やっぱり胸は大きい方がいいのか アンナ・ニコル@ロイヤル・オペラ   

c0055376_102087.jpg
26.02.2011 @royal opera house

turnage: anna nicole

eva-maria westbroek (anna nicole)
susan bickley (virgie), gerald finley (stern),
andrew rees (doctor yes), alan oke (j. howard marshall II), etc.

richard jones (dir)

antonio pappano / ro chorus, orchestra of roh


c0055376_1024053.jpg
ものすごく宣伝されてた、ロイヤル・オペラの新作、アンナ・ニコル。ショップから、パネル、劇場の中に飾ってあるヒストリカルな胸像やホールの中の天使像、さらには幕にまで、どこもかしこもアンナ・ニコル一色です。伝統と格式のあるロイヤル・オペラ・ハウスがプレイメイトに乗っ取られた! 全然いつもと違う雰囲気。この時点からすでにオペラは始まっていたんですね。宣伝の甲斐あってか、お客さんいっぱいで連日満員みたいです。現代作品なのにびっくりですね。なんといっても題材がヴィヴィッドだからですかね。いつもより女子のスカート短い人多めです。

ヴェルディの時代は高級娼婦がオペラの主役を張れるのだから、現代だったら、プレイメイトでヌード・ダンサーもやっていたアンナ・ニコルが主役を張るのも当たり前、と思いましたが、戦前にもルルがいましたね。でも、fuckとかbitchとかtitとか、いわゆる使ってはいけない単語がばんばん出てくるし、あまりにも今なゴシップなのでちょっとびっくりしました。ヴェルディの時代も椿姫を観てびっくりした人も多かったのかも知れません。当時の今という感覚を忘れると過去の作品の意味も間違って解釈してしまうかも知れないって危険に思い至りました(このオペラには関係ないんですけど)。

タネジさんの音楽はミュージカルと言うには重くて分かりづらいけど、ジャズやポピュラー音楽の要素もたっぷり入っていて分かりやすい音楽です。オペラとミュージカルの間の(ときどき議論になるけど)ありそでなさそな垣根が意味をなさない感じです。舞台が話を引っ張っていくので、音楽は分からなくても(実際は音楽も舞台を引っ張っていくのですが)、テレビドラマや映画のバックに流れる音楽のようにも聴けます。オペラを初めて観る人にも、オーセンティックなオペラを先入観で期待されちゃうと戸惑うでしょうけど、楽しめるんじゃないかと思いました。音楽は合唱がストーリーを引っ張っていてどちらかというと合唱オペラ系ですかね(ボリスゴドノフとかビリー・バッドみたいな)。でも、現代作品には珍しく(?)ステキなアリアもありますし、オペラの娯楽性を持ったしっかりした作品だと思います。
物語も現代のテンポでさくさくと進むし、取捨選択が良くできていて、話が停滞せずに流れがよいです。このあたりは映画的。歌詞も笑わせるところも多くて(喜劇ではないけど)、楽しめます。ただ、この物語から何を感じたらいいのか、まだちょっと整理が付いていません。波瀾万丈の境遇の中にあっても子供を愛する母であるアンナに共感するのか、人生の成功物語に共感するのか、成功のあとの暗い影を感じるのか、いやもっとゴシップを楽しむ現代人の姿を考えさせるのか、成功の鍵は豊胸にあり。豊胸手術は受けた方がいいのかなぁって思うのか。あっそれは個人的な感想だけど。。。でも、胸大きかったら違う人生歩めたのかなぁ。a is small no use at all....あああ。

パパーノさんとオーケストラは控えに回ったけど、とっても良かったです。そして物語を導く合唱がとても良い。舞台に上がっていた人はみんな演技も上手かったし、楽しめました。これ、中途半端にやるととってもつまらないものになると思うんですね。みんな吹っ切れてやっていたのが良かったです。歌手では主役陣がとっても良かったです。アンナのお母さんのビックレイさんや、アンナに豊胸手術をするドクター・イェスのレースさん、ほんとにおじいさんだった(メイクアップかしら)ハワード・マーシャルのオクさんは、それぞれ重要な脇役をしっかり歌っていました。アンナ・ニコルに次ぐ準主役のステーンのフィンレイさんは、とっても良いバリトンになりましたね。軽めの役を上手に演じつつ、良い声で歌ってオペラを引き締めます。この人、重い役よりもこういうなんか飄々とした人物が似合うような気がします。最初に彼を見たのがパパゲーノだったので、それが刷り込まれてるから、というような気もしますが。

タイトル・ロールのウェストブロークさんは、もうこの人がいなければこのオペラは成立しないだろうと思うくらい、はまり役でした。役になりきっていて、演じるのも上手いし、歌も凄くいい。この役って、現実のそしてついこの間まで生きていた人なので、顔を知ってる人もたくさんいるだろうし、歌手を選ぶであろう役だと思います。しかもセックス・シンボルになるくらいだから美人でグラマー(豊胸手術はしてるけど)。誰でもができる役ではありません。また反対に歌手にとっても、この役は引き受けづらいだろうと思います。ウェストブロークさんを得て、このオペラは幸せだろうし、成功したんだと確信します。ちなみにパネルやポスターになってる写真はウェストブロークさんです。

この後このオペラがどう受け入れられて(あるいは受け入れられずに)いくのか、よく分からないけど、少なくとも、’今日’の作品として楽しめました。
c0055376_959399.jpg

左から、フィンレイさん、パパーノさん、タネジさん、ウェストブロークさん、オクさん
c0055376_100149.jpg

ウェストブロークさん
c0055376_101623.jpg

[PR]

by zerbinetta | 2011-02-26 09:57 | オペラ | Comments(2)

Commented by かんとく at 2011-03-02 03:09 x
この日、私、珍しくストール席でかぶりつきで見てました。理由は・・・・・・・・、
普段よりチケットが安かったから(ホントです)。
オペラ見たって感じがしませんでしたが、この作品はとっても良かったと思います。開演前から完全に乗せられた感じでしたね。
Commented by zerbinetta at 2011-03-02 09:59
かんとくさん、エッチですね〜〜。ってエッチなシーンはなかったですよね。
ほんとにロイヤル・オペラ・ハウスが異様な雰囲気に包まれていて、なんかスノッブなオペラへの強烈な皮肉のようにも感じられて、始まる前から楽しめました。
作品も歌手陣もとっても良かったし、新作を成功させるという気合いみたいものを感じました。テレビカメラが入っていたので放送されるかDVDになるんでしょうね。

<< わくわくしすぎて我慢できな〜〜いっ マーラーの9番聴き比べ? 匂い立つ >>