夢なんか見ない方がマシだなんて
2011年 07月 16日
16.07.2011 @royal opera house
massenet: cendrillon
joyce didonato (cendrillon), jean-philippe lafont (pandolfe),
ewa podleś (madame de la haltière), eglise gutiérrez (la fée),
madeleine pierard (noémie), kai rüütel (dorothée),
alice coote (le prince charmant), etc.
laurent pelly (dir)
bertrand de billy / oroh
今日は、お昼からマスネのオペラ、サンドリオン(シンデレラ)。12時半始まりという非常に中途半端な時間なので、桃を3つ食べて出かけました。あっちっちゃな平べったい桃ですよぉ。そんなに大食いじゃありません(ウソ)。
最近わたしの中ではマスネ度高いんです。何しろ、この間、バレエのマノンをたくさん観たばかりですからね。その前はウェルテル。それに去年はオペラのマノンも観ています。というわけで、1年前はタイスの瞑想曲くらいしか知らなかったわたしが、マスネづいています。今日はサンドリオン。あまり上演されないオペラみたいです。で、すでに観に行った方々のブログを見ると、歌手陣をはじめ演奏は良く、おおむね好評なものの音楽がだらけてる、という評。そしてわたしの感想は、まさにその通りでした。
お話はシンデレラ。シンデレラは、バレエやロッシーニのオペラで観たことがあるし、有名な童話だからあらすじはばっちり。バレエもロッシーニのオペラも喜劇仕立てで、すかっと明るい爽やかな感じ。ところがマスネはこれを粘っちゃうんですね。童話だから絵本にしたら6ペイジくらいのお話を、なんか大河小説を書くように重くねっとり。クリームてんこ盛りのいやんカロリー大丈夫?系のケーキのようです。マスネの音楽は叙情的な部分がマスネらしいお得意のところだから、自分の個性を生かしたとも言えるのだけど、童話ですからね〜。例えば、パーティーから帰ってきてルセット(シンデレラ)は、夢のような時に執着しすぎて、夢なんか見ない方がマシだったと、どんどん悲劇色を強めていって、死のうとするんですね。死ななかったものの一時気が触れてって、これは童話ベースにしては重すぎでしょう。それに、夢を見させてくれた妖精に八つ当たりするのは、そして、恋が叶うようになんて、妖精に対して要求多すぎ。自分で努力するのでもなく、教育的にもよろしくありません。わたしは、むしろ、4月になって(心和らぐ春になって)、友達が誘いに来ているのに自分の殻に閉じこもってないで、ほら、自分から窓を開けて外に行こうよって、両手をグーにして密かに応援しちゃった(もちろんシンデレラは外に行かなかったんだけど)。
夢は見た方がよっぽどステキだし、夢を見たなら、誰かに頼らないで自分で実現しなよって思っちゃう。それもこれも音楽がゆっくりと美しく流れているので変なことを考える余裕があるからでしょうか。バレエのマノンに使われていた曲もいくつかあって(バレエにマノンはオペラのマノンの音楽じゃなくて他の作品の音楽をいろいろ使っている)、バレエもちょっと思い出しました。
舞台はカラフルでとってもステキでした。もちろん喜劇的要素もちゃんとあって、アグリー姉妹(いえ、ちっともアグリーではないんですが)と継母がその役を買って出ていました。シンデレラとお父さんはまじめな悲劇系。もしくはお話上の役割を考えると、アグリー姉妹と継母が実生活系ポジ、シンデレラとお父さんが実生活系ネガ、シンデレラと王子が夢見る夢子ちゃん系、妖精がおせっかい系みたいな感じかな。実生活系と夢子ちゃん系は妖精が橋渡しするもののあまりにかけ離れているので現実感がありません(お伽話だから当たり前な気もするけど、なんかお伽話を見ている感じじゃないのよね)。パステルカラーの軽やかな奇抜な衣装や明るい舞台がステキなのに、ところどころべったりした音楽がそれを帳消しにしちゃうのが残念です。
と、後ろ向きなコメントばかり書いてきたけど、演奏はとっても良かったんですよ。ドゥ・ビリーさんのオーケストラはとっても良い音で歌っていたし、歌手の皆さんも粒ぞろいでうんと楽しめました。開演前に、劇場の人が出てきて、あっ誰か降板って客席一同そわそわしましたが、お父さん役のラフォントさんが腎結石なんだけど声は完璧なので歌いますって。会場ほっと大喜び。わたしは、途中石が降りてきたら大丈夫かなって心配だったけど、最後までちゃんと歌ってくれました。それもすごくステキにね。最高のお父さんでした。
