学校の怪談   

25.06.2011 @london coliseum

britten: a midsummer night’s dream

iestyn davies (oberon), anna christy (tytania),
jamie manton (puck), tamara gura (hermia),
kate valentine (helena), willard white (bottom), etc.

christopher alden (dir)
leo hussain / eno choir & orchestra


またまた、夏の夜の夢です。夢ばかり。寝過ぎ?
でもやっぱ、イギリスにいたらイギリス音楽ですよね。ブリテンのオペラは是非観たいと思っていました。そしてわたしは、作品を全部読んだことないくせにシェイクスピア好きを勝手にほざいてる。ただね、このオペラはDVDで持っていて、ちょっと音楽がよく分からないなって思っていたのと、コリセウムの雰囲気があまり好きでないので躊躇していたの。でも、ブログ仲間のかんとくさんが絶賛していたので、背中を押されました。観てほんと良かった。実はまだよく分からないことだらけなんですけど、良さの分かる舞台でした。かんとくさん、ありがとう。

もともとシェイクスピアの原作もかなり変わってます。妖精の世界と、恋人たちと、村の素人劇団のどう見ても関係なさそうな人たちが絡むんですけど、まああらすじもそうなんですけど、もっと分からないのが素人劇団の演ずる劇中劇。これに戸惑っちゃうんですね。そういえばわたし、ずうっと前にシェイクスピアの映画のDVDを集めようと画策したことがあって、アリー・マクビールのキャリスタ・フロックハートさんが出ているDVDを第1弾として買ったんですけど、それっきりになってしまいました。。。第2弾の予定はデカプリオさんが出ていたロミオとジュリエットだったんですけど。。。その映画版でも、なんだかよく分からなかったのです。それがオペラ。どうなることでしょう。

さて、舞台は学校。おおお、と思ったけど、プログラムにその理由がいろいろ書いてあるけれども、それはさておいて、秀逸だとわたしが感じたのは、現代において、一番妖精がいそうな場所って学校ではないかって気がついたから。だって、妖精のいた森は、近所からなくなってしまったし、妖精を見ることができる、心が純粋で多感な時代って、大人ではなく、子供時代なんですもの。ましてや、寄宿舎生活をしていたら絶対妖精見たはずだもの。
だから、この舞台設定は、納得できたしとってもステキでした。でもね、たった1回しか観ていなくて、まだまだよく分からないことだらけのわたしが言うのもなんだけど(でもね、オペラの演出ってどんなお客さんを想定してするのだろう? 一度しか観ない一期一会のお客さん? それとも何回も観て理解を深めたいお客さん?)、妖精の世界と恋人たちの世界の境界がよく分からなかったんです。どちらの学校の生徒さんっぽいし(妖精の王様と王女様は先生?)。なので、わたしには、逢魔が時のように此方と彼方の世界が曖昧に感じられました。これが、シェイクスピアの3つの世界を対立させ、干渉させ、平行させる劇のユニークなコンセプトを暈かしているように感じたのです。
そしてもうひとつ、わたしが疑問符をつけたのは、パックの性格。パックって、早とちりで、どこか抜けてて、すぱしっこくて、ちょっぴり悪で、でもどこか憎めない陽性の妖精だと思っていたのですが、この演出では、なんか暗くて弱いいじめられっ子的な立場。明るいからっとした舞台を思い描いていただけにちょっとすれ違ってしまって残念。何回も観ると分かるようになるのかなぁ。そう、何回か観たくなる舞台ではありました。

音楽はさすがブリテン。始まりの妖精の音楽は、弦楽器のグリッサンドがホラーというかお化けの音楽っぽいんだけど、必ず長和音に解決してて、おどろおどろしさを消して妖精の世界に入るという見事なさじ加減。CDでぼんやりと聞いていたときには気がつかなかった、音楽の魅力に気がつかされました。CDで聴いててときはなんて取っつきにくい分かりづらい音楽なんでしょうって思っていたんですね。こうして、生で、舞台を観ながら聴くと、音楽が魅力的に響いてきます。歌は話すように歌われます。ドビュッシーのペレアスとメリザンドほどではないけれども、言葉の音楽。最近こういうオペラ、とても好きです。劇のテンポが保たれるのが、お芝居を観ていて好ましいんです。

