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神への冒涜? ロイヤル・バレエ「大地の歌」  

06.02.2012 @royal opera house

ロイヤル・バレエはダブル・ビル。「夢」と「大地の歌」です。マーラーの「大地の歌」に踊りを振り付けるなんて!マーラー・ファンからすれば噴飯もの。神への冒涜に近い(マーラーを神のようにあがめる人いるしね)。わたしは、決して熱心なマーラー・ファンではないけれども、あの曲に踊りを振り付けるなんて想像もできなかったし、正直あまり見たくないと思ってました。それに、心にずっしりと来る音楽を何回も聴くのは嫌だし(バレエの場合、キャスト違いとかでうっかりたくさんチケット取っちゃうし)、大きな声じゃ言えないけど、いつものようにロイヤル・オペラのオーケストラがいい加減な演奏をするのは聴くに堪えなさそうだし(音楽として自律してる大好きな音楽だからなおさら)、あまり、気乗りせず、チケットも最小限取るに留めました。一応観に来たのは何ごとも経験ですからね。

the dream

mendelssohn/john lanchbery (music)
frederick ashton (choreography)

alina cojocaru (titania), steven mcrae (oberon),
valentino zucchetti (puck), jonathan howells (bottom), etc.
barry wordsworth / london oratory junior choir, oroh


まずは「夢」。メンデルスゾーンの劇付随音楽、「夏の夜の夢」にアシュトンが振り付けた作品。メンデルスゾーンの音楽は劇のシーンを全て伴奏する音楽ではないので、目立たない程度に編曲(挿入)されていて、ストーリーを伴奏するようになってます。もちろんお話は、シェイクスピアの「夏の夜の夢」。この話、読むと、なんだかよく分からないちょっとまとまりのないお話なんですよ。お互いに関係のない登場人物が3組出てきて話が錯綜。お伽話のような喜劇で、劇中劇が今のわたしの感覚から言うと支離滅裂でつまらなくて(多分当時の日常や文化を知らないから)、でも何故かときどき読みたくなるお話なんです。でも、このバレエでは、村の演劇部の部分をほとんどカットしてあるので、すっかり上手にまとまってました。ってか、この話のあらすじが初めてすっきりしたみたいな。と言うわけでかなり演劇的なバレエでした。

妖精の女王と王のペアは、コジョカルさんとマクレーさん。マクレーさんはポルーニンさんの代わりに急遽代役です。ポルーニンさん突如ロイヤル・バレエを辞めたんです。青天の霹靂。もうバレエ・ファンみんなびっくり。
アシュトンさんのこのバレエ、見た目は優雅で優しそうだけれども、多分、優雅に見せるために上半身の使い方とかかなり難しいと思うんですよ。ただ、わたしにはダンスの云々が分からないので、もうただ優雅に見えるばかり。初めて観るので、ダンサーの方たちをどう評価して良いのか分からないんだけど、はっとするようなテクニックで見せるところがないので(素人から観ると)、コジョカルさんの凄さはよく分かりませんでした。ただ、彼女、体むちゃ柔らかいし、それはもう美しく優雅。馬になったボトムと踊るところは、なんだかとってもかわいらしいし、最後の方のマクレーさんとのパ・ド・ドゥもとってもステキでした。彼女、くるくる回るときメリハリを付けているというか、ぱっと速く回転する部分を作ってるみたいで、とても切れている感じに見えました。マクレーさんの方はひとつひとつを丁寧になぞって踊っているという感じでした。
今日目立ったのは、パックのズチェッティさん。多彩なジャンプが繰り広げられていて、ぴょんぴょん跳びまくり。とっても良かったです。
と言うか、素直に笑いながら楽しむバレエですね。あーだこーだと言うのは野暮みたい。

コジョカルさんがお花をあげようとしているのに緊張してしまってる子役の子

ボトムのホウェルズさんとパックのズチェッティさん大活躍

コジョカルさんとマクレーさん


song of the earth

mahler (music)
kenneth macmillan (choreography)

carlos acosta (the messenger of death)
rupert pennefather, tamara rojo, sarah lamb, lauren cuthbertson, etc.

