らんらん   

7.11.2010 @barbican hall

berio: sinfonia
liszt: piano concerto no. 1
berlioz: harold in italy
synergy vocals,
alice sara ott (pf),
tabea zimmermann (va),
daniel harding / lso


今日はラン・ランさんをソリストに迎えてのロンドン・シンフォニーの音楽会。ラン・ランさんを聴くのは2度目です。あっでも、ラン・ランさんってランが名字でランが名前よね。だからホントはランさん。日本人だと鈴木鈴木さんかな。うっこれはないな。漢字一字だと、、、そうだ菅さん。もうすぐ忘れちゃいそうだから、今のうちに今の総理大臣のお名前書いておこう。カンカンさん。なぁんてこと書こうと思ってたんです(って書いてるし)。でも、ラン・ランさん、急に病気でキャンセル。今日の音楽会、8割方ラン・ランさん目当てでチケット取ってると思うし、知らずに来た人絶対がっかり(わたしは今日の午後、バービカンからメイルが来て知りました)。だって、リストのピアノ協奏曲以外、ベリオのシンフォニアとベルリオーズのイタリアのハロルド。これでは人入らないでしょう。わたしはシンフォニアが聴きたくてチケット取ったんだけど。

さて、そのシンフォニア、もう古典ですよね。現代音楽って構えることもなく普通に演奏されます。わたしももう3回くらい聴いています。(わたしにしても)指揮者のハーディングさんにしても生まれる前の音楽だし、1975年生まれのハーディングさんにとって1969年のこの作品は、1908年生まれのカラヤンにとって(メシアンと同い年!)は、シュトラウスのサロメ(1905年)のようなものですもの。いつまでも現代音楽って構えていてもしょうがないし、わたしたちだって普段なにげにTVや映画の中でこれに似た感じの音楽は聴いているからもう耳慣れてる。と思うんですよ。ざっとそんなような感じの演奏。だって、もう音楽はこなれてるし、余裕もあるし、そして何より美しい。特に第2楽章と最後の楽章が良かったです。有名な第3楽章は、コラージュされてる曲探しがクラヲタのツボなんだけど、席がオーケストラに近かったので後ろの方で鳴ってる音が上手く分離して聞こえませんでした。上の方で聴いてたら良かったんでしょうね。でも、ドビュッシーの海が聞こえて春の祭典が出てくるとことか、ラ・ヴァルスとバラの騎士が重なるとこなんか大好き(一番分かりやすいし)。歌は、シナジー・ヴォーカルズという団体。まろやかさに若干欠ける気がしたけど、ディクテイションするみたいに良く言葉が聞き取れました。フランス語と英語なんですね。マイクを通した声はミキシングされて、ステージの前や後ろの方のスピーカーから流れて、立体感を出していました。

