このオーケストラ好きっ   

08.08.2011 @royal albert hall

sibelius: symphony no. 6
grieg: piano concerto
nielsen: symphony no. 4 'inextinguishable'

alice sara ott (pf)
sakari oramo / royal stockholm philharmonic orchestra


シベ超というかシベリウスの交響曲第6番、超大スキなんです。そして、2台ティンパニの乱れ打ちが超かっこいいニールセンの交響曲第4番がカップリングされてるとあれば、誰でも聴きに行きますよねっ。というわけで、夜はロイヤル・アルバート・ホールに出かけてきました。巷では暴動が始まった日ですね。全然知らなかったけど。(警察の要請である地下鉄の駅が閉鎖されているというアナウンスはありました)

いきなり冒頭からシベリウス。大好きの始まりです。振り返ってみるとわたし、あまり北欧のオーケストラを生で聴いたことがないのでした。スウェーデンのオーケストラはずうっと前にも聴いたことがあるハズなのですが、それがどこのオーケストラだったのか覚えていなくて、ヤンソンスさんの指揮でクレーメルさんとのグラスのヴァイオリン協奏曲がやたらかっこよかったとか、マーラーの交響曲第1番でピッコロ最強とか、そんなことしか覚えていないのです。ってか調べてみたら、これ、オスロ・フィルハーモニーでした。お隣のノルウェーですね。スカンディナヴィア3国が分かっていないわたし。恥だけど、消すのめんどくさいのでそのままにしておこう。ニルスはどこを旅したんだっけ?

ベタなステレオタイプの感想だけど、このスウェーデンのオーケストラ、北の国の澄んだ空気のような音がします。ヴィブラート控えめで、響きがシンプルで清廉。指揮者のオラモさんが弱音を強調したせいか、ところどころ最弱音で音が枯れることがあったけど、鏡のような湖の面のような透明な音。まさにわたしの大好きなシベリウス。森と湖と星と夜の音楽。そこでは生命さえも不純物を含まない。わたしはこの曲を聴くと、銀河鉄道の夜を思い出すのだけど、確か作曲家の吉松隆さんも同じことをおっしゃってるのを目にしてびっくりしたことがある。あの物語の透明感がシベリウスの音楽に流れていると思うんです。ハープの音色がガラスみたいでこれにもびっくり。オーケストラ全体でシベリウスの音色を作っています。わたし自身も透明な炭酸水になってしまう感じ。

2曲目はグリーグのピアノ協奏曲。ピアニストは裸足のピアニスト、アリス・サラ・オットさん。実は、これ、とっても心配してたんですね〜。わたしが前に2回、彼女のピアノを聴いた感じでは、彼女、大きな協奏曲向きじゃない印象なんです。パワーが足りない。今日の会場は、響きはいいけど大きなロイヤル・アルバート・ホールだし、グリーグのピアノ協奏曲といえば出だしからピアノが大見得を切る音楽。CDではチャイコフスキーの協奏曲も出しているようだけど、実際に会場と録音で聴くのでは聞こえ方が違うし、どうなるんだろうと。そして、その心配は見事に当たっちゃいました。アリスさん、ずいぶんがんばって弾いていたんです。でも、音量はあっても音にパワーがない。特に左手の速い動きは消えてしまう。
アリスさんは、若いし、とても良い音楽を持ってる人だと思うんですよ。ただ、大きな音楽向きではない。協奏曲では、彼女の良さが消えちゃうと思うんです。小さなホールでのリサイタルや室内楽こそが彼女の持っている繊細な美を表現できるのではないでしょうか。CDセールスのことを考えないで、彼女のまわりの人が、彼女の音楽の方向をちゃんと考えて欲しいです。バックのオーケストラは相変わらず良い音出していました。オラモさんもなんと!協奏曲なのに暗譜(普段暗譜の指揮者でも協奏曲は楽譜を見る人が多いんです)。アンコールには、リストのラ・カンパネルラ。これも会場の大きさを意識し過ぎちゃっていたかもしれません。ああ、でもアリスさんのクリームがとろけるような笑顔、今日もステキでした。

休憩のあとはニールセンの交響曲「消し難きもの」。2台のティンパニの乱れ打ちがもうゾクゾクする一見派手やかな音楽だけど、オラモさんとオーケストラはストイックに演奏していました。わたし的には一番目立っていたのが、第2ヴァイオリンのトップの人。この人がパートをぐいぐい引っ張っていたので、音楽が立体的で面白くなっていました。このオーケストラ、実は超一流というにはまだまだという感じではあるのです。十分に上手いのだけどまだそこまでではない。中堅どころという感じ。でも、自分たちの音を良く知っていて、その特徴を生かして誠実に堅実に音楽しているという感じで、とっても好感が持てました。正直、このオーケストラ好きって思いました。指揮者のオラモさんの音楽の方向ともぴたりと一致しているし、今日演奏した北欧の音楽もまさに音楽がそのものであるようにとても気持ちよく聴けました。シベリウスもニールセンもとっても印象深い名演でした。

と、ふと気がついたのですが、今日演奏された3曲はどれもスカンディナヴィアの音楽だけど、自分たちの国、スウェーデンの音楽が入ってない!というようなことをオラモさんがおっしゃってアンコールにはアルフヴェーンの「山の王」から「羊飼いの娘の踊り」。スケルツォ風の音楽で、なんだかオーケストラの人たちも自分の家に帰ってきたかのように弾いていました。トリオの前に盛大な拍手が起こりましたが、わたしも終わったと思っちゃった。それもご愛敬。とっても良い音楽会でした。

アリスさんのとろけるような笑顔
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オラモさんとオーケストラ、指揮者の右手に見える頭の禿げた人がパワフル第2ヴァイオリンのリーダー
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by zerbinetta | 2011-08-08 20:33 | 海外オーケストラ | Comments(0)

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