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バレエダンサーって大変   

23.04.2011 @royal opera house

prokofiev: cinderella
yuhui choe (cinderella), sergei polunin (the prince),
james wilkie, thomas whitehead (cinderella's step sisters)
alastair marriott (cinderella's father),
francesca filpi (fairy godmother), james hay (jester), etc.
frederick ashton (choreography)
pavel sorokin / orchestra of roh


夏のような暑い日、今日はお昼からシンデレラ。お昼の公演なので子供たちもたくさんきていました。今日のシンデレラはユフィさん。日本生まれの韓国人さん。現在ファースト・ソロイスト。わたしが応援してる大好きなバレリーナのひとりなのです。シンデレラは前にも踊っているんだけど、わたしが彼女のフルレングスでの主役を観るのは初めてです。だからとっても期待。そしてステージママとしてはちょっと緊張。そしてまた、今日も始まりに少し焦らされて、キャストチェンジのアナウンスが。ドキリとしたけど、第2幕の求婚者が変わるということで、平野さんがクレジットされていたんだけど替わってエイヴィスさん、ケイさんは替わったのかしら、平野さんは王子の友達に、というそんな感じ。良かったユフィさん無事で。

音楽は今日はとてもゆっくりと始まりました。いつもと同じ指揮者だけど、こんな演奏だったっけ?ちょっとびっくりしましたが、これはいい。踊り手によって音楽変えてくるのでしょうか。それにしてもプロコフィエフ、フェアリーテールのバレエなのに彼らしい重い音楽を付けていますね。金管楽器の隈取り、大太鼓活躍。わたしが好きなのは、第1幕のお終いの方の妖精のワルツなんだけど、ここもチューバがソロで変な音を吹いてるのが好きなのです。チューバの変な音部門堂々の第1位です。ちなみに第2位はマーラーの交響曲第3番の第1楽章真ん中の美しいところ、トランペットの静かなファンファーレに引き続いてホルンのソロが美しい旋律を歌う部分に入る前の経過的な部分。脱線しちゃった。プロコフィエフは、第2幕の12時の時計が鳴るところもいいですね。世界が終わりになるような音楽で。

ユフィさんのシンデレラ、とってもかわいらしい! そして手と足先の表現がとてもきれいで上手。箒とパ・ドゥ・デュ(じゃないって)もステキ。女の子の夢が素直に表現されていました。今日のユフィさんの踊りを観て、わたしはなぜか親しみを覚えたのです。なんでだろう?ってちょっと考えてみました。そして、わたしとユフィさんのシンデレラに共通の下地があることに思い当たりました。子供の頃呼んだシンデレラの絵本、いじめられっ子の物語のマンガやテレビ。わたしたち日本育ちですから(わたしはユフィさんを個人的に存じ上げていないので、彼女が自分自身を韓国人としてみているのか日本人としてみているのか分かりませんし、それはわたしには正直どうでもいいこと。だけど、彼女に意に反して、日本人、ないしは韓国人と書いてしまうことに躊躇いがあるのです)、同じような感覚を持っていて当たり前。子供の頃からの見えない刷り込みに親しみを覚えたのでしょう。ユフィさんの表現するシンデレラが身近なもののように手に取るように分かるのです。それにユフィさんの感情表現の細やかさはとってもステキでした。今まで観た中では一番子供っぽかったです。日本でのシンデレラの描かれ方って子供ですよね。泣いたり気を取り直したり、夢見たり、笑ったり、ほんとに自然でした。第1幕でアグリー姉妹がダンスを習うところ、舞台の隅に座るお父さんのまわりでシンデレラも踊ってみせるのですが、コジョカルさんもヌニェスさんもとても上手に踊るのに、ユフィさんのはぎこちなくて一緒に練習してる感じ。こんなところもそれぞれの踊り手によって役の作り方が違うので面白いです。そうそう、今日のシンデレラには関係ないのですが、コジョカルさんのシンデレラ、箒に縛ったスカーフが箒をとんとんとしたときに落ちたんですが、あれはわざとだったんでしょうか?今日のユフィさんのは落ちなかったし多分落ちたのを観たのはコジョカルさんだけ。でもそのあともとっても自然だったので、アクシデントなのか、わざとなのか、ほんと上手な人は失敗しても失敗に見えないというか、どこまでが演出なのかよく分からないのも凄いところです。
変身したあとのシンデレラも、変身前の素朴さをちょっぴり残しているようで好感が持てました。幸せそうに踊るユフィさん。でもこれが夢の世界の出来事であることを知っているようでした。夢と現実の混じり合う少女の世界、それがユフィさんのシンデレラのような気がしました。

王子様のポルーニンさんは、前にも増して良かったです。今日は本来のペアだったのでのびのびしてたし、ポルーニンさんは若くてノーブル。でもちょっと可愛らしいとこあったりやんちゃなとこあったり。出番が少ないのが玉に瑕ですけどね。

今日はアグリー姉妹が、いつものキャラクター・アーティストさんではなく、ウィルキーさんとホワイトヘッドさん。かっこいいのに、女装とはもったいない。おふたりならではの工夫もされて、また新鮮な感じでした。背丈があまり変わらないのが、残念といえば残念。でこぼこ感が欲しいので。お父さんのマリオットさんはとっても良かったです。このお父さんもそれぞれのダンサーの方が工夫して役を作ってくるので観ていて楽しいです。今日のお父さんは、とっても気弱。お父さんがんばれ〜って叫びたくなっちゃう。
今日、もひとり良かったのが道化を踊ったジェームズ・ハイさん。初めて見るお名前だわって思ったら、なんとまだアーティスト。大抜擢ね。でもこの人、これからぐんぐん上に上がっていきそう。今からつば付けておこうかな。

妖精には秋の妖精で高田茜さんが踊っていました。彼女の妖精は何度も観たけど、踊りが切れててはきはきしててとっても良いですね。ステキです。妖精ゴッドマザーはファースト・アーティストのフィルピさんでした。比べちゃうのは酷なんですけど、やっぱりこの間のモレラさんの方が貫禄ありますね。ゴッドマザーが先導して踊って、それを四季の妖精たちが繰り返して踊るというシーンがあるので比べられるんですけど、プリンシパルのモレラさんは、他の妖精たちより上手で切れがあるのが見て分かるんですけど、フィルピさんの場合は、みんな同じように感じちゃう。もちろん、比べること自体があまり意味のないことなんですけどね。
比べるといえばユフィさん。わたしの観たシンデレラの中ではやっぱり一番おとなしいかな。例えば箒のシーンで片足を横からすっと上げるシーンがあるんだけど、コジョカルさんはもう垂直にさっと上がるのに比べちゃうとユフィさんはそこまで足が上がらない。でも、比べる相手が悪いよね〜。わたし観たの、コジョカルさんだし、ヌニェスさんだし、都さん。この人たち、プリンシパルの中でも特別な人たちだもの。ただ、プリンシパルに上がるのって、今度は常に同じプリンシパルの人と比べられるので大変なことだと思う。それでも、ユフィさんにはプリンシパルに上がって欲しいし、近い未来にきっと上がってくれるだろうと期待しています。まずは来シーズン、リーズの結婚やロミオとジュリエットで主役デビュウしてくれないかなぁ。

ユフィさんの1日。バレエダンサーってたいへ〜〜ん。

華やかな舞台
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四季の精たち、一番奥に茜さん、平野さんが後ろの奥から2番目
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ハンサム台無し、アグリー姉妹
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ハイさん
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ユフィさんとポルーニンさん
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by zerbinetta | 2011-04-23 04:59 | バレエ

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