ティシャン、いよいよ初演! ロイヤル・バレエ   

14.07.2012 @royal opera house

metamorphosis:titian 2012

夏のロンドン・オリンピックに伴って、ロンドンではいろんなことが行われますが、カルチュラル・オリンピアードというのもそのひとつ。中でもロンドン2012フェスティヴァルではいろいろな文化行事が行われます。そのひとつが、ナショナル・ギャラリーとロイヤル・バレエとの共同企画で、メタモルフォーシス:ティシャン2012。美術館でのティシャンの3つの作品とそれにインスパイアされた現代作家の新作の同時展示とバレエの連携でちょっと分からないところもあるけど、ロイヤル・バレエを10年にわたって導いてきたモニカ・メイスンさんの最後の作品ということで期待が高まったのでした。バレエの方は3つの作品から構成されることは、早くから分かっていましたが、内容やキャストはぎりぎりまで全く分からず、チケットも高かったのでチケット取りにも躊躇して、取り敢えずわたしは、1回分のチケットを取っていただけでした。
ああ、なのに。。。それなのに。結局見ると、手元に全4公演のチケットが、5枚。あれれ?1枚多い?いええ〜、メイスンさん(そしてタマちゃん)の最終公演ということで早くから売り切れになっていた最終日の公演、取り敢えず入るだけのチケットを確保しておいて、良い席が出たとき、ぽちっと押してしまったのですね。確保していた方のチケットは間際にリターンしました。

そして今日はその初演。いったいどんなバレエが観られるのでしょう。と、その前に、ナショナル・ギャラリーに行って、メタモルフォーシス;ティシャンを観てきました。ティシャンは、英語読みなので、日本人にはなじみがないと思うけど(わたし自身ずうっとタイタンだと読み間違えていました。titanにはない愛がtitianにはある!お恥ずかしい)、ティツィアーノといったら分かるでしょうか。ワグナーが(多分ゲーテの「ファウスト」の最終場面でも)「トリスタンとイゾルデ」の最終場面でイメジを重ねた、「聖母被昇天」の絵を描いた人です。他にも有名な絵はたくさんあるんですけどね。
正直言って1回ちらっと観ただけではよく分かりませんでした。結局バレエのリハーサルのヴィデオばかり観てしまっていたし。ティシャンの3枚の絵「ディアナとカリスト」「アクタイオンの死」「ディアナとアクタイオン」はステキだったけど、3人の現代作品は、ティシャンとどう関係があるのか、のぞき部屋を再現した作品以外はよく分かりませんでした。もっと時間をかけてちゃんと観に行かなければ。

さあバレエの方。3つの作品、「マシーナ(機械)」「トレスパス(不法侵入)」「ディアナとアクタエオン」をそれぞれ複数の振り付け家が振り付けています。そしてそれぞれのデザイン(背景)をナショナル・ギャラリーに出展した美術家さんたちが担当しています。

では、「マシーナ」。

machina

kim brandstrup, wayne mcgregor (choreography)
nico muhly (music)
conrad shawcross (designs)
tom seligman / oroh

leanne benjamin, tamara rojo
carlos acosta, edward watson, etc.


実は一番よく分からなかった作品。非常に抽象的。暗い舞台に、背景は何もなく、大きな機械が首を振るように動いています(この機械は、ナショナル・ギャラリーにも展示されていました)。物語がありそうでなさそうな具合が戸惑った原因かなぁ。音楽は真ん中のちょっと現代的なところを挟んで、とても静かなルネッサンス調の弦楽合奏で、淡々と古代の無言劇を観るよう。なんだけど、後ろで動いてる機械といい、作品を理解するまでには至りませんでした。
ダンサーでは、リャーン・ベンジャミンさんが圧倒的に良かったです。この人、こういうのを踊らせるともう右に出る人がいないくらい上手い、というか芸術的。動きのひとつひとつに確実に表現の意味がのってる。素晴らしかったです。あとは、ワトソンさん(この人こそがベンジャミンさんの右に出る人かなぁ)とアコスタさん。タマちゃんは上手いんだけど、何となく作品に合っていないような、もったいない感じ。タマちゃんの最後の作品なのに、お別れは他ので観たかったよぉ。

タマちゃん、ワトソンさん
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ベンジャミンさんとアコスタさん
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振り付けの頭が滑らかなおふたり ブランドストラップさん(左)とマクレガーさん
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機械と全員
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続いてトレスパス

trespass

alastair marriott, christopher wheeldon (choreography)
mark-anthony turnage (music)
mark wallinger (designs)
barry wordsworth / oroh

beatriz stix-brunell, melissa hamilton, sarah lamb
nehemiah kish, steven mcrae, etc.