2曲目はリストのピアノ協奏曲第1番。ラン・ランさんの代わりは。なんと、アリス・サラ・オットさんでした。大抜擢というか、アリス・サラさんにとっては天から降ってきたようなチャンスですね。アリス・サラさんはこの曲レパートリーだし、つい1週間くらい前にサンフランシスコで弾いてきたばかりだし、ハーディングさんとは共演歴あるし、スケジュールあいてたし。ロンドンという耳が肥えてて音楽の激戦区で、ロンドン・シンフォニーという一流のオーケストラで共演できることは、彼女にとってとっても重要だと思うんです。1月に2度、ロンドンのふたつのオーケストラで演奏するなんてことなかなかないことです。
そのアリス・サラさん、今日は先日とはうって変わって真っ赤なドレス。そして裸足。オーケストラが詰まっていて、ステージを横切る道が分からなくて戸惑ったときの笑顔からステキ。ってやっぱりこの人の笑顔いいです。リストの協奏曲はCDでも出してるみたいだけど、この間(別の曲で)聴いたとき、音量が弱いかなって感じていたので、大丈夫かしらっていう不安もありました。ところがどっこい。圧倒する音圧ではないんだけど(彼女のスタイルは弾きまくる感じではない)、必要十分の音量は出ていて、ただ、彼女の好みなのか、ピアノの音色はレースを通したようにソフト・トーンになっていて、わたしとしては見得を切るようなフォルテの部分ではもうちょっとピアノ線をハンマーで叩く金属質の音色が欲しいなって思いました。反面、抒情的な部分の美しさは際だっていて、なんだか思い出のフィルターを通して昔の写真を見ている感じ。そしてトリルの音が鈴のようにとっても透明できれい。アリス・サラさんは没入して弾くタイプにも見えるけど、独善的ではなくって、オーケストラをよく観てよく聴いて一緒に合わせている感じ。オーケストラの人も気持ちよく弾きやすいでしょうね。特にクラリネット(ロンドン・シンフォニーのクラリネットは神)と対話するところはもううっとり。オーケストラはアリス・サラさんの音楽をたてるように弾いてるけど、手抜きはなくって激しいところはきっちりと大音量で迫ってくる。その中でピアノの音が埋もれないのはさすが。
アリス・サラさん、美人過ぎるピアニストとか言われてるみたいですけど、「美人」という修飾語が早く取れるといいな。嫉妬じゃないよ。せっかくステキな音楽を持っているのに、関係のないところで人気が出て、大事な部分が等閑になるの嫌だもん。音楽家としてしっかり大成して欲しいと思うんですよね。
アンコールはショパンの夜想曲嬰ハ短調、作品番号なしでした。望郷の念のあるもの悲しい音楽をとっても情緒豊かに奏でました。ショパンの持っていた望郷の念って、アリス・サラさんがショパンを弾くときに最も大事にしている感情なんですね(インタヴゥーでおっしゃってました)。それがホントによく分かる演奏。彼女の音楽をもっとたくさん聴いてみたいと思いました。
会場のお客さんはほとんどが、ラン・ランさんを聴きに来た方じゃないかと思います。でも、替わって弾いたまだ名前の知られていない若い音楽家に対して大きな拍手とブラヴォーが送られていました。ロンドンはアリス・サラさんを歓迎しました。彼女はチャンスを生かして確実に大きな一歩を進めたと言えるでしょう。22歳、まだ伸び盛り、次はどんな音楽を聴かせてくれるでしょう。楽しみです。
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今日は豪華、独奏者がもうひとり。ヴィオラのタベア・ツィンマーマンさん。曲はイタリアのハロルド。名前はよく聴くけどあまり印象に残らないベルリオーズの曲です。わりと退屈系。とか悪態をついていたんです。始まりもあれれ、この曲知らない?なんて頓狂な感じになって、わたし途中からだったんですね、知ってたの。でもね、聴き進んだらもうまるっきり印象変わった〜。まず、ツィンマーマンさんのヴィオラが凄い。よくチェロは人の声に近いって言うけど、ヴィオラも声。男の人の声。それがいい声なんだ。ヴァイオリンみたい派手なところはないけど、しっくりと落ち着いていて、安定していて、頼れる感じ。そしてツィンマーマンさんの音楽の力、表現の豊かさ。まさに充実した音楽。アリス・サラさんのフレッシュな魅力も良かったけど、楽器は違えど、ツィンマーマンさんの音楽は成熟した高みに到達していて格が違うの(アリス・サラさん、変なところで比べてごめんなさい。22歳とヴェテランを比べること自体が間違っていますね。この格は経験がなくては生まれてこないものだもの)。ツィンマーマンさんのヴィオラを聴いちゃうと、もはやびよらとかびよりすととかびよら冗句言えないや。ハーディングさんのオーケストラもそれに応えて熱い熱い。退屈な曲がとってもエキサイティングでステキな音楽に聞こえました。ハーディングさんもやっぱり凄いなぁ。ただ者ではない35歳。ロンドン・シンフォニーも格の違いを見せつけてくれて、とっても充実した音楽会になりました。
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今日のハーディングさんは終始にこやか。舞台袖に降りて演奏した弦楽奏者を讃えています
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by zerbinetta | 2010-11-07 08:46 | ロンドン交響楽団 | Comments(4)

Commented by G.G. at 2010-11-09 19:04 x
イタリアのハロルド、好きなんです(笑)
二楽章のトリオがね~
トスカニーニとガーディナーでハマりまして、一度は生で聴いてみたいものです。
Commented by zerbinetta at 2010-11-10 08:50
しぶいですね〜G.G.さん。でもちゃんと聴くと良い曲ですね〜。最後はハロルド無視してオーケストラだけで盛り上がっちゃうし。ってか、ハロルド死んじゃうんですね。ヴィオラかわいそう。
Commented by かんとく at 2010-11-10 09:31 x
このコンサート、チケットあったんですけど、直前で別件が入っていけなくなって、とっても悔しい思いをしていました。が・・・この記事で「え~、ラン・ラン キャンセル!行けなくても良かった~」。
と思ったら、「え~、アリス・サラさんが代役!!やっぱり行けなくて悔しい・・・」 
低レベルのコメントで失礼しました。
Commented by zerbinetta at 2010-11-11 05:30
えええっっ。なんともったいない。残念でしたね。かんとくさんのお仕事って定時に終われないのかしら。わたしは自由業(スパイ)なので、音楽会に合わせて仕事してます。
わたしも、ラン・ランさんキャンセル〜、え〜アリス・サラさんが代役〜で行って良かった低レベルです。

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