ああ愛する人よ   

wagner: tristan and isolde -prelude and liebestod
peter lieberson: neruda songs
dvořák: symphony no. 7
sarah connolly (ms), jiří bělohlávek / bbc symphony @barbican hall


BBCシンフォニーは今日がシーズン・オープナーです。でも、あまりにあっさりとしたプログラム。オープニングの気負いがないというか、もしかしたらプロムスで弾いてるので、今日のはオープニングと見なされていないのかな、なんて勘ぐったけど、ラジオのアナウンサーの人が(BBCシンフォニーの音楽会はときどきラジオで生中継されるので、アナウンサーの人がステージで簡単な曲目解説をするんです)、オープニング、しかもBBCシンフォニー80周年記念シーズン! と言ってたので、まさに今日がオープニングなんでしょう。このさりげなさ、地味さがまた良い感じ。そしてBBCシンフォニーはロンドン・フィルとともにわたしがロンドンで注目しているオーケストラでもあるんです。地味だけど懐深い音楽を聴かせるビエロフラーヴェクさんととっても良い関係を築いて、オーケストラに勢いが感じられるからです。もうひとつ、現代曲が多いユニークなプログラムもステキです。

音楽会はワグナーのトリスタンとイゾルデ、前奏曲と愛の死からです。この間あまりに素晴らしいトリスタンを聴いたばかりなので、この曲はわたし的には不利なのです。でもね。やっぱりトリスタン好き〜〜。好きのパワーは何者にも負けないのだ。本で言ったら前書きと後書きを読むようなもの、映画だったら予告編と最後のクレジットを観るだけな感じの、最初とお終いをつなげた音楽でいつも欲求不満になるんだけど、今日はこの間、5時間以上かけて全部聴いてるし、やっぱりなんと言ってもステキな音楽だし、歌が入らないのはちょっと残念と思いつつも感動しました。ビエロフラーヴェクさんの演奏は、結構うねる感じ。大海の波間に漂う感じでした。この曲を聴いたあとっていつもふわ〜〜っと魂が抜けて涙が出ます。

ピーター・リーバーソンさんのネルーダ・ソングスはラヴ・ソング。イギリス初演です。作曲者がアルバカーキーの空港でたまたま見つけたパブロ・ネルーダの詩集にインスパイアされて、パートナーでメゾ・ソプラノ歌手のロレイン・ハントさんのために書かれた曲。ロレイン・ハントさんの歌はオペラの中で聴いたことがあります。でも、そのときはあまりよく知らず。。。ただ、彼女はUSでとっても高く評価されていた歌手のひとりでした。でも、2006年にガンでなくなっています。ロレイン・ハントさんの最後のレコーディングが、レヴァインさんとボストン・シンフォニーでこの曲でした。
この音楽はとってもラヴ・ソング。歌詞を読むともうここまで素直になれるかというくらいに。そして音楽も、とっても美しく響きます。本当に愛し愛される歌がここにはあるのですね。それはまさに、ピーターとロレインの愛の結晶なんでしょう。わたしもそんな音楽に包まれて愛する人を思い出しながら幸せに浸りました。メゾのセイラ・コノリーさんは、ロンドンではとってもたくさん歌ってる引っ張りだこの歌手。とってもしっとりと愛の歌を歌ってくれました。
それにしてもこのプログラムの前半はむちゃくちゃ愛。愛に溺れる感じが独り身には辛いわ〜〜。好きな人と聴けたら良かったのに(それもちょっと恥ずかしいかな?)
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お終いは、ビエロフラーヴェクさんのお国もの、ドヴォルジャークの交響曲第7番。この曲、ロンドン・フィルハーモニック協会からの委嘱で書かれているんですね。ドヴォルジャークとイギリスの関係はとっても良いものだったみたいです。わたしはドヴォルジャークの交響曲なら第8番や9番みたいなメロディが際だってるのよりも第6番やこの7番みたいに緊密な構成感のあるのが好きなんです。というわけでビエロフラーヴェクさんとBBCシンフォニーの演奏はずいぶん楽しめました。ビエロフラーヴェクさん、ずいぶんリズムのエッジをを鋭くしていたので溌剌として良かったです。それとBBCシンフォニーのホルンってパートで演奏させるととおっても上手いですね。ハーモニーの作り方がうんとステキです。パートとしてはロンドンのオーケストラの中では1番じゃないかしら。
今シーズンのBBCシンフォニーも期待できそうです。
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by zerbinetta | 2010-10-01 02:18 | BBCシンフォニー | Comments(0)

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