打楽器フェチ感涙と太ゴシック体のブラームス ヴァンスカ、ロンドン・フィル   

18.04.2012 @royal festival hall

schumann: overture, genoveva
kalevi aho: sieidi, concerto for solo percussion and orchestra
brahms: symphony no. 1

colin currie (pc)
osmo vänskä / lpo


自分でもどうしてこのチケット持ってるんだろうと訝しんでたら、アホさんの打楽器協奏曲の初演でした。アホさんって聴いたことあったよねと思ったら、サーリアホさんの勘違い。アホさんの音楽は初めて聴きます。今日の指揮者は、ヴァンスカさん。この間のブルックナーの交響曲第4番(へなちょこ版)のときは、アホな観客がいて頭に来たけど、数年前のシベリウス交響曲サイクルといい、ブルックナーといいロンドン・フィルとは相性が良くいつもステキな演奏を聴かせてくれてます。今日はどうなるでしょう。期待期待。

小手調べは、シューマンの序曲「ジェノヴェヴァ」。マイナーなオペラですがずうっと前にCDで聴いたことあります。正直あまり印象に残ってないなぁ。今聴けばもちょっとよく分かるのかも知れないけど。序曲の方は10分足らずの短い曲なので、それなりに楽しめるのですが、やっぱりあまり特徴はないかな。ヴァンスカさんがどうしてこの曲を採り上げたのかは分からないけど、演奏は良かったです。糸を引くような弦楽器がくどくない仄かなロマンティックで。こういうグラディエイションは好きです。シューマンってバランスの人だと思うんですよね。もちろんロマンティックであるのだけど、べたべたとしてしまうと良さが失われるというか。

さあいよいよ、アホさんの打楽器協奏曲。ピチピチの新作。今日が初演です。シューマンが始まる前からステージの上には打楽器がいっぱいのってて、ソリストはひとりだけど、オーケストラの中の打楽器も拡大充実。それにしても打楽器協奏曲って人気なのかしらね。ロンドンで打楽器協奏曲の初演を聴くのは今日が3度目のような気が。
アホさんは名前を知っていたので聴いたことがあるように思ってましたが、実は今日が初めて(もしかして前に、遅刻してクラリネット協奏曲を聴きそびれたことがあったかも知れません)。サーリアホさんなら何回か聴いたことあるのに(クラリネット協奏曲も!)。
その打楽器協奏曲、最初の部分がめっちゃかっこよかったです。オーケストラの中のステージの左右に振り分けられた大太鼓が同時にずどんと打ち鳴らされて楔が入る。打楽器のソロ(コリン・カリーさん)は、ステージ向かって右手から9つの打楽器をひとつひとつ順番に演奏するのだけど、最初はジャンベというアフリカの楽器。ストラップで肩からかけて素手で叩きます。アフリカの楽器だし、打楽器というと原初的なアフリカのイメジがあるのだけど、わたしはこの部分を聴いて、深い針葉樹の森を感じました。そのときまで、アホさんの曲であることを忘れていて、あっ!そうだ、アホさんってフィンランドの人だったって思い出したくらい。高く細長い木の森の中のざわめき。楽器は次にダラブッカ、トムトムと小太鼓、マリンバ、指揮者を挟んで、木魚とウッドブロック、ヴィブラフォン、銅鑼と続きます。そして後半は反対に左から右へと楽器を移っていきます。それぞれの楽器ごとに、音楽が区切られていて、続けて演奏されるのだけど、少しずつ表情が変わります。音程のある、マリンバやヴィブラフォンの部分はずいぶんロマンティックでした。また同じ楽器でも前半と後半では曲想が変わります。この曲はソロに加えて3群のオーケストラの打楽器が大活躍なので立体的に打ち鳴らされる打楽器が、打楽器フェチのわたしにはツボ。もう、すっかりはまりました。すっきり爽快。それにしても、大音量の(最後は静かに閉じたけど)こんなカタルティックな音楽のあとで、ブラームスはきついだろうと、隣に座ってた音楽会仲間(いつも音楽会で見かける人)とうなずき合う。

一瞬果たしてその通りになったブラームス。最初なんだかそわそわした感じでした。最初のティンパニの連打を打楽器協奏曲の続きのようにフォルティッシモで打ち付ければ溜飲も下がるのでしょうけど、そんなことしたら音楽壊れちゃいますからねぇ。でも、ちょっぴり期待した。へへ。ヴァンスカさんのブラームスは、テンポを大きくでも自然に揺すぶって、ダイナミックに音楽を作る感じ。ロマンティックというより骨太。太い筆でかくかくと、止めもすうっと抜くように引くのではなく、そのままの太さで止める感じ。決してデミュニエンドしないとかぼつりぼつり音符が切れるとかそういうことではなく、音がそのままの太さ(大きさではなく)で放たれる感じ。最初、オーケストラがヴァンスカさんのテンポ感についていけないところが聞こえて、大丈夫かなぁと思っていたら案の定、序奏の真ん中あたりで、弦楽器と木管楽器が1拍ずれてしまう事故。でも、大きな事故はそれだけで、さすがに、徐々に良くなって、ヴァンスカさんにぐいぐい引っ張られて、最後は充実感と共に終わりました。打楽器協奏曲に勝った?
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by zerbinetta | 2012-04-18 07:57 | ロンドン・フィルハーモニック | Comments(2)

Commented by feliz at 2012-05-07 19:48 x
そっか、つるびねったさんは打楽器フェチでしたね。イメージがしやすい曲で楽しめました。ブラームスは私の思ってたのと同じようなご感想でしたが、いやいや、きちんとした言葉にできるのはさすがです♪
Commented by zerbinetta at 2012-05-07 23:15
そうなんです、フェチなんです。うふ。わたしも言葉にできなくて苦しんでますよ。でも、同じような感想を共感できるのってうれしいですね。わたしもfeliz さんが感じられた打楽器協奏曲の森のイメジにそうそうって思いました。

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