それに対して、継母のポドレシさんは、強くて恐くてコミカルな役をそのままの通り歌って舞台を引き締めていました。声も強力だし、喜劇的な役所って舞台にはとっても大事だと思うのだけど、そのまま大阪のおばちゃんという感じ(実は笑顔のきれいな人)で上手かったです。この人、シリアスな役を歌っても凄そう。
若手を起用した継姉妹も奇抜な衣装とともに楽しめました。妖精のグティエレスさんは、コロラトゥーラの高い声は上手く出していたもののちょっと線が細いかな。難しい歌を歌っていたので拍手は多かったですけど。
王子様役はズボン役です。初めに出てきたとき、あっ男だよね、と思ったら女性の声で、多分そういうことを作曲者も狙ったと思うんですけど、シンデレラとの二重唱がメゾ・ソプラノ同士になってしまうのでちょっとコントラストが足りないかなと思いました。でも、歌ったクートさんはとっても良かったです。男っぷりも良くてこの人のズボン役もっと観たいっ。いや、女子の役も観たいっ。あっこの人、秋のマゼールさんとフィルハーモニアの大地の歌も歌うんだ。楽しみ〜。
そして最後にシンデレラのディドナートさん、流石でした。やっぱり歌がいいとオペラは楽しめますね。なんかおっとりした感じでマスネのクリーム系のシンデレラを上手く演じ歌っていました。最近、美人過ぎる○○とか流行ってましたが、この人、美人過ぎないのがいいです。マスネのシンデレラは性格的にはあまり好きになれないのだけど、この人が歌ったから良しとします(偉そう?)。
全然関係ないけど、振り付けのスコッジさん、絶対鼻眼鏡ですよねっ。
パステルカラーでカラフルなアグリー姉妹。歩きにくそうな服ですね
こわ〜い継母、ポドレシさん
早く病気治してください、ラフォントさん
オトコより男らしい、クートさん
まさにシンデレラ、ディドナートさん
massenet: cendrillon
joyce didonato (cendrillon), jean-philippe lafont (pandolfe),
ewa podleś (madame de la haltière), eglise gutiérrez (la fée),
madeleine pierard (noémie), kai rüütel (dorothée),
alice coote (le prince charmant), etc.
laurent pelly (dir)
bertrand de billy / oroh
今日は、お昼からマスネのオペラ、サンドリオン(シンデレラ)。12時半始まりという非常に中途半端な時間なので、桃を3つ食べて出かけました。あっちっちゃな平べったい桃ですよぉ。そんなに大食いじゃありません(ウソ)。
最近わたしの中ではマスネ度高いんです。何しろ、この間、バレエのマノンをたくさん観たばかりですからね。その前はウェルテル。それに去年はオペラのマノンも観ています。というわけで、1年前はタイスの瞑想曲くらいしか知らなかったわたしが、マスネづいています。今日はサンドリオン。あまり上演されないオペラみたいです。で、すでに観に行った方々のブログを見ると、歌手陣をはじめ演奏は良く、おおむね好評なものの音楽がだらけてる、という評。そしてわたしの感想は、まさにその通りでした。
お話はシンデレラ。シンデレラは、バレエやロッシーニのオペラで観たことがあるし、有名な童話だからあらすじはばっちり。バレエもロッシーニのオペラも喜劇仕立てで、すかっと明るい爽やかな感じ。ところがマスネはこれを粘っちゃうんですね。童話だから絵本にしたら6ペイジくらいのお話を、なんか大河小説を書くように重くねっとり。クリームてんこ盛りのいやんカロリー大丈夫?系のケーキのようです。マスネの音楽は叙情的な部分がマスネらしいお得意のところだから、自分の個性を生かしたとも言えるのだけど、童話ですからね〜。例えば、パーティーから帰ってきてルセット(シンデレラ)は、夢のような時に執着しすぎて、夢なんか見ない方がマシだったと、どんどん悲劇色を強めていって、死のうとするんですね。死ななかったものの一時気が触れてって、これは童話ベースにしては重すぎでしょう。それに、夢を見させてくれた妖精に八つ当たりするのは、そして、恋が叶うようになんて、妖精に対して要求多すぎ。自分で努力するのでもなく、教育的にもよろしくありません。わたしは、むしろ、4月になって(心和らぐ春になって)、友達が誘いに来ているのに自分の殻に閉じこもってないで、ほら、自分から窓を開けて外に行こうよって、両手をグーにして密かに応援しちゃった(もちろんシンデレラは外に行かなかったんだけど)。
