愛の暴力的なセックス ロバートソン、BBC交響楽団 「トゥランガリーラ交響曲」   

05.11.2011 @barbican hall

stravinsky: symphony of psalms
messiaen: turangalila symphony

cynthia millar (om), nicolas hodges (pf)
david robertson / bbcsc, bbcso


もちろん!メシアン大好きなので、メシアンがかかればほいほいと聴きに行っちゃうわたしです。トゥランガリーラはロンドンでは2度目。会場に着いて席を探していたら、会場の係の方がするすると寄ってきて、「今日のプログラムの曲はとっても大音量で、ここスピーカーの前だから」云々と、後ろの方の席のチケットに「もし良かったら」と言って換えてくれました。替わった席の方が良い席なのでラッキー。見てたら、前の方に座る人みんなに声をかけていました。それでもそのまま座る強者もいて。まあスピーカーの真ん前からは動いたけど。そして前の人には多分、わたしはもらっていないので確かなことは言えないけど、耳栓配ってた。打楽器や金管楽器の目の前の演奏者が耳栓することはあるけどね、お客さんには初めて見た。

最初は詩篇交響曲。この曲はうるさくないです。合唱とオーケストラは管楽器は多いけど、ヴァイオリンとヴィオラが入りません。この曲聴くの3回目なんですが良い曲なんですよ〜。今日は合唱も上手かったし、ロバートソンさんの演奏はちょっととんがってるところもあって、結構現代的な響きに聞こえるのね。ゲルギーのときは、ロンドン・シンフォニーの音の柔らかさと相まって意外とソフトタッチだったのに対して今日は少し鋭角的でした。でもやっぱり、この曲にはじんわりと感動。

そして休憩のあとは大好きな大好きなトゥランガリーラ。はちゃめちゃな愛の歌。現代曲得意のロバートソンさん、いったいどんな演奏になるんでしょう。ピアノは、ホッジスさん、オンド・マルトノにはミラーさんです。ミラーさんは何回も聴いたことがありますが(わたしが聴いたトゥランガリーラの半分以上はミラーさんが弾いてたり)、ホッジスさんは初めてです。なんだか学者のような風貌。
始まってびっくり。以外と速いテンポ。元気良く飛び出すピアノ。こんなテンポでピアノ弾き通すんだ。そして、オンド・マルトノのグリッサンドで引き出される、トロンボーンを中心にした金管楽器の主題、確か彫像主題と言うんですよね?、音の長さが4分音符感覚で速い。わたしの好みは、もうちょっとゆっくり伸ばして欲しいんですけど、ロバートソンさんと多分、ピアノのホッジスさんの意向も入っているんだと思う、の演奏はとにかく元気、速め、そして凶暴。息を継ぐまもなく次から次と音楽が溢れてくる。しかもこの曲、メシアンがこれでもかと言うほど音符を詰めてるし、もう超高密度。正直言うと、例えばわたしはもうちょっと柔らかな演奏、例えば、ペルソナージュ・リトミックがきれいに聴き取れる演奏、きらきらと万華鏡を見るようにきれいな演奏、が好きなんだけど、だから、完全にわたしの好みを離れてる。せっかちすぎない?と最初もたもたとついていけなかったのに、なんだか無理矢理引き倒されてしまった。

トゥランガリーラは愛の歌。愛の音楽。深いカトリックの信仰を持つメシアンのことだから、この愛は神の愛、と言いたいところだけど、わたしには絶対もっとどろどろした根源的な愛に感じる。この曲、トリスタン3部作のひとつだし、ワグナーの「トリスタンとイゾルデ」の主題が引用されていることから、官能的な愛の音楽であることには間違いないと思う。愛って全部含むよね。もちろんセックスも。愛のないセックスは嫌だけどセックスのない愛もなんだか片端(ここで言葉遣いについて議論する気はないのですが、この言葉が使いづらいことは知っています)。そしてメシアンのこの音楽は片っ端から愛の全てを詰め込んだ音楽なのです。
そして、ロバートソンさんとホッジスさんのトゥランガリーラは強引にわたしを組み敷いてぐいぐいと入ってくる。もう助けて〜と言いたくなるくらい凶暴なセックス。体が火照り濡れてくる。体全体で味わう根源的な生と性。優しいセックスもステキだけど、たまには暴力的なセックスも燃え上がるものがある。原始の叫び。生命の歓喜。全力疾走したかのように汗みどろになり、どっぶりと虚脱する。そして柔らかな光の中、微睡みの世界へ。人造的な水晶の世界。鳥の声も様式化してる。メシアンは現実の世界よりもイディアの世界を作ったんじゃないかしら。
一眠りしたら、またまた激しい愛の世界へ。ロバートソンさんは、最後まで体育会系の音楽。そして、フィナーレの大爆発(音量的にではなく音楽の重さ的に)。わたし、この曲フィナーレって、第5曲の「星たちの血の喜び」に比べて弱いと思ってたけど、今日の演奏はまさにこのフィナーレに頂点があったの。最後に持てる力を振り絞って、大喜びのビッグバン。光りの粒が生まれたばかりの宇宙空間を飛び交うように運動性を持った音たちが飛び交っている。最高のカタルシス。

オンド・マルトノのことを書いてないけど、今日のミラーさんの演奏は控えめで、オーケストラの中にとけ込んでいました。スピーカーの前から人を退避させたのに、ちょっと意外。聞こえづらい音もあったのでもう少し前に出ても良かったかな。それにしても、ピアノのホッジスさん、プロフィールを見ると、現代音楽を専門的に弾いてらっしゃるみたいだけど、学者か大学の先生の風貌なのに、スポーティーで体育会系のピアニズム。速いテンポできらきらと弾くメシアンはちょっと新鮮。BBCシンフォニーは、重めの音なので、こういう運動量の大きい曲ではエネルギーもハンパじゃない。
うう〜ぐったりしたよ〜。まあ昼間はマノン見たしね。濃厚な1日でした。

大きなオーケストラ
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ホッジスさん、ロバートソンさん、ミラーさん
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by zerbinetta | 2011-11-05 19:07 | BBCシンフォニー | Comments(0)

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