katherine goeldner (ms), toby spence (tn)


さて問題の「大地の歌」。まず音楽から書きましょう。オペラ・ハウスのオーケストラ、やればできるじゃん。珍しく良い演奏をしていました。そして、歌手。テナーのスペンスさんは、もったいないくらい良かったのです。今まで聴いた大地の歌のテナーの中でもトップを争うくらい。スペンスさんはこの間ブルックナーで聴いたばかりだし、ロイヤル・オペラにもちょくちょく出ている人なので、これは贅沢すぎるくらい盤石ですね。メゾ・ソプラノのゴールドナーさんも良く歌ってました。ときどき一本調子になったりオーケストラからずれたりしちゃってましたが、バレエを観るのに不満はありませんでした。指揮者のワーズワースさんも良くオーケストラをまとめていたと思います。音楽だけでも聴いて楽しめる演奏でした。

バレエに関しては正直、分かるのかなって思っていました。明確なストーリーがあるわけではなく、踊りそのものを見せるモダン・ダンスなのでわたしには難しいかなって。でも、なんだかよく分からないけどむっちゃ感動した。最初から最後まで鳥肌立ちっぱなし(風邪ひいたわけではないと思う)。

3人のメインダンサーと、第3曲と第4曲の主役を踊ったふたりのプリンシパルは、もうさすがはプリンシパルという感じで、何とも贅沢。5人のプリンシパルがひとつ舞台に立つんですものね。特に、こういう踊りにはめっぽう強い感じのセイラ・ラムさん上手かったです。
そしてメインの3人。タマちゃんは相変わらず完璧。彼女の踊りを観て、どうしてバレリーナの人がこの曲を踊ってみたいと感じるのかよく分かりました。第2曲はまだ目立ったところはないんですけど、最後の第6曲の静かな死へのドラマは圧巻でした。特にオーケストラの長い間奏から始まる後半は、死後硬直のように体を硬くした踊りに始まって鋭い切れのある踊りが前半と対照をなしていてとっても印象的でした。もちろん、タマちゃん何を踊らせても完璧に踊ってしまうんですけど、お姫さまよりも、こういう抽象的で躍りで全てを表現するしかない役はとってもアフィニティーが高いように感じました。ひとつひとつの動き、静止、全てに意味が感じられていて、全く弛みがないというか、(タマちゃんの踊りはいつもそうなんですけど)、わたしにはまだよく分かっていないのに、心に直接伝わって来るものを感じました。この正体がいつか分かるといいんですけど。

アコスタさんの踊りもいつものことながら美しい。しかし、男性でこれだけからだが柔らかいダンサーってやっぱりアコスタさんだけ。無駄のない研ぎ澄まされた動きで、本当に美しい。筋肉も骨も身体全体が踊りだけのためにあって、それ以外の無駄な要素がひとつもないの。全くもう凄すぎる。タマちゃんとは踊りの方向が同じような感じがするのでとってもいいペアです。

そしてなにげに良かったのがペネファーザーさん。無表情で淡々と踊るのがまさにこのバレエに合っていて(王子さまだともっと感情入れてよ、とかって思っちゃうことあるし)、そもそも踊り上手いしきれいだからいいのよね〜。それにくるくる回ったいジャンプしたりしたときにふわりと髪が揺れるのがきゅんと来ちゃう。それでいて髪が崩れないのが不思議。

始まる前は、観てがっかりするかもって思っていた「大地の歌」も終わってみれば、音楽を聴くのとは別の大感動。振り付けたマクミランさんの圧倒的な天才を感じました。多分、音楽と同じように、もっと良く理解するには何回も観たければいけないし、きっと時間をかけなければいけないに違いない。ロイヤル・バレエでもそんなにしょっちゅうかかる演目ではないみたいだけど、もしまた機会があったら、是非見続けていきたいバレエです。とか言いつつ、今シーズンはあと2回観るんですけど。

ペネファーザーさん

アコスタさん、ちょっと化粧で怖い顔(死の使いです)

タマちゃん



by zerbinetta | 2012-02-06 10:42 | バレエ | Trackback | Comments(0)

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