評する言葉が見つからなかった カティア・ブニアティシヴィリ リサイタル   

06.12.2011 @wigmore hall

js bach/liszt: prelude and fugue in A minor BWV 543
liszt: liebersträume
schubert/liszt: 3 lieder
chopin: ballade no. 4
chopin: sonata no. 2
prokofiev: sonata no. 7

khatia buniatishvili (pf)


世の中クリスマスが近いんですね〜。今日はウィグモア・ホールに行く途中にオックスフォード・サーカスによってみました。オックスフォード通りとリージェント通りの交差点です。どちらの通りもクリスマスのイルミネイションでキラキラ。ロンドンに住んで3年、初めてここのクリスマスイルミネイションを見ました(って遅すぎ?)。ロンドンのイルミネイションって変わってるんですよ。リージェント通りが蜘蛛の巣(サラグモ系?)で、オックスフォード通りの方は、傘やイトマキヒトデ。もうちょっとクリスマスっぽいもみの木やサンタさんとトナカイとかにすればいいのにって思っちゃう。何か謂われがあるんですかね。

と寄り道をしつつ、ウィグモア・ホール。このホール、わたしにはピアノは響き過ぎちゃうと感じるのだけどどうでしょう? 席数は少ないけどバルコニーの方が良い音で聞こえるように思えます。
ブニアティシヴィリさんは、BBCの若手音楽家スキームに入っているので今年来年とロンドンで公演が多いのです。これから伸して来るであろう若手ピアニストのひとり、せっかくのこの機会になるべく聴いておこうと思ってます。今日はリスト(の編曲も含む)とショパン、そしてこの間のランチ・タイム・コンサートでも弾いたプロコフィエフのソナタ第7番。

会場が暗くなってランプの灯りになると、最初はバッハのプレリュードとフーガ。オルガンのための曲をリストがピアノ用に編曲したのでしょうか。会場のランプ、電球の寿命が来ているのかゆらゆらと明るくなったり暗くなったりして、これがかえって暖炉の炎を見ているようでムードあり。ちらちらする光りは眠気を誘うのが玉に瑕ですけどね。そんなロマンティックな雰囲気にぴったりのバッハ/リスト。リストはバッハの音楽をロマンティックなものと見ていたのが分かるような編曲と演奏。でもそれがいいんです。正しいバッハを聴きたいのではないのですから。リストのバッハはリストのバッハ。それは間違いでもなんでもないですよね。

2曲目は「愛の夢」。この辺から記憶がごっちゃになってきます。わたし、ピアノの音楽には疎くて、リストやショパンの小品を1曲1曲ちゃんと識別できないのです。なのでどう書いていいのやら。ブニアティシヴィリさんのピアノ、わたしにはそれらの小品に対してちょっと重いのではないかと思いました。大曲に立ち向かうように弾いてるみたいな。それぞれの曲の合間にそれほど間隔をあけずに弾いていたせいもあるのかしら。

休憩のあとは、ショパンのソナタ第2番。有名な葬送行進曲付きのです。この曲はCDでわりと聴いているのだけど、なんだかよく分からなくなってしまいました。正直言って、評する言葉が見つからない。演奏は集中して凄かったと思います。左手の打ち込みも激しかったし、自在にテンポを変えていたり、でも、なんだか少し粗いようにも思えました。例えばクレッシェンドやデクレッシェンドで全体には、ちゃんとそうなるのだけど、段階的な音量の変化には凹凸があるとか、荒ぶる音楽に演奏者自身が呑み込まれてしまっているようにも感じました。第2楽章や第3楽章に出てくる叙情的な部分もあっさりと先へ進んでしまったような感じで、なんだか気持ちの置き所が見つからない。もちろん最後なんかはよく分からないまま音楽を閉じるんですが、それでも何かきっかけを与えてくれればいいのにと思うけど、不安な風が吹いたまま曲が終わりました。ちょっと墓場に立たされて置いてきぼりを喰らった感じ。わたしは幽霊を信じないので怖くはないのだけど、空虚な感じです。

最後のプロコフィエフのソナタ第7番は、手放しで良い演奏。今の彼女は、こういう曲が合っているんだと思います。がしがしとメカニカルに弾ける曲。あえて感情を抜いて純粋に打鍵で音楽を作ってしまえる曲。彼女の音は絶妙にコントロールされているし、鋭い打楽器的な扱いもゆるむことなく打ち込んでくるので聴いていて清々しいの。プロコフィエフの他の曲や、スクリャービンのソナタ、メシアンや、ちょっと毛色は違うけど「展覧会の絵」なんかも聴いてみたくなりました。
アンコールには、わたしの知らない曲だけれどもラフマニノフ風の短い曲が弾かれました。でも、今日の音楽会は、バッハとプロコフィエフだな。最初と最後が圧倒的によかったです。

ひとつ気になったのがピアノの調律。ときどきビーンと弾ける音が残ったり、なんだか上手くいってないように聞こえました。もしかすると、弾いてる間に調律が緩んじゃうのかも知れませんが。それほどの打鍵で弾いてました。
ブニアティシヴィリさんの次は確かプロコフィエフの協奏曲。まさに彼女向きだから楽しみ。ブニアティシヴィリさんはアリス=サラさんとは対照的に大きな音楽向きですね。ブゾーニやバルトークの協奏曲なんかも聴いてみたいな。
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by zerbinetta | 2011-12-06 08:32 | 室内楽・リサイタル | Comments(0)

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