東洋の真っ赤なルビー   

16.08.2011 @royal albert hall

copland: fanfare for the common man
bax: symphony no. 2
barber: adagio for strings
bartók: piano concerto no. 2
prokofiev: symphony no. 4

yuja wang (pf)
andrew litton / rpo


それにしても7時始まりで、終わったの10時過ぎの音楽会って。しかも休憩2回。オペラじゃないんだから。。。わたしは最近、軟弱者なので長くてコスト・パフォーマンスのいい音楽会より短くさくっと終わる音楽会が好きです。おなか空くし早く帰りた〜いって。でも今日は、大好きなユジャ(・ワンさん)だし、いつもにこにこ顔のアンドリューさんだからいいのです。って出てきた指揮者、別人? にこにこ顔のアンドリューさんじゃない! あれれ〜変更になったのかなってあわててプログラムを開けてみたら、アンドリュー・リットンさんだった。デイヴィスさんじゃない。アンドリュー違いでした。いつも間違えるのよね。で、気を取り直して。

始まりはコープランドの普通の市民のためのファンファーレから。交響曲第3番のイメジが強くて、おお違う違うと思いつつ聴いていたけど、やっぱかっこいいわ、このファンファーレ。ただ少し、オーケストラにすかっと抜けるパワーが不足しているように思えました。これは今日の音楽会を通じてずうっと感じたことです。
2番目は初めて聴く、珍しいバックスの交響曲第2番。マデトーヤみたいな北欧風の感じがしたので、北欧の作曲家なのかなって思って、休憩時間にプログラムを読んだら、イギリス、ロンドン生まれの作曲家でした。ふ〜む、この親近性、だからイギリスではシベリウスの音楽が受け入れられたのか、なんて思ってみたり。でも、本人はアイルランドに共感を感じていたみたいで、それは音楽から十分伝わってきました(って言うか、北欧とアイルランドの区別がついていないんですけど、冷たい空気感が一緒のような気がします)。ちなみに今飲んでるサイダーは、スウェーデンの梨のサイダーです。おいしい。って関係ないけど。それにしても、この作曲家女たらしなんですね。不倫とかして奥さん3人もいて。でも音楽は別物。清楚な感じのヒースの上を流れる風のような。そして音色の響きが吹奏楽的なところが多いんです。ちょっと不思議な感じでしたね。ここで休憩、その1。

第2部の始まりは、バーバーの弦楽合奏のためのアダージョ。悲しみを湛えた音楽。追悼曲というわけではないと思うけど、確かケネディ大統領のお葬式のとき使われたのよね。演奏も静かにしんみりと。でもわたし的にはもう少し力があってもいいと感じました。少し弱ってる感じ。
次はいよいよピアノ協奏曲。第2部の始まりからあったピアノの蓋が、会場からのうおぉぉというかけ声と共に開けられ(プロムスならではの習慣です)、リーダーが音合わせしようとラの鍵盤を叩くと会場からブラヴォーと拍手(これもまたプロムスの習慣です)。そして、大好きなユジャ登場。話題のミニスカートかなと期待もしたんだけど、真っ赤なロング・ドレス。東洋の真っ赤なルビー(?)。そしてユジャ、なんだかこんがり焼けてます。スイスの山で焼いてきたのかな。そうそう、ユジャの漢字表記、羽佳ってとってもきれいな名前ですね。実はピアノに関しては先日聴いたブニアティシヴィリさんの音が耳にまだこびり付いているのだけど、彼女のピアノを速さと重みを兼ね備えた馬のような走りだとすると、ユジャのそれは、速さに特化したチータのようなしなやかな、アスリートみたいな走り。まさに名前の通り羽が生えてるみたい。
初めて聴く曲だと思うけど、始まってびっくり。ラヴェルのト長調みたい。っていうか、ラヴェルとペトルーシュカを合わせて2で割った感じ。バルトークもこんな可愛らしい音楽書くのねってはじけた第1楽章。面白かったのは第2楽章のピアノとティンパニの対話。第3楽章では大太鼓(とティンパニ)との対話。ピアノの扱いが打楽器的で、噂によるとこの曲、ものすごい難曲らしいんだけど、ユジャが弾くとそうは聞こえないところが凄い。余裕で弾いちゃいます。ただユジャは譜面を観ながら。なので、手堅くまとめているというか、この音楽に対する突っこみがまだ足りないと感じました。特に第1楽章がおとなしくて物足りなかったです。第2楽章からは徐々にエンジンがかかってきた感じでしたが。オーケストラの方もなんだか消極的に丸く収めようという感じで、もっと丁々発止のやりとりがあってもいいのではないかと思いました。やっぱり難しい曲なので怖いのでしょうかね。ユジャはきっと、弾き込んでいくことでもっともっと良くなっていくでしょう。またいつかユジャのピアノでこの曲を聴いてみたいです。できたら、今バルトークに取り組んでるサロネンさんとフィルハーモニアとかで。
アンコールを期待したのですが、お客さんは大きな拍手を送っていましたがアンコールはなし。ちょっと残念。

第3部はプロコフィエフの交響曲第4番。プロコフィエフの中ではゆるい音楽だと思うのだけど(シンデレラのシーンを彷彿させるような音楽が出てきます)、演奏もゆるかった。なんだかリズムが決まらないんですね。そうするとプロコフィエフの音楽がとたんにつまらなくなる。オーケストラのリズム感が悪いのか、リットンさんが縦の線をあまり気にしない人なのか、輪郭のはっきりしないぼんやりした音楽になってしまいました。わたし的にはちょっと残念な演奏でした。まあ、ユジャを聴けたから良しとしよっ。
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by zerbinetta | 2011-08-16 06:01 | ロイヤル・フィルハーモニック | Comments(2)

Commented by KawazuKiyoshi at 2011-10-01 17:02
実に楽しい記事です。
音楽以外の話しも。
音楽って素晴らしい。
今日もスマイル
Commented by zerbinetta at 2011-10-01 18:30
こんにちは。
はじめまして。
ステキな音楽と言葉で
いつもにこやかですね

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