偉大な音楽家の思い出 ある日カエルが頭に落ちてきて   

4.11.2010 @royal festival hall

handel: music for the royal fireworks, 'how beautiful are the feet' from messiah,
'let the bright seraphim' from samson
mhairi lawson (sp),
steven devine (hs) / oae

dvořák: symphony no. 7
mozart: sinfonia concertante
janáček / macherras: suite, the cunning little vixen*
janáček: final scene from the cunning little vixen*
julian rachlin (vn), lawrence power (va),
sir thomas allen (br), sebastian cox (tr),
tomáš netopil, alexander briger* /po


友達がチケットをくれたので音楽会に行ってきました。今日の音楽会は行く予定にはなかったんです。フィルハーモニアの音楽会でマッケラスさんが振る予定だったのですが、亡くなられてしまったので誰がなんの曲を演るのかチケットを売り出した時点では分からなかったので、チケット取らなかったんです。で、友達が行けなくなったのでわたしが行くことになったのだけど、何を演るのかしらと思って、チェックしたら、チャールズ・マッケラスさんの追悼コンサートになっていました。そしていつもの7時半始まりではなく7時始まり。チェックして良かった。今日の仕事は長くかかる予定だったので、朝早くから来てなんとか片付けました。

なんと今日の音楽会は、ふたつのオーケストラの音楽会だったのです。始めはOAE。OAEもマッケラスさんとは深い関係にあったんですね。今日のプレゼンターのアンソニー・アンドリューズさんが、今日の音楽会のこと、チャールズのことなど、少し話してメモリアル・コンサートが始まったのです。今日はそんな特別な音楽会だからか、オーケストラの人たちから、会場からなんだかあたたかな雰囲気が感じられました。ヘンデルはチャールズ(わたしも故人に親しみを込めてこう呼びます)の大好きな音楽だったそうです。わたしがチャールズを知ったのは、モーツァルトのCD(か多分、ラジオで聴いて凄く良くてCDを買ったんだと思います)。記憶が曖昧なのですが、プラハ室内オーケストラを振った演奏は、現代オーケストラに古楽器スタイルの良いところを採り入れた、とっても溌剌としてステキな演奏。実演ではロンドンに来てから、オペラとコンサートで2回ずつ聴いてます。ずいぶんとおじいちゃんだったけど、笑顔がとってもステキで、音楽は若々しく溌剌としていて、老熟した音楽なのにちっとも老いを感じさせないものでした。そんなことなどが心に浮かび上がってきて始めからちょっぴり目が潤んじゃった。

フィルハーモニアの方は、チェコの若い指揮者、トマーシュ・ネトピルさんがドヴォルジャークの交響曲第7番とモーツァルトのシンフォニア・コンチェルタンテ。モーツァルトの方は、もともとチャールズが振る予定だった今日の音楽会の曲目。そして、ドヴォルジャークは、若き日のチャールズがロンドンのカフェでスコアを勉強していたら、ドヴォルジャークを勉強するならチェコのターリヒに学ぶといいと言われて、チェコに行くきっかけになった、そしてその後チェコの音楽の大家といわれるきっかけになった記念すべき曲。ドヴォルジャークの演奏は正直始めあまりよく分かりませんでした。ぼーっとしてた。でも、第3楽章以降は、はっとして、ううむ、これが若手の有望株のひとりといわれる所以かって思えた。でも、もっと良かったのがモーツァルト。ソリストのおふたりが出てきたとき、うわっ、今日は濃そう、ピンクのモーツァルトがいいのになって思っちゃったけど、あに図らんやもの凄くもの凄くステキだったんです。ルックスは濃いめの兄ちゃんたちのソロも確かに音楽も濃いめだったかもしれないけどうんと良くて、ふたりの掛け合いがモーツァルトが意図したように対話していて愉しかったんですが、ネトピルさんのオーケストラもこれがもううっとりするほどモーツァルト。この人のモーツァルトはいいっ。若手ナンバー・ワンモーツァルト指揮者の称号を勝手に与えたいっ。

音楽会のお終いは、チャールズがもっとも愛した音楽、ヤナーチェクのオペラ、利口な女狐。マッケラスさんがアレンジしたオーケストラの組曲版と最後のシーン。指揮をするのは、チャールズの甥の指揮者、アレクサンダー・ブリガーさん。わたしは幸せなことに、この春、チャールズの指揮で利口な女狐を観てるんです。もうこれがとっても感動するオペラで、そのときの思いがよみがえってきて、オーケストラの音楽だけでも感動できました。そして、最後の場面の前にブリガーさんからコメントが。パブ(だったかな?)でふたりでワインを飲んだとき、チャールズは自分が死んだときはこの曲を演奏して欲しいと言ったそう。作曲したヤナーチェクも同じことを言ってますね。生まれてから死に向かう短い直線のような人の生、それに対して生まれて死んでまた再生して循環していく自然。限られた時を思い出のうちに語る老人。夢には自分が捕まえたビストロウシュカの子供たち。そして額に落ちたカエル。本当にこの最後の場面では自然の中の人間の生を考えさせられます。そして人もいつか自然の循環の中に還っていく。チャールズが望んだ、チャールズのメモリアル・コンサートに最もふさわしい音楽でした。

でも、音楽会はここで終わらなかったのです。アンコールに曲名は分からないのだけど、賑やかなポルカみたいな音楽。なんだか、チャールズのあの笑顔が思い出されてステキでした。今日のチャールズの思い出満載のプログラムの冊子もとってもステキなものでした。チャールズの笑顔はあたたかく心に刻まれるでしょう。
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by zerbinetta | 2010-11-04 08:39 | フィルハーモニア | Comments(0)

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