レオ・フセインさんとイングリッシュ・ナショナル・オペラのオーケストラはとっても丁寧に音楽を描いていました。オペラはロイヤル・オペラばかり観ているのだけど、イングリッシュ・ナショナル・オペラはそれに比べてマイナー感はつきまとうんだけど、実は、ロイヤル・オペラに引けをとらない水準にあるんですね。劇場があまり好みではないという弱点はあるんですけど(それに、一番安い席はロイヤル・オペラの方が安い)、このオペラ・ハウス、年に何回かは目の覚めるような話題作を演るので、やっぱり毎年来てしまいます。
歌手の人たちも、小粒だけれども決して不満の出るものではなかったです。印象に残ったのはタイタニアを歌ったクリスティさん、そしてボトムを歌ったホワイトさん。ホワイトさん、2歩3歩頭抜けていて、主役とは言えないのに、彼が出てくるところは完全に彼が主役になってました。

夏至の夜は不思議気分でいいですね。わたしはどんな夢を見るんだろう。妖精が幸せを運んできてくれますように。

学校と出演者たち
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ひとり浮いてるボトムのホワイトさん。真ん中のチェックのスカートの女性はタイタニアのクリスティさん
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by zerbinetta | 2011-06-25 07:50 | オペラ | Comments(4)

Commented by かんとく at 2011-07-06 16:16 x
おっと、行かれたんですね。わざわざ、引用までしていただき感謝です。楽しんで頂けたようで、うれしいです。
ENO、侮っちゃいけませんよね。コリセウムの居心地の悪さと言語が常に英語というのが、2大難点だと思いますが、今回はブリテンのオペラですから、本場モンと言っても好いんでしょうね。プログラムに学校の解説が載っていたとは知りませんでした。正直、行くときは余り期待していなかったので、プログラムも買わなかったんです。終演後は流れについて劇場を出たらプログラムを買う機会を逸してしまいました。残念。
それにしても、コリセウムの居心地の悪さって、何なんでしょうね?狭いからだけでもないような気がするんですが。。。
Commented by じゅん at 2011-07-07 02:51 x
はじめまして。いつも楽しく読ませていただいています。コメントするのは初めてです。私はクラシックはそんなに詳しくはないのですがのだめカンタービレというドラマが日本ではやって以来クラシックにはまってしまいました。

今ブラームス交響曲第1番のCDを探していたのですが、これぞ!という一枚を購入したいのですが名盤をネットで検索すると一番多かったのがシャルル・ミンシュとパリ管弦楽団のものでした。でもそれにたいしては古臭いという意見もあったりでなかなかこれという一枚が決められません。何枚も買えればいいんですけどね...。

そういうわけなので、もしよろしかったらオススメはこれ!というのがありましたら意見を聞かせていただきたいなと思いました。

ちなみに私もイギリス在住です。でも小さい子がいるので残念ながらなかなかオーケストラを聴きに行くのは難しいのですがいつか子供も一緒に楽しめる年齢になったら一緒に行きたいな~というのが今の私の夢です。
Commented by zerbinetta at 2011-07-11 06:53
かんとくさん、
ENO侮っちゃあいけません。ってか、ほんと予想以上に上手いですよね。ただ、居心地の悪さが。って思っていたのわたしだけではないんですね。何ででしょうね。オペラには浮き世の現実離れした、優雅な空間を求めているからかなぁ。オードトリウムの中の内装はそんなに悪くないと思うのですが。
そういえば、かんとくさんも最近オペラ多いですね。
Commented by zerbinetta at 2011-07-11 07:09
じゅんさん、はじめましてっ。
コメントどうもありがとうございます。とってもうれしいです。
のだめはわたしも大好きです。最近また漫画を読み返しました。音楽が聞こえてくるように書かれているのがステキです。

ブラームスの交響曲第1番は、交響曲の中ではこれが一番という人も多くいるくらいの名曲ですし、気合いを入れて書いているので、気合いを入れた名演が多いと思います。わたしはCDの聞き比べとかしないのでどの演奏がお薦めとは言えないのですが。。最近聴いてるのはカラヤンのかなぁ。アマゾンで見てみたら、わたしだったら、せっかくだから交響曲全集にして(だって第3番の有名な中間楽章はのだめのアナリーゼのシーンで出てきたし)、安いもの(第1番だけを買うよりも安いかも)ということで、ラトルさんとベルリンフィルのがいいのではないかと。聴いたことがないので無責任ですが、評判も良いしラトルさんの演奏スタイルは、ポジティヴなブラームスを聴くのにはとっても良いと思うんです。わたしも欲しくなっちゃった。

ロンドンでは子供も一緒に楽しめる音楽会も充実しているようなので、お子様と出かけられる年齢になったら楽しんでみてくださいね。

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