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エマールさんといったらビールよね ブーレーズ漬け その1   

02.10.2011 @queen elizabeth hall

boulez: notations I-XII, piano sonata no. 1, no. 2

boulez: piano sonata no. 3, incises for piano, une page d'éphéméride for piano

boulez: structures bk.2 for 2 pianos

pierre-laurent aimard
tamara stefanovich


日曜日、お昼から半日、ブーレーズさん漬けです。サウスバンク・センターでのブーレーズさんの特集。3日にわたって音楽会が催されるんだけど、わたしはその最終日だけに行ってきました。だけとは言っても12時からピアノの音楽会が3つ。そして最後に、ブーレーズさん自らが指揮をして、「プリ・スロン・プリ」。好きとは言っても結構大変。ちょっと後悔してた。

最初のは12時始まりなのでお昼も食べずに出かける。お天気の良い日。10月なのにぽかぽか陽気。サウスバンク・センターに着くと裏の広場にテントたち。週末にときどき開催されてる食べ物フェアです。ときどき見るので気になってたんだけど、いつも時間がなくて素通りだったんだよね。ラッキー♡

午後の3回のピアノのリサイタルは、クイーン・エリザベス・ホールで。ピアノは、現代音楽といったらすでに大御所感もあるエマールさんとタマラ・ステファノヴィッチさん。ほんわかと少しふっくらした可愛らしい方。エマールさんのお弟子さんでもあるんですね。最初のプログラムは「ノタシオン」、ピアノ・ソナタ第1番、第2番です。始まりから傑作、ソナタ第2番が。
でも、これは、年代順に配列した結果なんです。音楽会では演奏に先立って、エマールさんが、ところどころ弾きながら楽曲を解説。ブーレーズさんはもはや古典になってきたとはいえ、まだまだとっつきにくい音楽。この解説は嬉しいです。
始まりの「ノタシオン」。これが作曲家19歳の時の作品とは思えない! 信じられないほどの完成度の高さ。いろんな音楽の初演を聴いてきましたが、もしも目の前でこの曲が初演されたら、しかも19歳の作品と知ったら、天才の誕生にわたしは狂喜乱舞しちゃうでしょう。やっぱブーレーズさんは天才です。指揮なんてあんまりしないでもっと作曲に専念して欲しかった。

とか言いつつ、わたし、ブーレーズさんの作品は大好きだけど、よくは分からないのです。音楽がとてもきれいに響くので、ぼんやり聴いているのが好き。そんな感じで聴き進めたので、実は、誰がどの曲を弾いたのか忘れてしまいました。「ノタシオン」はエマールさんだったんですけど、ソナタはタマラさん? ううむ。ソナタ第1番は短い作品だったけど、有名な第2番は、大きな充実した作品。「ノタシオン」にあった分かりやすさは影を潜めて、難しくなってるんだけど、それ以上に音楽の真の力強さを感じます。

ここで1回目の音楽会が終了。おなかも空いたし、2回目の音楽会まで時間があるので、お昼ご飯。もちろん、テントを物色して、ポーランドのソーセージのホットドッグとポーランドのビールにしてみました。暖かなビール日和です。夏って感じ。その辺に腰を下ろして、ひなたぼっこしながら食べるご飯はピクニック気分で楽しかったです。ポーランドのソーセージ、ぱりんとしておいしかったし。でも、ビール、ハーフ・パイントでもう酔っぱらい。そういえば、前に、音楽会と職場のクリスマスランチが重なって、酔っぱらったまま音楽会に行って爆睡してしまったのを思い出した。あのときもエマールさんとアンサンブル・インテルコンテンポランだったな(エマールさんが出てきたのさえ全く覚えていないんですけど)。エマールさんとは何故か酔っぱらいの縁。

2回目は、ソナタ第3番と短い曲が2曲。タマラさんがソナタの第3番を弾いて、エマールさんが短い2曲。うわっ!わたし、酔っぱらってたのに覚えてるっ! それにしてもエマールさんがステキなのは当然として(彼はもうこういう音楽のスペシャリストですから。古典もステキなんですけど)、タマラさんもとっても良かったです。音が明晰で、輪郭がはっきりしているので、こういうような理知的に構成された音楽にぴったり。現代曲を弾き慣れてるというか、この人もスペシャリストなのかな。でも、モーツァルトとかも上手そう。
ソナタのあとはふたつの小さな作品をエマールさんが弾きました。「incises」はコンクールのために作られたトッカータ風の音楽。かたかたと音が楽しい。そしてもうひとつは子供のための作品。えっ!ブーレーズさんが優しいお父さんになってと一瞬思いましたが、聴いてみるとブーレーズさんらしい音楽。子供には難しすぎないかい?ああでも、今の子供なら中学生くらいになるとこんな曲も弾きたくなるのかな。思い返してみると、わたしも現代音楽よく聞いてたし。子供とと聞いてついうっかりちっちゃな子供を思い浮かべちゃったわたしの思い違いだな。

次の音楽会までは30分ほどだったので、テントを漁らず(って食べ物のことばかり)、ソファに座ってぼんやりしてました。そしてピアノの部最後は、ストラクチュール第2巻、タマラさんとエマールさんの2台のピアノです。いつものようにエマールさんの解説から始まって、2台のピアノだから、二人で弾かなきゃいけないのに、タマラさんがどこを弾いていいのか分からなくて落ちたり、でも、この曲、偶然性を導入してるのでそんなのもありかなと冗談を言ったり。
演奏はとっても良かったです。ふたつの球がぶつかって弾けてスピードを変えたり方向を変えたりするように、二人がぶつかり合って弾けるさまがとてもスリリングで。連動してるんだけど独立してる、音楽をリードしているのはエマールさんだけど、キューを出すだけで球はそれぞれの思いのままに。

そうそう、エマールさんには譜めくりの人がついたんだけど、タマラさんにはなし。タマラさんは自分で譜面をめくったんだけど、これがもう素晴らしいテクニック。早業。こんなに見事に譜面をめくる人、初めて見たわ〜。
正直、ちゃんとは分かってないし、聞き取れてはいないんだけど、素直に楽しめる、やっぱりブーレーズさん好き♡って思える音楽会でした。

by zerbinetta | 2011-10-02 07:52 | 室内楽・リサイタル

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