若いエキスをいっぱい浴びて ペトレンコ、ナショナル・ユース・オーケストラ「トゥランガリーラ」   

4.8.2012 @royal albert hall

varèse: tuning up
nico muhly: gait
messiaen: turangalîla symphony
anna meredith: handsfree

cynthia millar (om), joanna macgregor (pf)
vasily petrenko / national youth orchestra of great britain


トゥランガリーラ・シンフォニーを演るとあれば聴きに行かないわけにはいきません。と、最初の頃は思ってたけど、さすが20世紀のモニュメンタルな大作。意外と演奏機会が多くて、かれこれもう8回目くらい(?)。ブルックナーの交響曲第8番だってまだ3回か4回しか聴いてないので、その多さが際だってますよね。そして今日は、高校生クラスの若者のオーケストラ(メンバーは13歳から19歳、16、17歳が中心です)が演奏するのです。若者だからと言って侮ってはいけません。イギリス全土から集まった、多分将来音楽家になっていく子供たちだし、去年聴いたマーラー/クックの交響曲第10番の演奏が、アマチュアのレヴェルを遙かに超える素晴らしい演奏だったのでとっても期待してたのです。ペトレンコさんも、徹底的にオーケストラを鍛え上げてるふうなのが音に出てるし。それにしても高校生のオーケストラがメシアンを弾く時代が来たなんて。びっくり。でも、技術的にできていれば感覚的には同時代の音楽なのでかえって演奏しやすいのかもしれません。

始まりは、ヴァレーズの「チューニング・アップ」。この曲は前に聴いたことがあるので、何が起こるのか分かっていたから混乱なし。いつまでもチューニングしてるんですよね。茶々を入れつつ。そして今日はそれに小芝居付き。原曲は多分、小芝居は付いてないと思うのだけど、今日のは、チョウ・ウェンチュンさんが手を入れたヴァージョンです。小芝居の部分は大人がやるとちょっとしらけちゃうけど、高校生ならではな感じの、何だか学園もののテレビ・ドラマを観ている感じ。最後の方でペトレンコさんも登場して小芝居。そして、お客さんまでAの音を歌ってチューニング。うむむ、なかなか楽しい♪

2つめは「チューニング」の余韻もさめやらぬまま、ニコ・ミューリーさんの「ゲイト」という新作。ミューリーさんのお名前、どこかで聴いたことあると思ったら、ついこないだのロイヤル・バレエの「ティシャン」の最初の音楽が、彼の作曲だったんですね。ジョン・アダムズっぽいミニマル風な音楽。ミニマルは苦手だけど、アダムズさんは許せるので、この曲も新しさはさほど感じなかったけど、楽しめましたよ。何だか景色が走馬燈のように駆け抜けていく感じで、あとでプログラムを見たら動物たちの走る様子に音楽がインスパイアされているそうで、ああなるほどって思いました。

休憩のあとはいよいよトゥランガリーラ、ピアノとオンド・マルトノは去年ゲルギーとロンドン・シンフォニーで聴いたマグレガーさんとミラーさんのコンビ。ペトレンコさんのトゥランガリーラはわりと遅めのテンポ。特に、盛り上がる第5楽章「星たちの血の喜び」がゆっくりとしてました。わたしはこれは狂喜乱舞して弾けちゃってるのが好きなので、どっしりと構えたペトレンコさん演奏はわたしの好みではなかったけど、全体的には若さの火花がスパークしてカラフルで溌剌として、若さゆえの自信や野望が音楽の中に含まれている気がして、爽やかな青い気持ちを味わいました。ふたりのソリストが、オーケストラを煽って引っ張っていたのも印象的です。最後のフェルマータは、短く終わったけど(さすがにあれを伸ばし続ける体力は高校生にはまだないかな)、すかっと終わってかえって気持ちよかった。30代のメシアンだってこの曲にたくさんの音と共に野望をたくさん詰め込んでるものね。

そしてなんと!トゥランガリーラのあとにもう1曲。普通、このあと、アンコールだってないでしょ。ちょっとむむむな気分で見ていたら、ペトレンコさんが、リーダーの少年(!)のヴァイオリンをひったくるようにしてステージを降りて、なんと!!指揮者なし、楽器なしの音楽が始まったのです。アンナ・メアディスさんの「ハンズ・フリー」は、拍手の音楽。楽器は拍手と(若干の)声のみ。それが、リズムを変えたり強弱を付けたり、オーケストレイションもされてて、そして振り付けも(振り付けはデヴィッド・オグルさん)、音が立体的に聞こえてきて、実にステキ。これは初めて味わうびっくりするような音楽体験でした。

なんか若いエキスをしっかり浴びてわたしもちょっぴり若返ったようです。え〜え〜気のせいですとも。

ペトレンコさん、そんなに目を見開かなくても!
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相変わらず年齢不詳のマグレガーさん
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演奏しているじゃなかった拍手しているメアディスさん(女性)と(多分)オグルさん
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by zerbinetta | 2012-08-04 07:31 | イギリスのオーケストラ | Comments(0)

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