ユロフスキさん、シャツアイロンかけた方がいいよ プロメテウス祭り w lpo   

24.09.2011 @royal festival hall

beethoven: the creatures of prometheus
matthias pintscher: mar'eh for violin and orchestra
liszt: prometheus
scriabin: prometheus, poem of fire

julia fischer (vn)
igor levit (pf)
vladimir jurowski / lp choir, lpo


快調に飛ばしていくロンドン・フィル。今日はプロメテウス祭り。またまたマニアックなプログラミングです。でも、アバドさんもベルリンでやらなかったっけ?もちろん曲目は違うでしょうが。

わたし的に嬉しいのは、ベートーヴェンの「プロメテウスの創造物」(抜粋)が聴けること。全曲は聴いたことないけど結構好きなんです。特に最後は英雄の主題が出てきて嬉しくなっちゃう(この音楽を後にベートーヴェン自身が英雄交響曲の最終楽章の主題に転用したんですね)。それにしてもこの曲、バレエの音楽だったのですね。知らなかったぁ。あの苦虫をかみつぶしたような顔のベートーヴェンがバレエの音楽を書いてるなんて意外。そしてこの曲を苦虫をかみつぶしたようなユロフスキさん(ときどきにやりと笑うんですけどちょっと不気味)がとってもステキに演奏してくれました。やっぱりユロフスキさんの古典はいいなぁ。ピリオド系の演奏もしっかり勉強してらっしゃるけど(ハイドンではしっかりピリオド系のアプローチ)、それにとらわれすぎることなく、現代楽器の美質もしっかり踏まえてる。まあ、今更、ピリオドだのモダンだのとぴったり区別を付けることはないんですけどね。ユロフスキさんのアプローチは現代のひとつの指針になるのではないでしょうか。今日のベートーヴェンも溌剌として音楽が活きて踊ってるし、決して苦虫をかみつぶしてないんですね。オーケストラもフルートのマーティンさんを筆頭に大活躍の管楽器のソロがみんな上手かったです。

2曲目はドイツの作曲家マティアス・ピンシャーさんのヴァイオリン協奏曲。ルツェルン音楽祭、フランクフルト・オペラ、ロンドン・フィルの委嘱作品です。イギリス初演。これは、プロメテウスのタイトルがついてないけど、聴いてておやっと思いました。ノーノの「プロメテウス」に似てるんです。プログラム・ノートを読んでみると、ノーノの想い出に書いているのですね。ヴァイオリニストは、ユリア・フィッシャーさん。彼女の持ち味の芯のしっかり通った力強い美音で弾いていました。でも、実はなんだかよく分からなかったんですね。ずうっと同じようなテンポで、同じような感じで続くとちょっと退屈してしまう。ノーノの曲も同じような感じだったと記憶しているけど、あちらは音楽の求心力が高くて飽きずに聴けたんですけどね〜。

休憩のあとは、リストの交響詩第5番「プロメテウス」。あまり演奏されない曲みたいでわたしも初めて聴きました。ところどころステキな部分は聴かれるけど、なんだか焦点の定まらない感じで、演奏機会が少ないのも分かる気がしました。でも、演奏は良かったんですけどね。

最後のスクリャービンの「炎の詩」はとっても楽しみにしていたんです。だってスクリャービン好き。この曲も滅多に演奏されませんから。そして今日は、色彩効果付き。スクリャービンは音を聞くと色が見えたそうで(先天的にそういう人がいるのです。音楽家で有名なのはメシアンやグリモーさん)、この曲は、色光ピアノ(照明をピアノの鍵盤で操作するそう)を使うように書かれてるそうですが、今日は、会場の照明を使って光の効果。なので演奏者の人たちはみんな白シャツ。そしてステージの上にはスクリーン。ライトニング・デザイナーはルーシー・カーターさんです。
ユロフスキさんが出てくるともちろん白シャツ。ううん、シャツには折りたたみの跡が。。。ちゃんと吊しておくか、アイロンをかけないとね。そんなところが母性本能をくすぐります(ウソ)。それにしてもがんがん鳴らしてましたね〜。音のシャワーが気持ちよいくらい。ユロフスキさん、前半のベートーヴェンのさくさくした歯触りの音楽作りから一転して、ものすごくねっとり。ウワバミがのたうつように、音楽が蛇行しながら進みます。でも、音が停滞しないので流れる勢いがあって、その勢いに乗って、どちらかというと難解でつかみ所のないこの曲を、どうだとばかり聴かせてしまう力わざ。光の色がカラフルに切り替わる効果も合わせて珍しい音楽を楽しめました。ユロフスキさんには交響曲第3番も演奏して欲しいな。わたしが一番好きなスクリャービンなので。で、ついでに、プログラムは前半にパルシファルの前奏曲と聖金曜日の音楽、後半が交響曲第3番で。オーケストラの編成は違うけど、ドビュッシーの「神聖な舞曲と世俗な舞曲」を挟んでもいいなぁ。
ユロフスキさんとロンドン・フィル、今日も快調で、これからがますます楽しみです。
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by zerbinetta | 2011-09-24 19:53 | ロンドン・フィルハーモニック | Comments(0)

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