英国の空気の中で ディーリアス生誕150年音楽会 アンドリュー・デイヴィス、フィルハーモニア   

29.01.2012 @royal festival hall

vaughan williams: the lark ascending
delius: cello concerto; brigg fair
elgar: enigma variations

zsolt-tihamér visontay (vn)
julian lloyd webber (vc)
sir andrew davis


150年前の今日、ディーリアスが生まれました。ということを今しがた知りました。ディーリアスはイギリスの国民的作曲家のひとり。とはいえ、めちゃマイナー。わたしが知ってるのは「村のロミオとジュリエット」と「春初めてのカッコウの声を聞いて」だけです。イギリスでもディーリアスがめちゃ人気っていうことは決してなく、やっぱりエルガーが人気なんですがね。ディーリアスの曲を音楽会で聴くのは今日が初めてです。オール英国ものでディーリアスのお誕生日音楽会。

最初は、フィルハーモニアのコンサートマスター(フィルハーモニアはロンドンのオーケストラでは唯一(?)、リーダーではなくコンサートマスターと言ってます)、ヴィソンタイさんを独奏に迎えてのヴォーン・ウィリアムスの「揚げひばり」。とても静かで透き通った音が心に染みわたるような演奏でした。フィルハーモニアのオーケストラも上手いけど、ヴィソンタイさんも線は細いけど凄く上手い。ソロを聴くのは初めてだけど(オーケストラの中でのソロは聴いたことありますけど)、こんな上手い人だったとは。やっぱり一流のオーケストラのコンサートマスターってほんと上手いです。ソリスト・レヴェル。
それにしても、わたしは、イギリスの牧歌的な田舎の風景の中に彷徨い出たよう。音楽は世界共通語とか時代を超えたものとか言われるけど、多分それは半分はウソ。作曲家が時代やまわりの空気を纏っていないなんて絶対にあり得ないし、特に自分の出自を意識した時代の音楽はそれが色濃くあると思うのよね。わたしは日本人だから外国人だけど、イギリスの空気の中でイギリスの音楽を聴くというのはやっぱり格別な経験なんです。少なくともわたしはそういう感受性を持ってる。(一応。音楽は地域限定語とか時代に囚われてると言ったら、それも半分はウソ)
確か、小学生の頃、いえもしかしたら中学生の頃、春のぽかぽかした太陽に暖められた原っぱに寝ころんで、よく高い空で鳴いているヒバリをぼんやり眺めていました。そんな想い出がイギリスの原っぱの風景と重なって思い出されて、今日のわたしは柄にも合わずちょっぴりメランコリック。

ディーリアスのチェロ協奏曲は、単一の楽章の音楽。まるで、さっきの「揚げひばり」の続きみたいな雰囲気。そうめちゃくちゃ牧歌的。独奏がテクニックをひけらかせることもなく、聴く人を煽ることもなくひたすら内証的で、ひとり、原っぱで物思いにふけってる。なので、ソリストのウェバーさんの評価をするのは難しいけど(とてもステキに弾いていました)、髪型が少し傘の開いたキノコ、マッシュルームカット?って感想はそこかい。実はわたし、この人名前がよく似てるので「オペラ座の怪人」の人だと勘違いしていたんですよ。そちらの方は、実のお兄さんだったんですね。

休憩のあとは「ブリッグの定期市」。市場なので少し賑やかな部分もあるんだけどやっぱり基調は牧歌。草の匂いがわたしに染み込んでく〜。ディーリアスは作品も少ないし演奏される曲も少ないので、なかなか聴けないのですが、今日こうしてお誕生日に2曲聴けたのはロンドン冥利。あとはいつか「村のロミオとジュリエット」を観てみたいな。

最後は「エニグマ変奏曲」で盛り上がり。この演奏、叙情的なゆっくり目のテンポの場所では、遅めに演奏して、盛り上がるところでは、野原で抑えられていたスミスさんのティンパニが大爆発で(胡桃のようなもので叩いたりもしてました)、とてもステキな演奏。素直に感動。と同時に、こういう第2の国歌的な音楽がある国の人がうらやましいって思った(実際には第2の国歌はこの曲ではなくて同じ作曲者の「威風堂々」なんでしょうけど)。それが、外国人まで感動させられるのだからなおさら。江戸時代に日本には国家という意識がなかったし、明治に入ってからは西欧の模倣、戦後は芸術音楽が人々から離れていってしまったので、日本に第2の国歌的な芸術音楽が生まれる隙はなかったんですけどね。

そういえば今日のフィルハーモニア、久しぶりにチェロが6人全員女性なんてのもあったりして。フル編成になってから男性がふたり入って男子禁制ではなくなったんだけど。数年前、プリンシパルの人が女性だったときは(たまたまでしょうが)、パートが全員女性なんてこともあったりして、しばらく見なかったのでほんと、久しぶりでした。
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by zerbinetta | 2012-01-29 01:55 | フィルハーモニア | Comments(2)

Commented by dokichi at 2012-02-06 20:11 x
こんにちは。ディーリアスも好きなミーハーです
チェロ協奏曲、知らなかったんですか~
私は、ソリストとして大好きな故ジャクリーヌ・デュ・プレさんが録音したものを愛好してるので知ってたんですが録音はそこまでないし、無理はないかもしれませんね。
それとサー・アンドルーいいですよね!
Commented by zerbinetta at 2012-02-08 09:05
こんにちは。
わたしは、イギリス音楽はこっちに来てから親しみ始めたので、ディーリアスはちっとも知らなかったんです。新しいものを見つけるのは、とっても嬉しいのでロンドン様々です。ディーリアスって実際に聴くチャンスってあんまりないですよね。
サー・アンドリューさんはいいですよ〜。相変わらずにこやか。絶対幸せにしてくれそう。

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