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アリーナたちのシューベルト   

アリーナとチェロのゲルハルトさん、ピアノのオスボーンさんによるシューベルトの2つのピアノ・トリオの音楽会。わたしが聴いた次の日、シューベルトのお誕生日にウィグモア・ホールで行われた音楽会の演奏がBBCラジオ3で配信中です。期間限定なのでお早めに。
わたし自身はこの音楽会は聴けなかったんですけど(ソールド・アウト!)、聴いてみた印象はわたしが聴いた日とあまり変わりないステキなものです。録音もとても良く録れてると思います。

いくつかのサイトで評を読んだのですが、ガーディアンなんて星3つですよ(5点満点)。結構低めの評価です。ぷん。でも、彼らが批判しているのが、このトリオがまだ即席だということ。この3人が集まったのは今回のツアー、ブリュッセル、リード(わたしが聴いたもの)、ロンドン、マンチェスター、が初めてで、ひとりひとりは上手いけど、まだトリオとして熟成できていないということ。わたしはこの意見には確かに耳を傾けます。トリオの緊密さは時を経てお互いの音楽をもっと感じることで熟成される、いわば深い味わいのワインのようなものだと思うから。でも、わたしはフレッシュな若いワインも好きなんです。まだ、お互いに探り合う緊張感みたいのもステキだし、かみ合わずドキドキするのも音楽じゃないかって思うんです。シューベルティアーデで演奏されたときも、気心は知れてる友達だけど、練習はあまりしてなく、とちっててへへ笑いをしたり、上手くいって盛り上がったり、そんな友達どおしの和気藹々のムードもあったんではないでしょうか。アリーナたちのまだ即席トリオだけれども彼らの今しか聴けない貴重な音楽となるのではないでしょうか。

そして、ガーディアンでも評価しているとおり、彼らはこれからの時代の最高のトリオに成長していくのではないでしょうか。辛口の評をしているものも含めてその将来性にはみなとても期待した意見が書かれています。わたしもそう思います。何年もあとにまたシューベルトのトリオを聴く機会があったらそこに成長して成熟したステキな音楽家たちの姿を見いだすのではないかしらって思います。それぞれがソロで忙しい彼らではあるけれども、年に1回でも集まってツアーを組むことを長く続けていって欲しいと心から願います。そしてわたしも彼らの成長を、できればわたしの成長と共に聴き続けられたら幸せだなって思います。そして、ガーディアンでも書いているように、偉大なトリオになった将来、彼らが最初に演奏した音楽会を聴いたんですよ、とプチ自慢しながら彼らの若い音楽を思い出す日を楽しみにしたいと思います。
ぜひ皆さんもわたしたちの世代の偉大なトリオのスタート地点としての演奏を聴いてみてくださいね。

by zerbinetta | 2011-02-09 07:52 | 室内楽・リサイタル

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