サンタクロースの弟子は本物の妖精   

06.03.2011 @royal festival hall

glinka: overture, ruslan and ludmila
tchaikovsky: violin concerto
sibelius: symphony no. 5

valeriy sokolov (vn)
susanna mälkki / po


人はなぜ音楽会に出かけるのか? そこにチケットがあるからだ。というのが今日のわたしの場合。久しぶりの音楽会のない日曜日、家でゆっくりしようって思って、念のためチケット置き場を見てみたら、ありゃ、今日のチケットが。えええ?なんで取ったんだろう?

それにしてもずいぶん久しぶりのフィルハーモニア。フィルハーモニアは透明すぎてわたしの中では優先順位が低くなったのです。
今日のリーダーはゲストの、ハヴェロンさん。BBCシンフォニーのリーダーの方です。一昨日いなかったと思ったらこちらに来ていたのですね。音合わせが終わって、指揮者を待ってたら、えっ!あれっ? かわいくてきれいな女の人。すらっと細身で、ずいぶん若く見える。あとで調べたら、わたしよりひとつ上。えええ〜、見えな〜いっ。

始まりはルスランとリュドミラの序曲。目の覚める快速テンポ。びっくりしたのは久しぶりのフィルハーモニア、こんなに上手かったっけ? そして、ティンパニの音に再会して、懐かしさが込み上げてきてちょっとうるうる。やっぱりスミスさんのティンパニは特別よ。でもそれにしてももっとびっくりしたのは、指揮者のマルッキさんのきびきびとした音楽作り。可愛らしい、と言ったら失礼かも知れないけど、姿からは想像できない、わたしは家に帰って調べるまで30代前半って思ってたので、堂々とした音楽。指揮もとっても分かりやすい。またまた目の覚めるような才能の発見。

2曲目のチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は、人気曲のハズなのに、多分ロンドンでは初めて、7年間いたUS時代でも1回くらいしか聴いたことがない、不思議な曲。なぜでしょう? 実は不人気? ヴァイオリンを弾くのは、堂々とした青年。ワレリー・ソコロフさん。中堅どころの人かなと思ったら、家に帰ってこれまた調べたら、えっ! アリーナのひとつ下の24歳。ううむ。年齢って分からない。でも、この人、実に上手い。そしてステキな音楽をする。甘く切ないが代名詞のチャイコフスキーの協奏曲を、第1楽章は全く溜めを作らずにさっくり流すの。この間のゲルギーのマーラーみたい。名前が同じワレリーだからかな。いや関係ないけど。そうしたことで、音楽の端正なフォームが見えてきたし、チャイコフスキーが持ってる拍節感、リズム感というのも上手く聞き取ることができたように思います。とってもスマート。
第2楽章も、すらすらと流れる感じ。で、3楽章はゆっくりとした部分と速い部分にものすごい対比をつけて、これでもかと言うほどにテンポを動かしてくる。でもそれも、ロマンティックのためというより構成感をはっきりさせるため。予想外だったけどステキなチャイコフスキーでした。そして、オーケストラの伴奏がとっても上手いの。チャイコフスキーの協奏曲は、独奏を立てつつもオーケストラも独自に大活躍するように上手く書かれてるんだけど、それがもうほんとに良くって、マルッキさんも、丁寧に大事な音を強調させたり、表情を付けたり、見事。第3楽章も目まぐるしくテンポを変える独奏にばっちり伴奏を付けて、いや〜ほんとに上手い。実は今日の音楽会で一番感動した演奏でした。

休憩の後はシベリウスの交響曲第5番。ところで、マルッキさんは、サンタクロース、セーゲルスタムさんの弟子。その音楽もセーゲルスタムさんの薫陶の香りがしました。ゆっくりとした歩みでものすごく雄大。深い森と嶮しい山が目の前に広がるようです。音楽はもうこれでもかと言うくらい、我慢に我慢を重ねてゆっくりした足取りで展開されました。第1楽章の真ん中で森の力がとうとう解放されて、賑やかな踊りの音楽に転じるところでも、まだ我慢。わたしはここは、うって変わったように軽やかな音楽になるのが好きなのだけど、マルッキさんはまだムチを入れないんですね。最後の最後コーダでやっとエネルギーを解放して、ああ、こんなやり方もあるのかって納得。
第2楽章からも基本姿勢は変わらず、この音楽を本当に雄大に、わたしには過ぎるくらいだったけど、演奏していきました。指揮棒を使わない彼女の指揮は、的確でとっても見やすく、アイコンタクトも多用してオーケストラを引っ張っていきました。それにしても心憎いばかりにエネルギーを溜めていきますね。最後はひとつひとつの音の間にドキリとするような間をとって緊張を保ったままお終い。なんか凄くって感心してしまった。というか、マルッキさんに真底めろめろ。わたしはあなたについて行きたい。サンタクロースは魔法を使える本物の妖精を育てたのね。今は、アンサンブル・アンテルコンテンポレンの指揮者なんですね。タングルウッドやボストンでも振ってるみたいなのでレヴァインさんが辞めたあとのボストンなんかどう?
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by zerbinetta | 2011-03-06 10:21 | フィルハーモニア | Comments(2)

Commented by Miklos at 2011-03-11 09:56 x
こんばんは。「マルッキ」さんと言うんですね。てっきり「メルクル」さんとばかり思い込んでいたので、あれっと思いましたが、よく見ると最後は「l」じゃなくて「i」だった!
演奏会は聴いていないので、与太話のみですいません。(春休みということで、演奏会通いもちょっとお休みモードに入ります。)
Commented by zerbinetta at 2011-03-11 10:53
与太話大好きです♪マルッキさんはググって調べました。わたしはメルッキさんだと思っていたのですが、発音や日本語表記には自信がないので、人の名前はとりあえずググってみることにしています。でも、どう考えてもそんな発音しないだろうって日本語表記もありますね。

早い春休みですね。今年はイースターも遅いし、ロイヤル・ウェディングもあるから遅めの春休みかなって思ってました。わたしには夢の話だけど。

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