恋?そして母性? 「マシーナ」 ベンジャミン、ロホ   

17.07.2012 @royal opera house

metamorphosis:titian 2012

メタモルフォーシス:ティシャン、正直4回も観るのは、と若干の後悔もしているものの(安い席がないので)、最後だしまっいいかと思う自分も。観ないより観た方が楽しいのも事実だしね。面白いことに、観るたびにお気に入りのが違ってきます。今日、心に来たのが最初のマシーナ。初めて観たときはちんぷんかんぷんで、良い作品には思えなかったんだけど、これは素晴らしい。今日はマシーナについて書きます。

machina

kim brandstrup, wayne mcgregor (choreography)
nico muhly (music)
conrad shawcross (designs)
tom seligman / oroh

leanne benjamin, tamara rojo
carlos acosta, edward watson, etc.


どうしてか観るたびに深みにはまっていく「マシーナ」。ついに3演目の中でこれが一番いいって思うようになりました。舞台は抽象的で、マシーナというタイトルの通り、どこか無機的。に見えるんだけど、よく観るととっても体温のあるドラマも感じられる。物語がなさそうで、ある。ニンフたちの水浴に題をとった話だけど、わたしには、ティシャンの絵の題材となったディアナとアクタエオンのお話とは違うように感じられる。ディアナとアクタイオンは、覗かれて怒ったディアナが、アクタイオンを鹿に変えて彼の猟犬に殺させるお話だけど、「マシーナ」では、むしろニンフと男(たち)の交流というか、ニンフの癒しやニンフと男の間に生まれる愛のようなものを感じたんです。タマちゃんの踊るニンフ(誰がディアナか分からないので単にニンフとします)は、最初、男(ワトソンさん)を拒絶しているように見えるけど、最後に男との間に心の交流があったように見えて、恋が芽生えたのかなと。タマちゃんの表情が妙に艶めかしかったんです。タマちゃんツンデレ状態。

ベンジャミンさんの踊りには言葉に表せないような魅力と凄味があるのだけど、それってなんだろうってずっと考えてた。ベンジャミンさんにあって他の女性ダンサーにはないもの。長い経験(来年でロイヤル・バレエ、プリンシパル歴20年ってこれは凄いよ)?でも、多分それでじゃないはず。と、彼女の踊りをじいっと観ていて感じたのが母性。思い起こせば「レクイエム」のときも感じたのだけど、彼女の踊りには許し包みこむような、癒しというか、永遠の女性的なるもの、ティシャン(ティツィアーノ)でいえば被昇天マリアを感じるのです。だから、ジゼルや(残念ながらわたしは見そびれたけど)ジュリエットのような少女役よりも、こういう役の方が今の彼女には合ってると思うんです。そして彼女の踊りにはとてもたくさんの言葉がある。この間もちらっと書いたけど、それはおしゃべりの言葉ではなく、抽象的な単語を使った哲学的な語り。それがもの凄く饒舌なんです。もちろん、意味をとるのは難しいけど(難しい本を読むみたいに)、そこには奥の深い豊潤な表現が佇んでいるんです。読み手次第でいくらでも深くなっていく言葉が。

もちろんこの演目、ベンジャミンさんだけが素晴らしいのではありません。ロイヤル・バレエでのプリンシパルとしての最後の公演ということで凄味を増してきたタマちゃん。そして男性のおふたり。
ベンジャミンさんと踊ることの多いワトソンさんは、タマちゃんとのペア。ワトソンさんが、やっぱり彼もこういう演目が得意というのもあって、ベンジャミンさんと同じくらい素晴らしい。そして、タマちゃんではなくベンジャミンさんとのペアとなったアコスタさん。ときにぼんやりとした印象を与えてしまう(踊りは凄いんだけど)ことが役によってはなきにしもあらずだけど、今回はとってもステキ。彼らの身体の動きは奇跡と言っていいくらい。力強くて柔らかくて、鍛え抜かれた裸の肉体を見る喜びよ。人間の筋肉という最高の動力装置を、緻密で繊細な神経回路が制御して、美しく動く機械。いくら最新の技術で動かしていても、人間の肉体の動きにはかなわないよ、後ろの機械。

目立たないけど、バックで踊っていた6人のダンサーたちも称えるのを忘れてはいけません。とても高い水準で舞台を支えていたのですから。

ほんとに噛めば噛むほど味わい深い演目だなぁ。今日はこれが一番好き!

タマちゃんとワトソンさん
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ベンジャミンさんとアコスタさん
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trespass

alastair marriott, christopher wheeldon (choreography)
mark-anthony turnage (music)
mark wallinger (designs)
barry wordsworth / oroh

beatriz stix-brunell, melissa hamilton, sarah lamb
nehemiah kish, steven mcrae, etc.


昨日語ったからもう語らなくていいでしょ。

メリッサさん
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ラムさんとマクレーさん
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ベアトリスさんとキッシュさん
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diana and actaeon

liam scarlett, will tuckett, jonathan watkins (choreography)
jonathan dove (music)
chris ofili (designs)
kim sheehan, andrew rees (singers)
dominic grier / oroh

marianela nuñez (diana), federico bonelli (actaeon), etc.


メイスンさんの希望で入れられた物語バレエ「ディアナとアクタイオン」。物語があるがゆえに不自由で、若干底の浅いバレエになってしまったような気がします。もう少し自由に物語を構成させてあげたかったな、とも思うし、殻を破れなかった、若い振り付け家の限界かもしれません。先に外側ができちゃって、その中で箱庭を作っちゃったみたいな。でも、才能のある人たちだから、これからでしょうね。こんな大舞台に自分の作品を乗せることができたのは(リアムさんは地位を固めつつあるけど)、良い経験になると思います。と、いやに攻撃的ですけど、だってあの可愛らしいマリアネラさんが、恐いお化粧なんだもん。いやん。可愛らしいままで見せて〜。
お風呂覗かれたからって、殺しちゃいけません。水戸黄門の由美かおるさんみたいに水をばしゃっとかける程度の大らかさがないと。って水かけて鹿に変えただけでしたっけ?

ユフィさんとセルヴェラさん
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クレアさんとトルゼンシミエッチさん(おふたりともソロイスト昇格おめでとう)
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ネラとボネリさん。左はクラウディア・ディーンさんかしら
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by zerbinetta | 2012-07-17 08:26 | バレエ | Comments(0)

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