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不気味な天気 プロコフィエフ 国民的作曲家?第2夜 ユロフスキ、ロンドン・フィル   

18.01.2012 @royal festival hall

prokofiev: symphonic songs; piano concerto no. 5; symphony no. 6

steven osborne (pf)
vladimir jurowski / lpo

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ロイヤル・バレエも「ロミオとジュリエット」が始まったのでプロコフィエフ漬けです。ロンドン・フィルの特集、「プロコフィエフ、国民的作曲家?」が始まりました。ロンドン・フィルが中心になってプロコフィエフの作品を採り上げる企画です。今日は第2夜。わたしはここから参加です。

プロコフィエフは大好きな作曲家のひとりです。何を隠そう、わたしのクラヲタ道は小学生の時に聴いた「ピーターとオオカミ」に端を発してるんです。だからプロコフィエフはわたしの恩人(?)。それがいいのか悪いのかはよく分からないけど。。。
プロコフィエフは、そんなにメジャーな作曲家じゃないけど、それにしても今日のユロフスキさん、相変わらずマニアック路線(何人かの指揮者がこのシリーズを分担します)。曲名さえ初めて聞く、「シンフォニック・ソング」とピアノ協奏曲は第5番、そして交響曲の第6番。

いや〜〜のっけからプロコ節満載。変な曲でしたよ。「シンフォニック・ソング」と言うからもっと軽やかにポップな感じと思ったのに、ねばねば重重。変な音のチューバが最初から大活躍だし。このどろりと重い感じ、カルピスの原液を飲むよう。というか甘くないので、飲んだことないけどバリウムを飲む感じなのかな。
プロコフィエフの変なところは、この間の「ロミオとジュリエット」もそうなんだけど、なんか変な音がぽつんぽつんと配置されてるところ。特にチューバ。なんだか調子外れのように聞こえる音があったり、何でここを金管楽器で盛大に塗り込める、みたいな感じがあったり、今日の交響曲第6番ではどうしてここでホルンだけクレッシェンドの繰り返し、とっかあったり。でもそれがプロコヲタにはたまらんのよね。一度この変な音快感にはまっちゃうと、変な音を聞きたいがためにプロコを聞いちゃうんです。人工的で、不調和的で、例えば、完璧な枯山水の石庭に信楽焼の狸を1個置いたみたいな違和感。でも足下がぐらりとしつつもなんだかはまってるようで。もしくはチューバなので、空にチューバとトルソと椅子が浮かんでるマグリットの絵のような。この絵は確か中学生の頃、美術の教科書で観て衝撃を受けたのよね。

ユロフスキさんのプロコフィエフは、変な音をちゃんと配して、大袈裟にやるところはきちんと大袈裟にやって、プロコフィエフの面白さを引き出していました。「シンフォニック・ソング」は曲が曲だけに、なんだかちょっとよく分からない部分もあったけど、交響曲第6番の方は素晴らしい演奏だったと思います。実は交響曲第6番ってCDは持っているのにあまり聴いたことがなくて、ちょっと中途半端でつまらない曲だなぁと思っていたんだけど、今日の演奏を聴いたら面白くって面白くって。始まりは、おや?プロコフィエフにしたらまともな感じって思ったのに、ティンパニがめちゃくちゃたたき出したり、突然俄然へなちょこになって、打楽器大活躍だし、めちゃいい曲じゃない。もしかしたら(まともな)交響曲第5番よりもいい!って思っちゃった。この曲を初めて聴いた友達もいい曲だって喜んでいたし、実は分かりづらいこの曲をユロフスキさんは分かりやすくまとめたんではないかって思います。

ピアノ協奏曲第5番も、全集のCDを持っているので持ってるハズなんだけどほとんど聴いたことのない曲。始まってびっくり。軽やかでジャジーでラヴェルみたい。まあそれは第1楽章だけなんですけどね。でもプロコフィエフにしては軽いタッチの音楽。ピアノはイギリス人の若手、オズボーンさん。キラキラした輪郭のはっきりした音色でとってもきれい。このピアノの音は好きだ。ものすごく難しそうだけど、軽やかに弾いていきます。音が泉のように湧き出てくるみたい。ただ、わたしの席がピアノの音が余りよく聞こえない席のせいかところどころピアノがオーケストラに埋没していました。ピアノを前面に出すという曲ではないのでいいのですが。

プロコフィエフはいいですね。変な音が聞きたくなったらプロコフィエフ。しばらくプロコ漬けは続きます。

by zerbinetta | 2012-01-18 10:30 | ロンドン・フィルハーモニック

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