マジで恋する5秒でね♥ ブランギエ BBC交響楽団   

10.02.2012 @barbican hall

dvořák: overture carnival
rebecca saunders: still
tchaikovsky: symphony no. 5

carolin widmann (vn)
lionel bringuier / bbcso


わたし、何故か広末涼子さんのCDを持っていたのです。多分誰かにもらったんだと思うんですけど、日本語の歌が恋しいとき、それしか持っていなかったCDを繰り返し聴いたのか(それすら覚えてないんですけど)、何故かスキスキスキスキ大〜好きよ♬なんて歌詞が空っぽの頭の中でくるくる回り続けて、コスタリカのジャングルに毛虫を探しに行ったときずうっとひとりで歌ってました。と、こんな話は音楽会とは全く関係ないんですけど、確か彼女の曲の中に「マジで恋する5秒前」とか言うのがあって、今日のわたしは5秒で恋に落ちてしまったんです。誰に?ってブランギエさん♡
いきなり華々しく始まった、ドヴォルジャークの「謝肉祭」序曲。見事にオーケストラの音を解放してすかっとした響きで気持ちいい。とても上手くオーケストラを鳴らせる類い希な才能。まだ25歳だなんて信じらんない。この曲は手放しにステキでした。

2つめはレベッカ・サウンダースさんのヴァイオリン協奏曲「スティル(静寂)」。去年の作品で、イギリス初演。これがまた良い曲だったんですよ。変なことをやっているわけではないけど、ヴァイオリンからいろんな音の可能性を引き出していたし、音の世界に引き込んでいく感じ。2部構成で、間に長いオーケストラだけの間奏があるんだけど、最初が動、だとすると後半が静。前半が細かい音を多用して風に揺れる木々の葉や音を立てる障子のような音楽だったのに、後半は長い音を用いて、しずかなすうっととおる風のような音楽。音楽を聴きながら、どうやって言葉にしようってずうっと考えてて(ブログ病?)、そうだ、これは風の音だ、葉っぱのざわめき、障子をかたかたと揺らす音、ざーっと嵐のように通り過ぎる強風、水面を静かに揺らすそよ風、草迷宮に出てくるような、破れ障子の座敷で一夜を過ごすときに聴くモノモノの音。そんな実際の音と心証的な音の混ざり合い。
演奏もとっても良かったんです。ヴァイオリンのウィドマンさんを聴くのは2度目ですが、同時代の音楽をレパートリーの中心にしているだけあって、迷いや曖昧なところ(技術的にも音楽的にも)が全くなく堂々としたもの。音楽の隅々まできちんと知っている感じ。ブランギエさんの伴奏も、ひるむことなく果敢に攻めている感じ。素晴らしいです。

期待はチャイコフスキーの交響曲第5番に大きく膨らんだんだけど、プログラムのメインに据えてるくらいだから得意な曲なんでしょう。ところが、この曲でほころびというか若気の至りが出てしまいました。オーケストラを鳴らすことにかけては、一流なんだけど、ちょっと勢い余って荒さが出てしまったというか、音に余裕がなくなってしまってました。ゆっくりした部分で、音が薄くなるところは、なんかアンサンブルがつかみ切れていない感じで、指揮者とオーケストラの間の呼吸が乱れてしまった感じです。こういうところをもう少し丁寧に、自分の身体の延長のようにオーケストラを動かせるようになるといいんですけど、まだ20代ですからね〜。最後はいっそのこともう少し力で押し切ってもいいと思ったんですが(コーダに入る前の終止で力を出し切ってしまった)、全体的な音楽設計がもう少し上手くいくと良かったかな。
とか言いつつも、5秒で恋に落ちた恋人。まだまだ、これからの人だし、明らかにこれから伸び上がって行くであろう逸材。できれば、どこか小さなオーケストラでもいいから自分のオーケストラを持って、それから、誰か老練な人のアシスタントに付いてしっかり勉強して欲しいな。LAのドゥダメルさんがダメというのではないけれども、彼にはもっと年上のメンターが必要なような気がするから。熱いうちに打てってね。
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by zerbinetta | 2012-02-10 17:59 | BBCシンフォニー | Comments(0)

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