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バレエと音楽   

「くるみ割り人形」組曲というのが入ったCDが家にあったので聴いてみた。今でこそ、わたしはバレエを観に行く人になったのだけど、ずいぶん前にこのCDを買った頃にはわたしは単なるクラヲタで、音楽を聴くことにしか興味がなかったんです。その当時、かれこれ15年くらい前なかぁ、はバレエの音楽のCDと言ったら、全曲ではなくてハイライトか組曲がメイン(だったと思います)。つなぎの音楽まで入れると長くなって退屈になっちゃうから(かな?)。久しぶりに聴いてみると、とおっても立派(アバドさんとシカゴ・シンフォニーの演奏)。こんな演奏でバレエを観てみたいと思っちゃう。劇場では残念ながら、音楽が等閑になってること多いからねぇ。舞台上では超一流の感動的な踊りが踊られてるのに舞台下のオーケストラがぷかぷかといい加減に吹いてるとかよくあるし。ロイヤル・オペラ・ハウスのオーケストラはバレエのときは見違えるほどに下手だったりするからね(特にトランペットは呪(以下自粛))。一部の踊りだけファンの人たちは、音楽だけの部分ではおしゃべりしてたり、酷い人になると自分のお目当てのダンサーじゃないときはおしゃべりしてたりとお客さんのマナーもどうかと思うことがあるので、オーケストラも真面目にやってられないって気持ちになるのかも知れないけど。でも、チャイコフスキーやストラヴィンスキーなんかの作曲家は真剣にバレエの音楽を書いてるんですけどね〜。敬愛心が足りない?
この「くるみ割り人形」組曲、序曲があって、性格舞曲が続くんですけど、どういう訳か(チャイコフスキー自身が編んだものだけど)金平糖の精の踊りが3曲目に入って、花のワルツで華々しく曲を閉じるんですね。わたしはこれに慣れていたので、最初にCDで全曲版を聴いたとき、せっかく華々しく終わったのに、また音楽が始まってびっくりしました。付け足さなければいいのになんても思っちゃったりもして。
でも、ロイヤル・バレエのライト版のバレエは、花のワルツのあとの、まさに、付け足しの部分に踊りのクライマックスを置いてるんですね。ここでやっと一番の踊りの見せ場があってプリンシパルの人が踊るという。チャイコフスキーの音楽も実はそうなってるんですね。音だけしか聞いてなかったときは付け足しだと思っていたのに、バレエを観ちゃうと、もうここが必要不可欠のクライマックスになっちゃうんですね。バレエを見慣れてしまうと、今度は組曲版が物足りなくなって。音楽がバレエのシーンと連結してるので全部なければ嫌なんです。せめて、抜粋でも物語を追えるように。アバドさんの「ロミオとジュリエット」(抜粋)は、ものすご〜く美しい名演だけど、プロコフィエフの編んだ組曲版を下地に話のポイントとなる部分の音楽を足してるので、物語がちゃんと追えないのが(音楽の順番が変わったりして)ちょっと残念。とっても好きな演奏なんですけどね。

by zerbinetta | 2012-01-03 20:59 | 随想

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