アクタエオンののぞき見事件のことかなぁ、不法侵入。とってもフェミニン。舞台は中央に半円の屏風があって、それがシースルーになったり鏡のようになったりして効果的。さすがのぞき見部屋を作ったワリンガーさん。背景はちょっとアジアンテイストの水墨画風。踊りの中にも蓮の花にのった仏陀を連想させるのもがあって、そういう意図で作られてるのかなって思った。ただ、音楽がね〜。タネージさんの音楽が焦点が合わない激しい雑音のように聞こえて、これずうっと聞かされたら気が狂いそうって思ったんだけど、後半になってやや落ち着いて何とか正気を保っていました。ウマが合わないのかしら。
振り付けは、動、静自在で、アクロバティックなところもあって、とても面白い。リード・ダンサーはベアトリスさんとキッシュさんのペア、ラムさんとマクレーさんのペア、そして観音様のような可愛らしいエロスのメリッサさん。ダンサーに恵まれた感じ。振り付けたウィールドンさんとマリオットさんは冥利に尽きたんではないかしら。

舞台はこんな感じ
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電気回路の配線みたいな衣装
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ウィールドンさん(左)とマリオットさん マリオットさんはお肌きれいなプリンシパル・キャラクター・アーティストの踊り手でもあります
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最後はディアナとアクタエオン

diana and actaeon

liam scarlett, will tuckett, jonathan watkins (choreography)
jonathan dove (music)
chris ofili (designs)
kim sheehan, andrew rees (singers)
dominic grier / oroh

marianela nuñez (diana), federico bonelli (actaeon), etc.


ダンサーに役名が付くように、物語バレエです。お化粧がこわ〜い。美術はギャラリーの方でも唯一絵を出展してたオフィリさん。これが素晴らしい。背景は南国風の絵で、真っ赤な三日月が目を引くんだけど、これもしかして女性の象徴?だとするとその手前に書かれているのは、デフォルメされた男性のペニス?ここだけ北斗七星のように電球が光るようになってるんだけど、穿ち過ぎかなぁ。
音楽も分かりやすいし、物語もあって内容もとても理解しやすいので、今日はこれが一番すっと心に落ちました。ただ振り付けはちょっと凡庸かな。リアムさん期待したんだけど。振り付けの3人は、現役のダンサーでもありますね。
大好きなマリアネラさんがディアナでいつものことながらとってもステキ(お化粧恐いけど)だったんだけど、彼女にならもっと自在に振り付けられるの二ってちょっと不満も感じました。もったいないよ。

ビビッドな舞台
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振り付けのタケットさん、ワトキンスさん、リアムさん
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最後は、メイスンさんが拍手の中、スキップをするように、むちゃ嬉しそうに出てきて、弾けてました。
メイスンさんとオフィリさん(右)。マリアネラさんとボネリさん
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初演は独特の雰囲気ありますね! 振り付けや美術に関わった人を舞台に出すのも初演時のみだし、ワクワク感も違います。もちろん新しい作品にはリスクも伴うのだけど、それを圧してでも新作を上演するのはステキです。今回の作品はイヴェント的要素が強いので、再演があるかは分からないけど、新しい芸術監督の人にもぜひ、新作の上演を期待します。ロイヤル・バレエには超一流のダンサーが揃ってるので、彼らのシグニチュア・ワークになるような、さらに再演を重ねるような素晴らしい作品をぜひ生み出して欲しいです。
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by zerbinetta | 2012-07-14 22:49 | バレエ | Comments(0)

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