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人気者!! ランラン   

19.05.2011 @royal festival hall

rachmaninov: trio élégiaque no.1
mendelssohn: piano trio no.1
tchaikovsky: piano trio

lang lang (pf)
vadim repin (vn)
mischa maisky (vc)


本来ならばランさんと書くべきなんでしょうけど、ついうっかりランランと言ってしまう、ランランさん。いえ、ラン・ランさん。とおっても人気のあるピアニスト。その人気の秘密、今日分かりました。なんと言っても、まさにお名前(郎朗)のとおり、朗らかな明るくて親しみやすいキャラクター。お客さんを大事に思う感じがステージマナーにもにじみ出て、好感度大。カーテンコールで挨拶するときも、他のふたりを促してちゃんとステージの後ろの席の人にも挨拶したり、気軽に客席に手を振ったり、小さな子供が花束を差し出したときにはプログラムにサインをしてたり。それがとっても自然に出てくる。そして音楽も大きくて分かりやすい。わたしも彼の虜になりました。

さて今日はそのラン・ランさんと、ヴァイオリンのレーピンさん、チェロのマイスキーさんでトリオなんです。むちゃ豪華メンバー。これ、わたしじゃなくてもうっかりチケット買っちゃいますよね〜。
始めはラフマニノフの悲しみの三重奏曲。わたしの知っている曲かと思ったらまるっきり知らない曲でした。ヴァイオリンとチェロでいきなり不思議な世界に連れ込まれたと思ったら、ピアノが入ってきて、雄大なロマンティックな世界に。
それにしてもこのスーパー・スター・トリオ、音楽のスケールがとても大きい。偉大とか尊大とかそういうタイプの大きさではなくて、ふうせんにのっかった世界が脹らむような大きさ。器が大きいみたいな感じ。演奏した3曲の性格もあるのでしょうけど、自然にたっぷりとメロディを歌わせて、素直に本当に素直に音楽の心に浸れる。とても暖かな演奏。わたしも理屈抜きで素直に音楽を楽しんで感動しました。
それにしてもラン・ランさん、人気者。彼が出てくるだけで盛大な拍手。いたるところでフラッシュが焚かれて写真の嵐。さすがに演奏中はほとんどありませんでしたが(ほとんどとしか言えない。。)。中国人のお客さん多めかな。彼目当てというか、あまりクラシックの音楽会に来たことがない人が多かったみたいな感じで、ロンドンでは珍しく、楽章の間にも拍手がありました。ラン・ランさんたちは気を利かせて音合わせとかしていましたね。

2曲目はメンデルスゾーンのトリオ第1番。この曲も初めて聴きます。わたしは今日はこれが一番良かったと思いました。わたし、メンデルスゾーンとはとてもウマが合うんです。もしわたしと彼が同時代を生きていたら。。。わたしたちは恋をして、わたしは玉の輿。。。
メンデルスゾーンってロマンティックだけど、控え目な上品さがそこにあってとってもバランスがいいと思うんです。ほの暗さ加減も絶妙に配合されて、とってもステキなんです。今までこの曲を知らなかったなんて。でも、こうして生で新しいステキな曲を発見するのも幸せなことなのかな。CDで聴いちゃうとその間に解説読んだり、別なこと考えちゃったり、集中しないから(悪い癖)。第3楽章のスケルツォが目が覚めるような指がくるくる回るような早い演奏で、ぐっと引き込まれました。お客さんも大喜び。大きな拍手でした。考えてみると、メンデルスゾーンの頃は、楽章の間に拍手することも当たり前で、ステキな音楽を聴いたあとは素直に喜びを表していたんでしょうね。今日の楽章の間の拍手はあまり気になりませんでした。

そして最後はチャイコフスキーのトリオ、偉大な芸術家の思い出に。これも良かったです。この人たちの音楽、もっと聴きたいと思いました。熱い血潮の迸る熱血親父の音楽。漢だわ〜。男かっこよし。3人の個性がぶつかり合い混じり合ってとっても上手くいっています。不思議な組み合わせなんですけどね。
マイスキーさん63歳、レーピンさん40歳、ラン・ランさん29歳。世代の違う3人の組み合わせってトリオでは珍しい? 音楽をリードしているのは、マイスキーさん。2人の大人が前で音楽で会話して、若いラン・ランさんはそれについて行ってるって感じ。ついて行ってると言っても、ラン・ランさんのことですから、ただ控え目に後を追ってるんじゃなくてちゃんと自分を主張してるんだけど、やっぱり親父にはかなわないな〜って感じ。でも、チャイコフスキーの最後の方でピアノが猛然と活躍するところは鬱憤を晴らす(?)ように爆発。すごいすごい。さすがラン・ランさん。最後は葬送行進曲が戻ってきて静かに終わったけど、ここはもうちょっと拍手待って欲しかったな。エクサイティングな音楽を聴いてきたあとなので気持ちは分かるんだけど。
アンコールはメンデルスゾーンのトリオからスケルツォ。お客さんの気持ちがわかってる〜。

それにしても雄大な音楽を聴いてわたしもとっても気持ちが大きくなりました。世界征服でも企むか。

音楽会はこちらのBBCラジオ3で配信中です。

by zerbinetta | 2011-05-19 21:31 | 室内楽・リサイタル

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