夢は見た方がよっぽどステキだし、夢を見たなら、誰かに頼らないで自分で実現しなよって思っちゃう。それもこれも音楽がゆっくりと美しく流れているので変なことを考える余裕があるからでしょうか。バレエのマノンに使われていた曲もいくつかあって(バレエにマノンはオペラのマノンの音楽じゃなくて他の作品の音楽をいろいろ使っている)、バレエもちょっと思い出しました。
舞台はカラフルでとってもステキでした。もちろん喜劇的要素もちゃんとあって、アグリー姉妹(いえ、ちっともアグリーではないんですが)と継母がその役を買って出ていました。シンデレラとお父さんはまじめな悲劇系。もしくはお話上の役割を考えると、アグリー姉妹と継母が実生活系ポジ、シンデレラとお父さんが実生活系ネガ、シンデレラと王子が夢見る夢子ちゃん系、妖精がおせっかい系みたいな感じかな。実生活系と夢子ちゃん系は妖精が橋渡しするもののあまりにかけ離れているので現実感がありません(お伽話だから当たり前な気もするけど、なんかお伽話を見ている感じじゃないのよね)。パステルカラーの軽やかな奇抜な衣装や明るい舞台がステキなのに、ところどころべったりした音楽がそれを帳消しにしちゃうのが残念です。
と、後ろ向きなコメントばかり書いてきたけど、演奏はとっても良かったんですよ。ドゥ・ビリーさんのオーケストラはとっても良い音で歌っていたし、歌手の皆さんも粒ぞろいでうんと楽しめました。開演前に、劇場の人が出てきて、あっ誰か降板って客席一同そわそわしましたが、お父さん役のラフォントさんが腎結石なんだけど声は完璧なので歌いますって。会場ほっと大喜び。わたしは、途中石が降りてきたら大丈夫かなって心配だったけど、最後までちゃんと歌ってくれました。それもすごくステキにね。最高のお父さんでした。
それに対して、継母のポドレシさんは、強くて恐くてコミカルな役をそのままの通り歌って舞台を引き締めていました。声も強力だし、喜劇的な役所って舞台にはとっても大事だと思うのだけど、そのまま大阪のおばちゃんという感じ(実は笑顔のきれいな人)で上手かったです。この人、シリアスな役を歌っても凄そう。
若手を起用した継姉妹も奇抜な衣装とともに楽しめました。妖精のグティエレスさんは、コロラトゥーラの高い声は上手く出していたもののちょっと線が細いかな。難しい歌を歌っていたので拍手は多かったですけど。
王子様役はズボン役です。初めに出てきたとき、あっ男だよね、と思ったら女性の声で、多分そういうことを作曲者も狙ったと思うんですけど、シンデレラとの二重唱がメゾ・ソプラノ同士になってしまうのでちょっとコントラストが足りないかなと思いました。でも、歌ったクートさんはとっても良かったです。男っぷりも良くてこの人のズボン役もっと観たいっ。いや、女子の役も観たいっ。あっこの人、秋のマゼールさんとフィルハーモニアの大地の歌も歌うんだ。楽しみ〜。
そして最後にシンデレラのディドナートさん、流石でした。やっぱり歌がいいとオペラは楽しめますね。なんかおっとりした感じでマスネのクリーム系のシンデレラを上手く演じ歌っていました。最近、美人過ぎる○○とか流行ってましたが、この人、美人過ぎないのがいいです。マスネのシンデレラは性格的にはあまり好きになれないのだけど、この人が歌ったから良しとします(偉そう?)。
全然関係ないけど、振り付けのスコッジさん、絶対鼻眼鏡ですよねっ。パステルカラーでカラフルなアグリー姉妹。歩きにくそうな服ですね

こわ〜い継母、ポドレシさん

早く病気治してください、ラフォントさん

オトコより男らしい、クートさん

まさにシンデレラ、ディドナートさん

by zerbinetta | 2011-07-16 04:15 | オペラ | Trackback(2) | Comments(0)
タイトル : ROH/ サンドリオン (マスネ)
ロイヤルオペラ今シーズンのラストプログラムはマスネの「サンドリオン(シンデレラ)」。きっと夏休みの家族向けも意識してのプログラムなのでしょう。私自身は、一昨年、「セビリアの理髪師」ロージナ役で、足を大怪我しながらも車椅子で出演し続けたジョイス・ディド......more
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