お元気そうで何より ブーレーズ漬け その2   

02.10.2011 @royal festival hall

boulez: pli selon pli

barbara hannigan (sp)
boulez / ensemble intercontemporain, lucerne festival academy ensemble

3日にわたったサウスバンク・センターでのブーレーズさん特集(わたしは今日だけですけど)、ついに千秋楽です。でもその前に腹ごしらえ。友達と合流してまたもテントを物色。食べ物とビール(懲りずに)を買って、テムズ川を眺めながらピクニック。ますます酔っぱらいに磨きがかかります。よれよれになりながら会場に到着。今日は寝ないようにがんばらなくっちゃ。

まず何よりも嬉しかったのはブーレーズさんがお元気そうだったこと。もう86歳なんですね〜。わたしは、彼には永遠の若者でいて欲しいんですよ〜。うわさに聞くアグレッシヴな戦士ですから。シェーンベルクを殺したり、オペラ座を爆破したりする人ですから。もちろん彼の音楽は今や前衛ではないんだけど、でもやっぱりある時代を前衛で走り通した人にはある種の憧れがあるんです。来年には、ロンドン・シンフォニーへの客演もあるし、まだまだ元気でいて欲しい。っていうか86歳にびっくり。見えない。。。

プリ・スロン・プリは、マラルメの詩に霊感を得て書かれた曲です。当初は偶然性を持っていたそうですが、改訂するたびに確定していったそうです。自分の音楽を偶然に任すのは嫌だったんですね。というようなことは実は聴いても分からないので、(前にケージの偶然性を備えた音楽を体現するために(?)同じ曲を2回続けて聴いたことがあったんですが)、そんなことでもなければ、普通はどこが違うのか気がつきません。見方を変えれば、ベートーヴェンの音楽だって演奏者が違えばずいぶん違ったものになるし、楽譜が実際に聞こえる音の記録でない以上、作曲から演奏までの間には偶然性がつきものです。それをどの程度まで広げるか、もしくはそこにどんな思想を盛り込むかの問題で、聴く方にとっては正直聞き取れないのかもしれませんね。

そんなこんなで実はわたしもよく分からない音楽なんですが、分からなくても好きっ♥ こう、ほんわか聴いてられるんですね(なんて言ったらブーレーズさんにしかられそうですが)。でも音楽にはとっても力があるし、何よりも美しいんです。メロディとかないし口ずさめないけど、聴いていて心地良いのです。そして歌の扱いが、これまたいわゆる「歌う」ということになってないんだけど、とっても理にかなってるというか、上手い。もしかして、フランスにはドビュッシー以来のしゃべるような歌という伝統があって、歌う歌じゃない声の扱いに長けているのかもしれないけど、現代の一流半の作曲家がオペラの歌をときどき調性付きで書いて誤魔化すようなことをせずに、きちんと声としての音楽がなされていることが、歌う人にとっても歌い甲斐がありそうですね。オペラ座を破壊しちゃった(それでテロリスト指名されちゃったんだっけ?)人ですから、オペラを書く気は毛頭なかったんでしょうけど、オペラを書いて欲しかったな。

演奏はとっても素晴らしかったです。ブーレーズさんの指揮は相変わらず子拍子取るだけの簡素なものでしたが、そこから生まれ出てくる音楽は色彩があって、生き生きしてる。どこに魔法が隠されているのでしょうか?ブーレーズさんに睨まれちゃうと、正しい音程で正しいリズムで音が出ちゃうのかしら。
そして、アンサンブル・アンテルコンテンポランとルツェルン祝祭アカデミーのアンサンブルの合同オーケストラが上手い上手い。アンサンブル・アンテルコンテンポランってソリスト集団だからひとりひとりがめちゃ上手いし、なんたって現代音楽専門だから、一流のオーケストラがモーツァルトやベートーヴェンを弾くように自然にブーレーズさんを弾いちゃう。分からないで取り敢えず楽譜通りに演奏しましたというダメダメな演奏では全くなくて、明らかに素晴らしい音楽に素晴らしい演奏。歌手のバーバラ・ヘンニガンさんもプロフィールを読むと、現代音楽の分野で大活躍している方。どうりで。

今日は、音楽会が始まるまで1日中ブーレーズさんで大丈夫かしらと戦々恐々としていたけど、終わってみればおいしいご飯も食べられたし、ビールで酔っぱらったし、何よりもステキな音楽でとっても充実した1日になりました。ブーレーズさんお元気で!
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by zerbinetta | 2011-10-02 23:43 | 海外オーケストラ | Comments(0)

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