人気ブログランキング | 話題のタグを見る

代役の代役は妻だった 「椿姫」 ロイヤル・オペラ   

20.01.2012 @royal opera house

verdi: la traviata

ailyn pérez (violetta), stephen costello (alfredo),
paolo gavanelli (giorgio), etc.

richard eyre (dir)
maurizio benini / ro chorus, oroh


2夜連続でオペラハウス。今日は久しぶりのオペラです。なんか最近オペラちっとも行かないなぁ。ロイヤル・オペラはだいたい1演目1回ずつは聴いてるんだけど。。。ロイヤル・オペラの椿姫を観るのは今日が2回目。一昨年観ています。今回は3、4キャストで演るのですが、たくましくなったと噂のネトレプコさんを観たいと思ってチケット取りました。それぞれのキャストに観たい人がいてずいぶん迷ったんですけどね。ネトレプコさんはわりと若い頃(彼女がぎりぎり20代の頃?)から観てきたので(まだ今みたいに大人気になる前にはワシントン・オペラにちょくちょく来てくれていたんですよ)、思い入れはあるのです。ってかやっぱり、この人とても上手い!好き!前回は「マノン」で歌いまくってくれましたしね。でもなんと、ネトレプコさん、足の手術のために降板になってしまったのです。ぐー残念。代役は、秋に修道女アンジェリカでステキな歌を聴かせてくれたヤホさんです。もともと、1月「椿姫」はネトレプコさんが歌う2回を除いて彼女が歌うことになっているんです。だから順当。と思ったら、会場に着いたらキャスト表に細いストリップが挟まっていて、なんと、ヤホさんも病気で降板、代役の代役はペレツさんでした。ペレツさんは秋にここでヴィオレッタを歌ってる若い人で、オペラリア出身。もしかしてドミンゴさんのお気に入りかしら。確か、ドミンゴ・ガラにも出てらしたような。幕が開く前にオペラ・ハウスの人が出てきて、このキャスト変更を伝えたんだけど、なんと、ペレツさんは、今日アルフレードを歌うコステロさんの奥さま(ところでいつも思うんだけど、こういうとき本格のフェミニストの人はなんて言葉を使うんだろう?パートナーでは夫婦関係は言い表せないし夫人とか妻も変だし、細君も変だよね?)。「椿姫」では初の夫婦共演だそうです。会場からは大きな拍手。(リサイタルとか他の演目ではときどき夫婦共演されてるみたいです)。

前置きが長くなってしまいましたが、「椿姫」、わたしにはso so というか普通のオペラだったんです。今日までは。実は気づきました。とってもステキな歌に満ちあふれていて、ステキなオペラだったこと。なんだか、全部の歌を自分が知っているのにびっくりしました。
代役の代役(たまたま夫についてロンドンに来ていらしたのですかね)のペレツさんは、まだ30そこそこという若手なのに、もう堂々とした歌いぶり。低音や息の切れ目にもう少し工夫が生まれるといいと思ったけど、高音はすうっと伸びていたし、この声わたし好き。将来がめちゃ楽しみな人です。笑顔がきれいでかわいらしくて美人。
夫くんのコステロさんはなんかちょっとぼんやりした風情の人。ぼーっとして何を考えてるか分からないというか、歌がなかったらあまり存在感なさそうな若者。世間知らずのアルフレードだからいいのかも知れないけど。でも、ペレツさんは惚れたんですよね。人は見かけによらないんでしょう。とかなんとか失礼なこと言ってる?わたし。オペラは演技が細かくないので、実際のパートナーが役上のパートナーを演じたとしても大きな違いはなさそうだけど、おふたりの歌は歌いやすそうでした。

親父ジェロモンはガヴァネッリさん。家に入ってきた瞬間やりっ!って秘かにガッツポーズ。これから失礼なことを書きますよ〜、ごめんなさい。この人がまあ、嫌な奴っぽくて共感できないというかそんな容姿で(役の上ですよ)、これなら思う存分憎めるって思ったの。親父ジェロモンって、正論を言いつつ結局自分目線でしか物事を考えられなくて、勝手に悲劇を生んで勝手に反省してる人だものね。あっ言っちゃった。まあ、時代背景を考えれば、親父ジェロモンの意見が正しいのかも知れないけど、それを言われちゃうとやりきれない。良家のひとり息子が高級キャバ嬢と結婚して家柄を傷つけるお話だもの。今でもそういうところあるでしょ。
こういう役なので例えば、ハンプソンさんとかホロストフスキーさん、この秋に歌ったキーリンサイドさんが歌っちゃうと、かっこよくて親父ジェロモンも実はいい奴なあんて心で思いこもうとしたりして、でもそういうのは変だから、やっぱりこの役は時代劇に出てくる悪代官みたいな徹底的に悪役っぽい人が歌うのがいいんです。ガヴァネッリさんはぴったり(失礼)。

あと、お医者さん役のロイドさんがバスのいい声で歌ってました。それから、ジェッテ・パーカー若手研修プログラムのキムさんが。声はまだ弱いんだけど、歌手というより学生さんというかパソコンいじってたりしそうな風貌で、そんな彼が、第2幕のフローラのサロンで歌も歌わず、ダンサーたちと盛り上げ要因になってはりきって演じている姿は妙にはまっていて可笑しかったです。実に楽しそう。コンパの盛り上げ係。

というわけで、歌手陣はとっても良かったです。
指揮はベニーニさん。この人が。。。緩急を強引に付けまくってる感じで、ところどころオーケストラや歌手と齟齬をきたす部分もあったりで、そこまでしなくてももう少し自然に流れればいいのにって思いました。とか言いつつ、やっぱ椿はいいなぁって楽しんだんですけどねっ。

コステロさん(ぼーっとした感じでしょ?)、ペレツさん、ベニーニさんとガヴァネッリさん
代役の代役は妻だった 「椿姫」 ロイヤル・オペラ_c0055376_525039.jpg
代役の代役は妻だった 「椿姫」 ロイヤル・オペラ_c0055376_532083.jpg

by zerbinetta | 2012-01-20 05:01 | オペラ

<< どんちゃん騒ぎのカタルシス 「... 目で語る タマアコ 「ロミオと... >>