えええっ! なんでチケットが2枚?   

03.04.2011 @royal festival hall

rossini: overture, guillaume tell
mozart: piano concerto no. 23
brahms: symphony no. 2

ingrid fliter (pf)
danail rachev / po


順調に減りつつあるチケットの束を観察してたら、えええっ! 今日のチケットが2枚ある! 彼と音楽会デートするんだったけ? いえいえまさかー、だって違う時間帯の違う音楽会が1枚ずつですもの。あああ、今日は音楽会2回。。。
もう行く前からだるだるで、しかもわたしの家からサウスバンクに直接行ける地下鉄が止まってるぅ。ロンドンの地下鉄の止め方は半端ないですからね。ロンドン五輪に向けてのインフラ整備のためだけど、主要各線が週末にごっそり止まるというのは、日本では考えられない。例えて言うならば土日は山手線が全部止まるとか。というわけで、出鼻もくじかれてテンション下がりきってるのに、会場に着いてホールへの階段を上がっていくと、10分で始まりますよ、席について下さいのアナウンスと共に、今日の指揮者が替わりましたって。うぐっ。今日は指揮者のフルシャさんを聴きに来たのに。誰指揮者?知らない人? そしてメンバー表を見ると、ティンパニのスミスさんがいない。。。フィルハーモニアに来てスミスさんがいないなんて、お醤油をかけない素冷や奴のようなものだわ。それにフィオナちゃんもいない。。。もうがっかりを通り越してがっくし。マチネだしぃ〜だらだら〜んと聴こうかぁ〜、やる気ないし〜みたいな〜。

そんなこんなだから、指揮者を見るわたしの目もとろんとして冷たい。ラチェフさんは、あとで調べたらわたしと同い年(今、ググってみようと思ったの誰? 1970年生まれですよ〜)。指揮者というよりテノール歌手の顔。指揮しながら口で歌ってるし(声は出さないけど口は動いてる)。それにしても最初のチェロのソロからびっくりした。なんとソロイスティックな歌い回し。そのあとのチェロのパートの歌もなんだかオペラティック。この指揮者、忘我没入系だな。歌うのが好きなのかな。そして嵐では今度はかくかくとテンポを揃えてきて、大太鼓のずんずんと思い4分音符の響きがお腹に響く。なんだか良いんだか悪いんだか、雲をつかむような感じで終わっちゃったんだけど、オーケストラは上手い。とても良い音を出していました。良い音が出せるということはやっぱり指揮者が良いのでしょうか。

2曲目のモーツァルトの協奏曲第23番は知ってるようで知らないでもやっぱり知ってた曲。そろはイングリッド・フリッターさん。予想していた感じの人じゃなくて、人間違いしてた。初めて聴く人。そしてとっても可愛らしい人。このモーツァルトは、ラチェフさんのお顔から想像されるままに、ロマンティック・モーツァルト。といってもべたべたに甘いとか、そういうのではなくて、その辺のさじ加減は見事。春のそよ風に歌ってる感じ。ちょっとだけ気になったのは、第1楽章の第2主題の8分音符で半音階で降りてくるところのリズムが、3連符みたいに聞こえてわたしの中のリズムと合わなかったこと。普通にすればいいのにって思った。フリッターさんはラチェフさんに負けず劣らず没入系。完全に音楽の中に入り込んでいましたね。弾いてないときもずうっと音に身を委ねていました。ピアノの音色はきらきらと光りを弾くガラスみたいな、丸みはあるけど少し硬質で透明な音。だからこそ、モーツァルトが過度にロマンティックにならないのかもね。カデンツァは春の光りの中に飛び出して走っていく感じで、溌剌として良かったです。この人のピアノ、もっと聴いてみたいと思いました。それにしても、音楽の最後、少しずつ感情が盛り上がってきて(クレッシェンドをかけるとかテンポを変えるとかするのではなくて、何か心の奥の方から沸き立ってくるものを感じたの)、最後興奮して終わるのにはびっくり。これってまさにロマン派チックな演奏よね。でも、なんかそれが良かった。

最後のブラームスの交響曲第2番は、春が近づいてくる陽気の午後にぴたりの音楽。で、演奏は、素直な感想は普通。ちっとも褒めてないって思われるかも知れないけど、この曲を普通に聴かせてしまうのってやっぱり凄いって思うんです。目を閉じていればCDを聴いているみたいでとても完成度高いし、不満に思うことは何もないんですね。この曲ってむちゃくちゃ緻密に作曲されてるのに、聴いてるとそんなそぶりをちっとも感じさせずに自然で、たゆらか。まさに、作曲されたその通りの演奏だったんです。ひねくれ者のわたしは、ドキリとする瞬間やうわお!と思う瞬間をつい期待してしまうし、最後ははちゃめちゃに興奮のるつぼ的な演奏が好きなんだけど、するりと耳に入ってくる演奏をぼんやりと聴くのもなんて贅沢な午後の時間の消費の仕方でしょう。ラチェフさん、ただ者ではないと見た。

つづく
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by zerbinetta | 2011-04-03 09:12 | フィルハーモニア | Comments(0)

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