少年に萌え〜〜   

29.01.2011 @royal festival hall

ligeti: lontano
bartók: violin concerto no.1
mahler: das klagende lied

barnabás kelemen (pf)
meilanie diener (sp), christianne stotijin (ms),
michael könig (tn), christopher purves (br)
vladimir jurowski / lp choir, lpo


ユロフスキさんとロンドン・フィルハーモニックのマーラー記念年シリーズ。今日は珍しい、カンタータ「嘆きの歌」。3楽章からなるオリジナル・ヴァージョンということです。その前に、同じく今年が記念年のリストと同国の作曲家、リゲティとバルトークの作品です。
実は(ってなんかいつも書いてるような気がする)、わたしリゲティが大好きなんです。同じ雰囲気のトーンクラスターの作品、アトモスフェールが2001年宇宙の旅で使われて有名だけど、わたしは今日のロンターノの方が好きです。クラスターの中に、古代の賛歌みたいなみたいな神秘的な旋律が浮かんでくるのですね。子宮の記憶を呼び覚ますような音楽。ユロフスキさんの演奏は、そんな深くに隠されている旋律を銀色のざらざらした光りの上に浮き出るように演奏していました。こういう音楽の名演奏が、どんなものなのか分からないけど、うんとステキな演奏でした。

バルトークのヴァイオリン協奏曲は、初めて聴く曲です。バルトークにこんな曲があるのかって思いました。ってか、あまりバルトークらしくないというか、ちょっとハリウッド的なものを感じたので、後期にアメリカに渡ってから書いた音楽だと思っていたら、プログラムをみたら、あれれ、初期の作品だったんですね。びっくり。音楽はとても取っつきやすい感じです。バルトークらしい4度とか5度とか、民族的な音型は前面にはあまり出てこないし。ヴァイオリンのバルナバス・ケレメンさんは、一昔前のロックンローラーっていった髪型。なのでアメリカ人かなって思ったら、ハンガリーの人だったんですね。今日は勘違いばかり。ロマンティックな音楽なのでロマンティックに演奏したのだけど、彼の顔の表情が豊かで、面白かったです。この人、名前も初めて聴く人でしたが、とっても上手い。アンコールで弾いたバルトークの無伴奏のソナタの1節がとっても良かったです。もうひとつのバッハのパルティータの1節は、フレージングの仕方がちょっとわたし好みではありませんでした。でも、もっと知られて良い若手のヴァイオリニストのひとりであることには間違いありません。世界中にはまだまだ聴いたことのない、聴いてみたい人が隠されてるんだなぁ。

マーラーが天才かと言われれば、決して天才だとは思えない気がします。シューベルトはマーラーが復活を書く年齢の前に全ての作品を書き上げてるし、バーンスタインがエレミア交響曲を書いたのは20代の始め、タコの交響曲第1番は19歳。それに比べるとマーラー20歳の作品の嘆きの歌は、若者らしい奔放さはあるけれども、まだまだ力が足りないように思えるの。ベートーヴェン賞に落とされて、マーラーは後々まで恨んでたみたいだけど、もしかしたら、落とされて良かったんではないかってさえ思えます。このまま妙な自信を持って進んじゃうと、今聴ける真に素晴らしい作品は生まれてこなかったかもしれないから。
といろいろ、文句を言ってるのは、ユロフスキさんとロンドン・フィルの演奏はとっても良かったんだけど、いかんせん、音楽が未熟で、退屈なところが多かったです。もちろん、あとの作品を先取りするようなところもあるのだけど、意気込みだけが凄くて、旋律の展開がちょっと滞ってる感じがするのね。でも、聴く機会が少ない作品なので聴けて良かったです。合唱に4人の独唱、大きなオーケストラ、20人くらいのオフステージのバンダ、副指揮者というコストパフォーマンスがものすごく悪そうなので、聴いてる方はお得感あり(?)
この曲、骨で作った笛を吹くと人殺しの物語を語るところをボーイソプラノ(とアルト)が歌うんだけど、聴いててドキドキしちゃうね。上手く歌えるだろうかってお母さん気分。になってるうちにさらにドキドキして、少年萌え〜〜〜。おばさんはヘンな方に走るのでした。
今までのユロフスキさんのマーラーはマイクが立っていて録音されていたのだけど、今日はマイクがありませんでした。将来はロンドン・フィルとのライヴでマーラーの交響曲全集がCD化されるんじゃないかと期待してるんだけど、嘆きの歌は入らないのかな。そうだとするとちょっと残念。舞台の外の大きなバンダのことを考えると、CDで完全に再現するのは難しいと思うんだけどね。
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by zerbinetta | 2011-01-29 08:02 | ロンドン・フィルハーモニック | Comments(4)

Commented by ありこ at 2011-02-02 12:52 x
>>もっと知られて良い若手

若手に限らず、世の中に埋もれている才能は多いんですよね。
ちょうど昨日の新聞で、日本で90歳くらいになった今もなお、カフカ的な系列の味わい深い小説を書いて同人誌を発行されている作家さんが小さな記事でとりあげられていました。記者は「兼業の新人作家なぞをこぞって持ち上げるより、こういう人をクローズアップすべき」と締めていました。

そして今朝はラジオでエルガーのチェロ協奏曲が流れたのですけど、前説で「この曲はエルガー自身の初演が不評で、他のソリストの働きかけてようやく日の目をみた」と聞きました。大好きな曲ですが、そういう背景は知らなかったので、意外でした!今となっては偉大な名曲も、当時の評価は良くなかったって…才能ある作品、パフォーマンスも、なかなか時流を掴むのは難しいものなんですよね…しみじみ。

私も自分がいいな!と思った演奏家はどんどん発信したいと思います♪
Commented by Miklos at 2011-02-03 09:51 x
ケレメンは若いながらもハンガリーではたいそうな人気者なんですよ。あの幸せそうな表情は一度見たら病み付きになります(笑)。Hungarotonレーベルを中心に録音もいっぱい出してまして、最近出たバルトークのヴァイオリン協奏曲第2番の新譜では、終楽章の別バージョン(コーダが違うだけですが)がおまけで入っていたりして、なかなかオススメです。

ヴァイオリン協奏曲の第1番はバルトークが若い頃に片思いしていたヴァイオリニストに捧げた作品で、その彼女の死後に遺品の中から発見されようやく日の目を見たという曰く付きの曲なんです。好きな女性に捧げたという意味で、晩年のピアノ協奏曲第3番と共通しているものが根底に流れているのかもしれませんね。
Commented by zerbinetta at 2011-02-05 10:12
ありこさん、
そうですね、わたしも埋もれてます。誰かわたしの才能を掘り起こして〜〜。あれば。。。
わたしも自分の耳で良い音楽家を探していきたいです。そのためにはちゃんと音楽を聴けるように努力しなくっちゃ。音楽を演奏する音楽家も大変だけど、音楽を受け止める聴衆も本当は大変なんですね。楽器は演奏できないけどどうして音楽を創ることに参加していきたいです。
Commented by zerbinetta at 2011-02-05 10:16
Miklosさん、
ふふふ、わたしはちょっと髪型が気に入りませんでした。プログラムにあった写真はすごく良かったのですが。でも親しみの持てる人ですね。

あの協奏曲はラヴ・レターだったんですね。ならば納得。バルトークらしからぬ(?)甘い、分かりやすい音楽でしたから。そんなラヴ・レターもらえるなんてうらやましい。わたしがヴァイオリン協奏曲をもらっても猫に小判ですが。

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