マーラーの9番聴き比べ? 続きはまた明日   

02.03.2011 @barbican hall

shostakovich: cello concerto no. 2
mahler: symphony no. 9

mario brunello (vc)
valery gergiev / lso


久しぶりにゲルギー登場のロンドン・シンフォニー。今日は食傷気味のマーラーの交響曲第9番です(今年に入ってから聴くの3度目)。でもその前に、タコのチェロ協奏曲第2番。タコ好きを自称してる割に、この曲も聴くの初めて(前回もヴァイオリン協奏曲の第2番を聴くの初めてって言ってましたね)。ヴァイオリン協奏曲第2番に続いて、今日のチェロ協奏曲第2番も鬱々と暗い曲。3楽章からできていて真ん中のスケルツォを挟んで前後がゆっくり目の楽章。構成は次のマーラーの音楽に似てる。始まりからぶつぶつと呻くようにつぶやくようなチェロのグリッサンドを含んだタコらしいいささかひねくれた感じの旋律で、ああやっぱタコ好き〜って喜んでました。木管楽器が出てくるところで曲想が急転換するところも面白い。しみじみととっても精神的に深い曲。もともと交響曲第14番として着想されたそうです。あのバビヤールのあと、死者の歌の前ですね。なるほどと思わされます。ところが、なんと間抜けなことに、ちょっと疲れていたせいか集中力が途切れて、音楽は聞こえてるんだけど、聴いていない状態。こんな深い音楽に今のわたしでは太刀打ちできない。この曲はじっくり何回も何回もかみしめながら聴いてみたいと思いました。
チェロを弾いたのはブルネロさん。イタリア人です。プログラム・ノートによると1986年のチャイコフスキー・コンクールで優勝してその決勝ラウンドで、まだ無名のゲルギーと共演したそうです。ゲルギーとは深い因縁(?)で結ばれているのです。初めて聞く人だけど、とっても深い音色で渋い男性って感じでステキです。イタリア人だからちょい悪オヤジ系かなぁ。でも、こんな人にナンパされたら、一晩ならついて行っちゃうなぁ(あっ楽しい会話をするのですよ)。

こんな長い曲(40分くらい)を聴いたあとに、マーラーの交響曲。ゲルギーのプログラムって相変わらず重いです。
ゲルギーは、わたしが最も長くそしてたくさんの演奏を聴いてきた指揮者です。USに住んでいた頃には、メトの主席客演指揮者で毎年何公演かを振っていたし、手兵のマリインスキー・オペラやマリインスキー・オーケストラとよく来米公演に来ていました。そういえば我らがナショナル・シンフォニーにも客演したことも。そして、今、ロンドン・シンフォニーの主席指揮者としてたくさん聴いています。US時代にたくさん聴いた指揮者は、ヨーロッパにはあまり来ないし、今ロンドンでたくさん聴いている指揮者はUSではあまり聴いたことがありませんでした。アメリカとヨーロッパ、遠い。

だからゲルギーの音楽はよく聴いていて親しんでるはずなのに、ゲルギーのマーラーはわたしには、どこかポイントがはっきりしないのです。昔のマーラー指揮者、バーンスタインやテンシュテットのようなマーラーの音楽にのめり込んだような演奏ではないし、かといってブーレーズさんやサロネンさんのような客観的分析型でもない。アバドさんやMTTのような楽譜をそのまま音にしたような演奏でもないし、最近聴いたドゥダメルさんやネルソンスさんのように新しいマーラーを聴かせてくれるわけでもない。なんかどんなカテゴリーにも入らないんですね。音楽は充実してるんです。それにゲルギーは自信を持って演奏している。んだけど、わたしの手からスルリと抜けていってしまう。象徴的なのは第1楽章。ほとんど溜めを取らない演奏で、わたしの取り付く島がないんです。さっさと歩いて行っちゃう彼をちょこまかちょこまかと追っかけていく感じ。

ゲルギーはマーラーのこの音楽を白鳥の歌として演奏していない気がする。プログラムの解説にも書いてあったけど、マーラーは晩年、言われる程には死を意識していない。確か、ラグランジュの本だと思うけど、心臓に欠陥があると診断されたあとでも、健康に気をつかって運動を自粛したということはなく、自転車や水泳は欠かさなかったようだし、第一、ニューヨーク・フィルの最初のシーズンは46回も指揮してる。マーラーは交響曲第9番の作曲当時、エネルギッシュでぴんぴんしていたと見なすのが妥当だと思うんです。それでもこの音楽には離別の匂いがするんだけど、それは生への分かれというより、若き日への別れ、豊穣な19世紀への別れではないでしょうか。と書きつつ、ゲルギーの音楽には別れ、なんてキーワードがちっとも感じられないんです。
ゲルギーこの曲を第8番のあと第10番、未完に終わったけど、の前に書かれた音楽として、たまたま、作曲者が死んでこの曲が完成された最後の作品となったけど、という音楽として演奏しているのではないかって、感じました。そう、明日のプログラムは、なんと、この曲のあとに交響曲第10番のアダージョが演奏されるのです。

明日も聴きに行きます。なのでマーラーの続きはまた明日。明日はうまく聴けるかな。
[PR]

by zerbinetta | 2011-03-02 09:44 | ロンドン交響楽団 | Comments(2)

Commented by ありこ at 2011-03-04 15:19 x
私も昨日、先生の演奏会でタコのチェロソナタを聴いてきました。先生の演奏はかなり軽妙な感じで、グリッサンドも控えめだったのですが、いやらしくならない程度のひねたグリッサンド、私もスキです(笑→ゆえにタコ好きなのか)今年は個人的にタコイヤーかも(笑)

ところで、前記事のアリス、私もワクワクです!ミュージカル好きな私のような人もチケットを買ったのではないでしょうか。
感想うかがえるのが楽しみですvvv

Commented by zerbinetta at 2011-03-06 10:00
いいですね。タコイヤー。わたしはなかなかタコイヤーになってくれません。大好きなバビヤールを生で聴く日は来るのでしょうか。

ミュージカル好きのありこさんなら、アンナ・ニコルも楽しめるのではないでしょうか。ちょうどオペラとミュージカルの中間みたいな感じでしたよ。
アリスはもうわくわくしすぎてはち切れそうです。大きくなったり小さくなったり、ウサギ追っかけちゃいそう。

<< マーラーの9番聴き比べ? この... わくわくしすぎて我慢できな〜〜いっ >>