変わっていく瞬間 「囚人」 サロネン、フィルハーモニア   

26.01.2012 @royal festival hall

lauri vasar (the prisoner), paoletta marrocu (the mother),
peter hoare (the goaler), etc.

esa-pekka salonen / philharmonia voices, po


フィルハーモニアの音楽会は、the still point of the turning world のシリーズが始まりました。ts エリオットの「4つの四重奏」という詩を引用したシリーズ。らしいんですけど。。。副題が、music that defines an era で時代を象徴する音楽、とでも訳すのかなそんな感じの選曲? にしてはマニアックな感じがするけど。4人の指揮者による5つの音楽会が6月までに渡ってあります。採り上げられる曲は、「ドイツ・レクイエム」とかタコ13!!とか「戦争レクイエム」とか「復活」。今日はベートーヴェンの交響曲第5番とダッラピッコラの1幕もののオペラ「囚人」。

シリーズの意味は、眠くてプログラムを読む気にならないので(エリオットの詩がどんなものかも書いてなさそうだし)、今日はネットで拾ってきた、「4つの四重奏」の最初の部分の日本語訳をコピペして誤魔化しますね(乱暴、手抜き)。

現在であれ過去であれ 時間は
未来のうちにあるのだろう
そして未来は過去のなかにあって。
時間というものが必ずや存在するのなら
時という時は取り返しがつかないもの
そうであっただろう、というのは抽象で
あくまでも可能性にとどまるのは
思索の世界のなかでのこと
そうであっただろうと、そうだったの
示す終わりはただひとつ、それはつねに現在だ
足音が記憶のなかで響き渡る
わたしたちが通ったことのない通路を通り
いまだに開けたことのない扉に向かい
バラ園に出ては 私の言葉はそんなふうに
君の心にこだまする
だが何のために
鉢のバラの葉の塵まで乱さねばならないのか
私には分からない
ほかにもこだまが
この庭園には棲んでいる。 ついていってみようか?
いそいで、と小鳥が言う、見つけて、見つけて
その角を曲がって、最初の門をくぐって
初めての世界に入り込み、見え隠れするつぐみに
ついていってみようか。初めての世界に入るために

(城戸朱理さん訳)

音楽会はいきなりベートーヴェンの交響曲第5番から。サロネンさん大きく振りかぶって激しく始まりました。サロネンさんのベートーヴェンは正しく激しい系なんですね。主題の性格を対比させて、叙情的な方は結構レガートを効かせて。昨今流行りの古楽的な演奏とは一線を画していて潔い。かといってべたべたのロマンティックではなく、きちんと激しいベートーヴェン。そしてなにより、ティンパニ(あっまたそこか、って思わないでくださいね)。最初は、おっ今日のスミスさん控えめ?って思ったんですが、それもつかの間。主役の座をあっさり奪っていました。もうそうなるとわたしの耳はティンパニに釘付け。結構いろんなところにアクセントを付けてユニークに叩いていました。それにしても、ベートーヴェンってものすごくティンパニ叩かせてるんですね。スミスさんが主役と言うより、ベートーヴェンのティンパニ、テンション高すぎ。そして圧巻は、一番最後。最後のトレモロ(トリル?)、どろろんって最後の3つの音にアクセントを付けて見得を切るように終わって、うわわわわ〜って思っちゃいました。こんな風に叩く人初めて聴いた。サロネンさんも、カーテン・コールでオーボエとティンパニを立たせて、スミスさんのティンパニはサロネンさんのお墨付き?
シリーズ最後のマーラーの「復活」のティンパニが今から待ち遠しいです。

休憩のあとは、ダッラピッコラのオペラ「囚人」。全く知らない作曲家、知らない音楽。ってか、シーズンの案内を見てつい最近までずうっと、レオンカヴァッロノ「道化師」を演るんだとばかり思ってたの。変なプログラムだなぁって。だって、道化師はI Pagliacci、囚人はIl prigioniero。ほぼ一緒じゃん。
で、ダッラピッコラさん、ググってみると1904年生まれのイタリアの作曲家で(没年1975年)、イタリアで最初に12音技法を取り入れた人だって。セリエズムの作曲家で、「囚人」は代表作。
音楽は、ところどころメシアンを感じさせたり、「サロメ」「エレクトラ」のシュトラウスがその方向性のまま50年後に作曲したらこんな音楽になるかなって思わせる音楽。ウィキペディアによると、セリエズムを取り入れたおかげでメロディが書けるんだって。さすがオペラの国、イタリア。ちゃんと歌があってしっかりオペラです。ただ、わたしには言葉が分からないせいか(字幕は出ていましたが)、お話は単調だったような気がします。歌う役は3人で、囚人が主に歌っていたので、声の構成的にちょっとメリハリがなかった感じ。地味な舞台になりそうなので舞台を観るというより、音だけで音楽を聴いた方がいいかなって感じです。セミステージドの今日はその点で良かったかも。
演奏はとっても良かったです。サロネンさんやオーケストラの相性もベートーヴェンよりもこちらの方がいいような気がしましたし。囚人役のヴァサーさんも良く歌ってたし、それに何より、フィルハーモニア・ヴォイセスの合唱がびっくりするほど良かったんです。少人数なのに迫力のある音量で、モンテヴェルディ合唱団を聴いたときと同じような驚きでした。そして、今日はフィルハーモニアに!というものを感じました。なんか、今までのフィルハーモニアとは違うぞ、というようなちょっとした雰囲気ですが。今までわたしは、フィルハーモニアは上手いけど色のない魅力に乏しいオーケストラだったのです。それがなんだかやる気みたいのが出てきて。。。これからのフィルハーモニア、目が離せないかも。成長している時を見つめていくのは楽しいものです。
[PR]

by zerbinetta | 2012-01-26 09:33 | フィルハーモニア | Comments(0)

<< 映画の音楽 プロコフィエフ 国... バレエの演奏ってちょっと下手く... >>