと円を描くように揺らすいつもの癖は健在でしたが、呻くような歌うようなセクシーな声は聞こえませんでした。まだ、病気によるブランクから完全には戻っていないのかもしれません。ぜひぜひ以前みたいな強靱なピアノが戻ってきますように。ロンドンでは今シーズンまだ何回か彼女の演奏を聴けるので、また彼女のセクシーな歌声が聞けるのを心待ちにしています。

サロネンさんのお国もののシベリウスは佳演。始まりのフィンランディアでは、粘りけたっぷり。むちゃ熱くなってサロネンさんもこんな演奏をするのね。トリスタンも熱かったけど、サロネンさんのこと少し考え改めなきゃ。そうそう、この曲では、やっぱりティンパニのスミスさんばかりに聞き耳を立ててました。スミスさんのティンパニ、やっぱりステキ〜〜〜。スミスさんのティンパニを聴くために、マゼールさんとのマーラーのチケットもっと取ろうかしら。一応、第7番は取ったんだけど(一番活躍するよね)。ティンパニ聴くためにオーケストラのチケット取るのもヘンかな〜〜。ヲタ〜〜。

レミンカイネンは、トゥオネラの白鳥を含む4つの交響詩からなる組曲。4つ演奏すると交響曲のようにも聴ける。サロネンさんの演奏は、作曲家の初期の音楽の良いところを上手に抽出して聴かせてくれました。全く隙がないし、それに美しい。シベリウスの音楽って、って考えながら聴いていたら、そうだ! 風なんだって思いました。透明で不定型ででも心地良い音楽。さわさわとゆっくり吹いたり、ごーごーと荒れたり、すーーっと走ったり、くるくると回ったり。短い旋律の断片がそんな風のように表情を変える。そして、草を揺らしてさーっと音を立てたり、かさかさと枯れ葉を揺らしたり、山を地鳴りのように鳴らしたり、風鈴の音を立てたり。サロネンさんは風を率いる魔法使い。こういう音楽はフィルハーモニアは得意だな。良いものを聴きました。
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by zerbinetta | 2010-09-30 06:06 | フィルハーモニア | Comments(2)

Commented by ぶらあぼ at 2010-10-04 01:53 x
つるびねった様、こんばんは。
 サロネンさんのフィルハーモニアは今年の6月に来日公演を聴きました。その時はシベリウスの2番だったのですが、コチラが期待していたお国なまりじゃなくて、1ランク上の国際級の演奏、といった感じで、それはそれで素晴らしい演奏でした。
 ヒラリー・ハーンさんと共演したチャイコフスキーの協奏曲では、オケが精彩を欠いている感じ。「音色に色がなくって淡泊」って、何となく分かるような気がします。
 エレーヌ・グリモーさんは来年1月来日するので、リサイタルに行く予定ですが、ちょっと心配ですね。元気になってガンガン弾いてくれるといいんですけど(^_^;)
Commented by zerbinetta at 2010-10-04 03:54
ぶらあぼさん
そうでしたね。ぶらあぼさんはサロネンさんとフィルハーモニアの日本公演聴きにいらしてるんですね。確かにサロネンさんの音楽はお国ものでもインターナショナルな表現をしますね。お国訛りとは違った魅力がありますよね。今回聴いたレミンカイネンもとてもステキでした。
ヒラリーのときはちょっと残念でしたね。ヒラリーも多少調子が悪かったのかしら。いつもならヒラリーにオケを引っ張る力があるように思うので。
グリモーさんは、リゲティやリストのリサイタルですか? きっと大丈夫ですよ。夏にレコーディングしてるし、わたしは聴けないけどロンドンでも11月にリサイタルをします。良い演奏会になるといいですね。

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