バレエの演奏ってちょっと下手くその方がいいかも? プロコフィエフ第4夜 ユロフスキ、ロンドン・フィル
2012年 01月 25日
prokofiev: chout (excerpts); piano concerto no. 4; cinderella (excerpts)
leon fleisher (pf)
vladimir jurowski / lpo
ユロフスキさんのコダワリ見つけたっっ! それは指揮棒。もちろんゲルギーみたく楊枝を指揮棒にしちゃうとかじゃなくて。。。普段は指揮棒を使うんだけど、ゆっくりとした叙情的な部分になると、指揮棒を置いて素手で指揮する人多いですよね。ユロフスキさんは、指揮棒を置く代わりに指揮棒を持ち替えるのです!2種類の指揮棒で演奏するんです。。。が、同じようにしか見えない。。長さも変わらないし、色も同じ。多分持つ部分の形が少し違ってるんだと思うんですけど。なんだか不思議なコダワリ。見た目は変わらないのにそんなに違うんでしょうか。
と前置きはここまでにして、ユロフスキさんのプロコフィエフ・シリーズ第4夜。またひとつ飛ばしで聴きに行ってきました。
始まりは、プロコフィエフの最初のバレエ、「道化師」です。初めて聴きました。実は、プログラムにはロシア語のフランス語綴りのchoutの他に英語のbuffoonと出てたんですが、いかんせんbuffoonなんて単語を知らず。。。なのでどんなバレエか分からなかったので、音楽を聴きながら想像してみることにしました。んだけど、なんだかちっとも分かんない。お姫さまと王子さまが出てくるお話じゃないことは確かだけど。プロコフィエフらしく音楽がおどろおどろしくて一筋縄ではいかない。おもちゃの兵隊が生き返って、戦ったり恋したり怪獣が出てきたりして、でも夢だったみたいな感じ。最後は打楽器大音量で盛り上がってお終い。隣の人に「最後凄かったね」と耳打ちされたり。実際のバレエはどんなのかなぁ?想像できないからみてみたいような、バレエとしてはあまり面白くなさそうな。ってか踊りづらそう。
ピアノ協奏曲は第4番。またまた滅多に聴けない曲です。左手のための。戦争で右手を失ったピアニストのための作品。右手のための、という作品はないから戦争で左手を失ったピアニストはいないのですかね。もう聴くからに難しそう。わたしだったらずるして右手も使っちゃいそうな気がするけど(もちろん右手を使っても弾けません)、ピアニストのフレイシャーさんはずるすることもなく。今考えたんだけど、千手観音のための協奏曲なんてあったら、ピアノ2台の同時弾きでもまだ手が余る。
あっすみません。正直耳慣れない曲なのでよく分からなかったってのもあるけど、実はあまり覚えていません。聴いていたときの印象は、プロコフィエフも協奏曲第2番や第3番ばかりでなくこの曲ももっと演奏されればいいのになって思っていたのですけど。演奏はとても良かったと思います。フレイシャーさんは口をぱくぱくさせて歌いながら(声はわたしの席では聞こえなかったけど)、びしびしと弾いていました。左手でこんなにも弾けちゃうなんて凄いっ。あと右手がフリーなので譜めくりは簡単そうでした。
シンデレラは、バレエからの抜粋。バレエの順序どおりなので、省略は多々あるけど(2時間くらいの曲を半分にまとめてました)、バレエのシーンがよみがえってきました。演奏はめちゃくちゃ良くって、へ〜音楽はこんなことになってるのかってびっくりすることばかり。特に打楽器のヴィヴィッドな打ち込みは、ピットからは聞こえないものでした。音楽だけでも凄いというか、バレエのときの薄ぼんやりとした演奏はなんだったのか(あっ演奏している人たちは違いますけどっ)。バレエでもこんな演奏だったらいいなと思う反面、ただ、こんなにステキな音楽ならバレエを観ずに音に集中してしまうかも、とも思いました。バレエのときは舞台をじゃましないようにほどほどに下手くそな方がいいのかもなんて(ヤケクソ)。それにしてもプロコフィエフの書いた夜の12時の鐘は、この世が終わるような勢いですね。
ユロフスキさんとロンドン・フィル、なんかますます絶好調な感じだなぁ。
by zerbinetta | 2012-01-25 18:16 | ロンドン・フィルハーモニック